8 / 44
第一章:転生と旅立ち
とりあえず戦士になった
しおりを挟む
俺は対戦相手の戦士に手を差し伸べ助け起こしてやった。
戦士は立ち上がるとそのまま俺の手を高々と上げてくれた。
そして俺の手を握りしめてこう言った。
「まったく歯が立たなかった。歴戦の戦士である俺がまるで子供扱いだ。やはり伝説の超武術カラテは本物だ」
ライラ部長も俺に近づいてきて言った。
「マーカスさんはやはり本当にカラテマスターだったのですね。この町からカラテマスターの戦士が誕生するなんて本当に誇らしいことです」
「つまり試験は合格ということですね」
念のため俺は合否を確認した。
「もちろんですとも。さっそくギルドに登録しましょう。受付に戻ってください」
こうして俺は再びさきほどの受付のある建物に行き、登録の手続きを進めることにした。
美人担当者に名前を呼ばれて俺は窓口に行った。
「マーカスさん、では戦士としてのIDカードをお渡しします。ギルドへの登録費用は10000キルトです」
「え?登録費用は5000キルトと聞いてましたけど」
「それは一般職のギルドの場合です。冒険者ギルドへの登録は10000キルトなんです。1年ごとの更新時にも10000キルトかかります」
美人担当者は申し訳なさそうにそう言った。
俺はしぶしぶ鞄の所持金表示を押して、巾着から10000キルト分の銀貨を取り出した。
親父に貰った、なけなしの金だ。所持金表示はまた9800キルトになってしまった。
「はい、たしかに10000キルト受け取りました。こちら領収書とIDカードです。心配なさらなくても大丈夫ですよ、戦士なら10000キルトくらい簡単に稼げますから」
俺が金を払う時に落ち込んでいる様子を見て美人担当者がそう言った。
「じゃあ、さっそくなんですけど今日すぐに依頼(クエスト)を受注することはできますか?」
「はい、もちろん。それではそこの案内図にある、冒険者ギルドの建物に行ってください」
「そうします」
ここで俺は大事なことを思い出した。
「ところでもうひとつ聞いておきたいんですけど、さっきのHP、MP表示が無いのはどうしてですか?」
「ああ、それはカラテマスターのHP、MPは基本的に無限大だからです」
この答えには、俺はかなり驚かされた。
「あの、無限大ということは、私には無限大に攻撃力と守備力があって、どんな魔法でも使えるってことですか?」
「あ、いえ、そうではなくて、マーカスさんの場合は今レベル1ですので、そのレベルに応じて無限大ってことです。でもおそらくダメージを受けることはほとんどありませんし、クリティカル出現率はほぼ100%です。もちろんレベルなりのクリティカルですけど」
「ああなるほど。たとえば新しい呪文を覚えれば、その魔法は無制限に使えるんですね」
「はい、そういうことになりますね」
うん、それは悪くない。俺は期待以上にチートな存在らしい。あとはレベルを上げていけばいいだけだ。
受付のある建物を出て、農業ギルドと商工ギルドの入った建物の前を通り過ぎる。
その向こう側に、精緻な彫刻で彩られたひときわ立派で風格ある建物があった。
この建物が冒険者ギルドらしい。
入り口から中に入ろうとすると守衛に呼び止められた。
「ああ、ちょっと。一般のギルドはあっちの建物だよ」
華奢な少年である俺はたしかに冒険者には見えないだろう。
俺は守衛にIDカードを提示した。
守衛はそのカードを見て目を白黒させて驚いている様子だ。
「ああああ・・こ、これは失礼しました。カラテマスターの戦士なんて初めてお目にかかります。どうぞお入りください」
建物の中に入ると、そこは広いロビーのようだった。
いかにも冒険者といった風体の男女たちが居る。
剣を背負い頬に刀傷のある男、武闘家らしい女、アラブ風の旅装束の男女。いかにも魔法使い風の少女。
そんな連中ががやがやと会話したり、休憩したりしている。
テーブルと椅子が並べられている一角があるので、俺はそこで腹ごしらえをすることにした。
椅子に座り、テーブルに鞄から取り出した弁当を広げる。
弁当を食べていると、ベリーダンサーのような衣装を着た女が同じテーブルの隣の椅子に腰かけ話かけてきた。
「かわいい坊やね。あなた見かけによらず冒険者なの?」
「はい、新米なんですけど」
「あらあら、冒険者どうしの会話では敬語はタブーなのよ。気を付けなさい」
「ああそうなんですか・・・じゃなくてそうなんだ」
「そう、それでいいわ」
女はケラケラと笑いながら言った。
「パーティーを組んだときに誰がリーダーか敵に見破られないための作法なのよ。例外は魔法使いの女の子ね。魔法少女は敬語で喋る子が多いわ」
「よくわかった。教えてくれてありがとう。覚えておく」
「いいのよ。私はこんな格好しているけど闘士なの。あなたは?華奢な体しているから魔法使いかしら?」
俺はIDを見せて言った。
