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第一章:転生と旅立ち
魔法少女とパーティーを組んだ
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冒険者ロビーに戻って、依頼を受けるためのクエスト・カウンターに向かった。
クエストというのは本来は探求,追求という意味だが、この世界では依頼を指すことが多い。
冒険者は基本、旅をするので旅の資金が必要である。
その資金を稼ぐために依頼を受けるのだ。
冒険者への依頼といえばモンスター退治が定番である。
モンスター退治にも性質があって、ひとつは害虫、害獣駆除を目的とするもの。
もうひとつはそのモンスターが食用や衣服、工芸品の材料になるなど、つまりその体に価値があるものだ。
「すみません、レベル1冒険者向けの依頼は何かありますか?」
俺が尋ねると、クエストカウンターの受付(彼女も美人である)がファイルを取り出した。
「そうですね、初めてのクエストでしたらラビットかスライムはいかがですか?」
「あ、じゃあどっちもやります」
「両方ですね。では冒険者IDカードをお願いします」
俺がIDを提示すると、受付嬢が目を丸くする。
そろそろこういう反応されるのにも慣れたんだけど。
「マーカスさん、戦士なんですか?戦士がなんでまたレベル1のクエストを?」
「まあいろいろ事情がありまして。とにかくそれでお願いします」
「わかりました。ラビットもスライムも10体からが買い取りの対象になります。買取単価は300キルトです」
ラビットは肉が美味いし、毛皮の材料にもなる。
スライムはもともとは害虫(?)扱いだったが、最近ではその消化能力をゴミ処理に役立てているようだ。
俺は受注伝票にサインをして依頼書を受け取った。依頼達成期限は受注から1週間である。
「戦士様、戦士様」
誰かを呼ぶ声がする。戦士様・・・? 俺の事か?
振り返ると、子供が立ってこちらを見ていた。
黒いフード付きのローブをかぶった、おそらく9~10歳くらいの少年だ。
栗色の巻き毛がフードから覗いている。
丸顔に大きな目と、低くて丸い小さな鼻のかわいらしい坊やだ。
しかしなんで冒険者ロビーに子供が?
誰か冒険者の子供なのだろうか?
「坊や、どうしたんだい?お父さんかお母さんは居ないの?」
するとその子は俺にこう言った。
「坊やって失礼ですわ、戦士様。私は女です!」
「ああ女の子だったの?ごめんごめん、フードかぶってるからよくわからなかった」
「それに私は子供じゃありません。18歳の魔法使い、名前はミンミンです」
え・・・18歳!それにしちゃ幼く見えるなあ。。
「本当に?じゃあ俺と同い歳じゃない。それは失礼したミンミン。俺はマーカスだ。で、何か用?」
ミンミンと名乗る魔法使いの少女は、少しもじもじした様子で話し始めた。
「マーカス様、あなた今、ラビットとスライムの依頼を受けましたよね?」
「ああ受けた。それが何か?」
「どうか私をマーカス様のパーティーにお加えください。必ず役に立ちます」
「パーティーだって?レベル1の依頼にそんなの必要ないだろう」
「失礼ですがマーカス様、初めてのクエストですよね?いったいどこで狩りをするおつもりですか?」
「どこって町の外を適当に歩き回ったら出て来るんじゃないの?」
ミンミンは白い手袋を付けた、太短い人差し指を顔の前で振りながら言った。
「それは甘いお考えですわ。ラビットやスライムは達成難易度の低いぶん、人気の獲物なのですよ。誰も自分の狩場は教えませんわ」
それは知らなかった。ゲームなら簡単に遭遇できるのに。
「私なら魔法で獲物をおびきよせることができます。マーカス様はただ獲物を倒してくれればいいのです」
なるほど、それは効率が良さそうだ。
俺はミンミンとパーティーを組んでみるのもいいかと考えた。
「報酬は俺が7割、ミンミンが3割だ。それでよければパーティーに加えよう」
ミンミンはうれしそうに満面の笑みを浮かべた。
「ありがとうございますマーカス様。ミンミン、一生懸命働きます」
ミンミンと共に冒険者ギルドの建物の外に出ると、3人の女の子たちが駆け寄って来た。
3人ともすらりと背が高く、スレンダーだが豊かな胸を持った美少女たちだ。
「「マーカス様、お待ちしてました」」
「はあ・・ええと誰だっけ?」
美少女たちは一様にはにかむようにうつむき加減である。
そのうちのひとりが意を決したように言った。
「あの、私たちは上級冒険者サロンで働いている者です。仕事が終わりましたのでマーカス様と外でお会いしたくてお待ちしていたのです」
ああそうか。サロンの女の子なら選りすぐりの美少女なわけだ。
そしてこれはいわゆる『出待ち』されていたんだな。
そうそう俺は美少年でとてもモテるのだった。
「マーカス様、この子たちはなんですか?」
そう言いながらミンミンが俺の服の裾を引っ張る。
その様子を見て美少女たちのひとりが言った。
「あら、マーカス様。お子様ですか?かわいい坊やですね」
「違います!私は女魔法使い。マーカス様のパーティーの一員です!」
それを聞いた美少女たちは顔を見合わせてくすくす笑った。
「何がおかしいんですか!」
いきり立つミンミンを、まあまあとなだめてから言った。
「ミンミン、今日はもう遅くなるからクエストは明日からだ。明日朝に冒険者ロビーに集合しよう。じゃあ、ここで」
ポカンとしているミンミンはとりあえずここに放置することにした。
俺は見た目は純朴そうな美少年であるが、中身はおっさんである。
目の前に美味しそうな美少女たちがお皿に乗っているのを見逃すわけにはいかない。
「君たち、よかったらこれからご飯でも食べにいかないか?」
クエストというのは本来は探求,追求という意味だが、この世界では依頼を指すことが多い。
冒険者は基本、旅をするので旅の資金が必要である。
その資金を稼ぐために依頼を受けるのだ。
冒険者への依頼といえばモンスター退治が定番である。
モンスター退治にも性質があって、ひとつは害虫、害獣駆除を目的とするもの。
もうひとつはそのモンスターが食用や衣服、工芸品の材料になるなど、つまりその体に価値があるものだ。
「すみません、レベル1冒険者向けの依頼は何かありますか?」
俺が尋ねると、クエストカウンターの受付(彼女も美人である)がファイルを取り出した。
「そうですね、初めてのクエストでしたらラビットかスライムはいかがですか?」
「あ、じゃあどっちもやります」
「両方ですね。では冒険者IDカードをお願いします」
俺がIDを提示すると、受付嬢が目を丸くする。
そろそろこういう反応されるのにも慣れたんだけど。
「マーカスさん、戦士なんですか?戦士がなんでまたレベル1のクエストを?」
「まあいろいろ事情がありまして。とにかくそれでお願いします」
「わかりました。ラビットもスライムも10体からが買い取りの対象になります。買取単価は300キルトです」
ラビットは肉が美味いし、毛皮の材料にもなる。
スライムはもともとは害虫(?)扱いだったが、最近ではその消化能力をゴミ処理に役立てているようだ。
俺は受注伝票にサインをして依頼書を受け取った。依頼達成期限は受注から1週間である。
「戦士様、戦士様」
誰かを呼ぶ声がする。戦士様・・・? 俺の事か?
振り返ると、子供が立ってこちらを見ていた。
黒いフード付きのローブをかぶった、おそらく9~10歳くらいの少年だ。
栗色の巻き毛がフードから覗いている。
丸顔に大きな目と、低くて丸い小さな鼻のかわいらしい坊やだ。
しかしなんで冒険者ロビーに子供が?
誰か冒険者の子供なのだろうか?
「坊や、どうしたんだい?お父さんかお母さんは居ないの?」
するとその子は俺にこう言った。
「坊やって失礼ですわ、戦士様。私は女です!」
「ああ女の子だったの?ごめんごめん、フードかぶってるからよくわからなかった」
「それに私は子供じゃありません。18歳の魔法使い、名前はミンミンです」
え・・・18歳!それにしちゃ幼く見えるなあ。。
「本当に?じゃあ俺と同い歳じゃない。それは失礼したミンミン。俺はマーカスだ。で、何か用?」
ミンミンと名乗る魔法使いの少女は、少しもじもじした様子で話し始めた。
「マーカス様、あなた今、ラビットとスライムの依頼を受けましたよね?」
「ああ受けた。それが何か?」
「どうか私をマーカス様のパーティーにお加えください。必ず役に立ちます」
「パーティーだって?レベル1の依頼にそんなの必要ないだろう」
「失礼ですがマーカス様、初めてのクエストですよね?いったいどこで狩りをするおつもりですか?」
「どこって町の外を適当に歩き回ったら出て来るんじゃないの?」
ミンミンは白い手袋を付けた、太短い人差し指を顔の前で振りながら言った。
「それは甘いお考えですわ。ラビットやスライムは達成難易度の低いぶん、人気の獲物なのですよ。誰も自分の狩場は教えませんわ」
それは知らなかった。ゲームなら簡単に遭遇できるのに。
「私なら魔法で獲物をおびきよせることができます。マーカス様はただ獲物を倒してくれればいいのです」
なるほど、それは効率が良さそうだ。
俺はミンミンとパーティーを組んでみるのもいいかと考えた。
「報酬は俺が7割、ミンミンが3割だ。それでよければパーティーに加えよう」
ミンミンはうれしそうに満面の笑みを浮かべた。
「ありがとうございますマーカス様。ミンミン、一生懸命働きます」
ミンミンと共に冒険者ギルドの建物の外に出ると、3人の女の子たちが駆け寄って来た。
3人ともすらりと背が高く、スレンダーだが豊かな胸を持った美少女たちだ。
「「マーカス様、お待ちしてました」」
「はあ・・ええと誰だっけ?」
美少女たちは一様にはにかむようにうつむき加減である。
そのうちのひとりが意を決したように言った。
「あの、私たちは上級冒険者サロンで働いている者です。仕事が終わりましたのでマーカス様と外でお会いしたくてお待ちしていたのです」
ああそうか。サロンの女の子なら選りすぐりの美少女なわけだ。
そしてこれはいわゆる『出待ち』されていたんだな。
そうそう俺は美少年でとてもモテるのだった。
「マーカス様、この子たちはなんですか?」
そう言いながらミンミンが俺の服の裾を引っ張る。
その様子を見て美少女たちのひとりが言った。
「あら、マーカス様。お子様ですか?かわいい坊やですね」
「違います!私は女魔法使い。マーカス様のパーティーの一員です!」
それを聞いた美少女たちは顔を見合わせてくすくす笑った。
「何がおかしいんですか!」
いきり立つミンミンを、まあまあとなだめてから言った。
「ミンミン、今日はもう遅くなるからクエストは明日からだ。明日朝に冒険者ロビーに集合しよう。じゃあ、ここで」
ポカンとしているミンミンはとりあえずここに放置することにした。
俺は見た目は純朴そうな美少年であるが、中身はおっさんである。
目の前に美味しそうな美少女たちがお皿に乗っているのを見逃すわけにはいかない。
「君たち、よかったらこれからご飯でも食べにいかないか?」
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