「いや、俺は戦士だ」
女は目を丸くして絶句し、少しの沈黙の後に口を開いた。
「やだ、ここはあなたの居場所じゃないわよ。あなたの居場所はあっち。上級冒険者サロンてあるでしょ?戦士と魔導士以上はあっちなの」
女の指さす方にはたしかに『上級冒険者サロン』と書かれた部屋の扉があった。
「こんなところでお弁当なんか食べなくても、あっちにはレストランもバーもあってすべてフリーなのよ。私も早く戦士になってあっちに行きたいわ」
戦士は立ち上がるとそのまま俺の手を高々と上げてくれた。
そして俺の手を握りしめてこう言った。
「まったく歯が立たなかった。歴戦の戦士である俺がまるで子供扱いだ。やはり伝説の超武術カラテは本物だ」
ライラ部長も俺に近づいてきて言った。
「マーカスさんはやはり本当にカラテマスターだったのですね。この町からカラテマスターの戦士が誕生するなんて本当に誇らしいことです」
「つまり試験は合格ということですね」
念のため俺は合否を確認した。
「もちろんですとも。さっそくギルドに登録しましょう。受付に戻ってください」
こうして俺は再びさきほどの受付のある建物に行き、登録の手続きを進めることにした。
美人担当者に名前を呼ばれて俺は窓口に行った。
「マーカスさん、では戦士としてのIDカードをお渡しします。ギルドへの登録費用は10000キルトです」
「え?登録費用は5000キルトと聞いてましたけど」
「それは一般職のギルドの場合です。冒険者ギルドへの登録は10000キルトなんです。1年ごとの更新時にも10000キルトかかります」
美人担当者は申し訳なさそうにそう言った。
俺はしぶしぶ鞄の所持金表示を押して、巾着から10000キルト分の銀貨を取り出した。
親父に貰った、なけなしの金だ。所持金表示はまた9800キルトになってしまった。
「はい、たしかに10000キルト受け取りました。こちら領収書とIDカードです。心配なさらなくても大丈夫ですよ、戦士なら10000キルトくらい簡単に稼げますから」
俺が金を払う時に落ち込んでいる様子を見て美人担当者がそう言った。
「じゃあ、さっそくなんですけど今日すぐに依頼(クエスト)を受注することはできますか?」
「はい、もちろん。それではそこの案内図にある、冒険者ギルドの建物に行ってください」
「そうします」
ここで俺は大事なことを思い出した。
「ところでもうひとつ聞いておきたいんですけど、さっきのHP、MP表示が無いのはどうしてですか?」
「ああ、それはカラテマスターのHP、MPは基本的に無限大だからです」
この答えには、俺はかなり驚かされた。
「あの、無限大ということは、私には無限大に攻撃力と守備力があって、どんな魔法でも使えるってことですか?」
「あ、いえ、そうではなくて、マーカスさんの場合は今レベル1ですので、そのレベルに応じて無限大ってことです。でもおそらくダメージを受けることはほとんどありませんし、クリティカル出現率はほぼ100%です。もちろんレベルなりのクリティカルですけど」
「ああなるほど。たとえば新しい呪文を覚えれば、その魔法は無制限に使えるんですね」
「はい、そういうことになりますね」
うん、それは悪くない。俺は期待以上にチートな存在らしい。あとはレベルを上げていけばいいだけだ。
受付のある建物を出て、農業ギルドと商工ギルドの入った建物の前を通り過ぎる。
その向こう側に、精緻な彫刻で彩られたひときわ立派で風格ある建物があった。
この建物が冒険者ギルドらしい。
入り口から中に入ろうとすると守衛に呼び止められた。
「ああ、ちょっと。一般のギルドはあっちの建物だよ」
華奢な少年である俺はたしかに冒険者には見えないだろう。
俺は守衛にIDカードを提示した。
守衛はそのカードを見て目を白黒させて驚いている様子だ。
「ああああ・・こ、これは失礼しました。カラテマスターの戦士なんて初めてお目にかかります。どうぞお入りください」
建物の中に入ると、そこは広いロビーのようだった。
いかにも冒険者といった風体の男女たちが居る。
剣を背負い頬に刀傷のある男、武闘家らしい女、アラブ風の旅装束の男女。いかにも魔法使い風の少女。
そんな連中ががやがやと会話したり、休憩したりしている。
テーブルと椅子が並べられている一角があるので、俺はそこで腹ごしらえをすることにした。
椅子に座り、テーブルに鞄から取り出した弁当を広げる。
弁当を食べていると、ベリーダンサーのような衣装を着た女が同じテーブルの隣の椅子に腰かけ話かけてきた。
「かわいい坊やね。あなた見かけによらず冒険者なの?」
「はい、新米なんですけど」
「あらあら、冒険者どうしの会話では敬語はタブーなのよ。気を付けなさい」
「ああそうなんですか・・・じゃなくてそうなんだ」
「そう、それでいいわ」
女はケラケラと笑いながら言った。
「パーティーを組んだときに誰がリーダーか敵に見破られないための作法なのよ。例外は魔法使いの女の子ね。魔法少女は敬語で喋る子が多いわ」
「よくわかった。教えてくれてありがとう。覚えておく」
「いいのよ。私はこんな格好しているけど闘士なの。あなたは?華奢な体しているから魔法使いかしら?」
俺はIDを見せて言った。
「いや、俺は戦士だ」
女は目を丸くして絶句し、少しの沈黙の後に口を開いた。
「やだ、ここはあなたの居場所じゃないわよ。あなたの居場所はあっち。上級冒険者サロンてあるでしょ?戦士と魔導士以上はあっちなの」
女の指さす方にはたしかに『上級冒険者サロン』と書かれた部屋の扉があった。
「こんなところでお弁当なんか食べなくても、あっちにはレストランもバーもあってすべてフリーなのよ。私も早く戦士になってあっちに行きたいわ」
0
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
淫らなお姫様とイケメン騎士達のエロスな夜伽物語
瀬能なつ
恋愛
17才になった皇女サーシャは、国のしきたりに従い、6人の騎士たちを従えて、遥か彼方の霊峰へと旅立ちます。
長い道中、姫を警護する騎士たちの体力を回復する方法は、ズバリ、キスとH!
途中、魔物に襲われたり、姫の寵愛を競い合う騎士たちの様々な恋の駆け引きもあったりと、お姫様の旅はなかなか困難なのです?!
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
逆転世界でヘイトを溜めて犯されよう!〜貞操逆転世界で犯されたいリメイク版〜
腹筋パンダ(出張)
恋愛
早乙女隼人(さおとめはやと)は女に犯されたい願望を持つMな高校2年生。めちゃくちゃイケメンだが童貞だ。あほな事故で貞操が逆転した世界に迷い混んでしまう。貞操が逆転した世界だと分かった彼は思う。「夢の逆輪姦…いや輪姦して貰えるのでは?」と。
この世界で犯されるのは簡単だ。さてどのようにして女の子に犯されよう…
メインはノクターンノベルズで投稿しています‼️
*/寝取られは嫌いなので絶対にありません(断言)
私が好きだった(この作品を書いていた)作家さんが突然投稿をやめてしまわれたので、後を引き継ぐ形で投稿しております。
土曜日と日曜日の投稿でやっていきます。
よろしくお願いします!
是非ブクマと評価お願いします‼️
Twitterもやってますのでぜひそちらも覗いてみてください‼︎
【※R-18】異世界のゲートをくぐり抜けたら、イケメン達に取り合いされる最強のチートキャラ人生が待っていた。
aika
恋愛
穂花は、彼氏とテーマパークでデート中、大喧嘩になり振られてしまう。
ショックで動けず閉園時間まで一人過ごしていると、テーマパークのシンボルとなっているお城のゲートが開いているのが見えた。
長身のイケメンがゲートをくぐり抜けていくのを目撃し、一目惚れした彼女は後に続いてゲートをくぐる。
そこにはテーマパークの動物達が獣人として暮らす、メルヘンな世界が広がっていた。
穂花は異世界に来てしまったことに気付く。そこは獣人と人間が共存する世界。
平和そのものに見える彼らの世界では、謎の熱病が流行り、「世界の終わり」が始まっていた。
熱病に罹ったものは、人格を失い、自らの能力が暴走してしまうらしい。
穂花は、彼らと交わることによって「暴走した力を無力化できる」というチート能力を持っていて・・・・
男だらけの異世界で、イケメン達から求められまくるオイシイ物語が、穂花を待っていた。
(※R-18描写あり)
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【R18】スライムにマッサージされて絶頂しまくる女の話
白木 白亜
ファンタジー
突如として異世界転移した日本の大学生、タツシ。
世界にとって致命的な抜け穴を見つけ、召喚士としてあっけなく魔王を倒してしまう。
その後、一緒に旅をしたスライムと共に、マッサージ店を開くことにした。卑猥な目的で。
裏があるとも知れず、王都一番の人気になるマッサージ店「スライム・リフレ」。スライムを巧みに操って体のツボを押し、角質を取り、リフレッシュもできる。
だがそこは三度の飯よりも少女が絶頂している瞬間を見るのが大好きなタツシが経営する店。
そんな店では、膣に媚薬100%の粘液を注入され、美少女たちが「気持ちよくなって」いる!!!
感想大歓迎です!
※1グロは一切ありません。登場人物が圧倒的な不幸になることも(たぶん)ありません。今日も王都は平和です。異種姦というよりは、スライムは主人公の補助ツールとして扱われます。そっち方面を期待していた方はすみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる