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第一章:転生と旅立ち
プロローグ:いつの間にか異世界にいたようだ。
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どうやら俺は異世界に来ていたようだ。
不覚にもここが異世界であるということに気づくのが遅すぎた感はある。
仕事の関係で毎日パソコンの前に座っている俺は、ある日「ネット小説」というものの存在を知った。
誰でも小説を投稿できるサイトの存在を知って、これは面白いと思った。
子供のころから読書好きだった俺は、ひとつ小説を書いてみようと考えた。
そして実際に何作か書いてみたのだが、俺はある違和感を覚えた。
ネット小説の世界では、小説の概念が俺のいままで住んでいた世界とはかなり違うのだ。
『悪役令嬢』?『チートスキル』?『転生』?『~な件』なんじゃそりゃ?
・・・そう、ここはまったくの異世界なのだ!!
いや、最初に気付かなかったわけではないんだ。
はじめてネット小説のランキングを見たときにもその違和感はあった。
ランキング上位の作品はほぼ例外なく『異世界ファンタジー』である。
もちろん総合ランキングの他にもジャンル別のランキングがある。
たとえば純文学、ヒューマンドラマ、アクション、ホラー、ミステリー、歴史など。
しかしそれらのジャンルにおいても、上位を独占しているのはやはり『異世界ファンタジー』なのである。
そう、ここでは異世界が基本設定でない作品は小説ではないのだ!!
あれこれ調べると、この世界には『テンプレ』と呼ばれるものが存在するらしい。
これは作者が最低限守らなければならないルールのようなものだ。
もちろん作者の中には『テンプレ外し』という、テンプレに縛られない自由な創作を志す者も少なからず存在する。
しかし、彼らがランキング上位に浮上することは皆無に等しい。
誰にも読んでもらえない自慰小説に甘んじるしかないのだ。
俺は決意した!!!異世界ファンタジー小説を書く!
この世界に来たからには、この世界のルールに従い、この世界を制するのだ!!
文学的にどうだとか、良質な作品をとか、そんなプライドはドブに捨ててしまえ。
俺は誰も読まない自慰小説をシコシコ書き続けるなんて御免である。
決意したからには武器が必要である。
この世界での俺はまだレベル1。
これから現れるモンスターたちと戦うのに素手というわけにはいかない。
俺はこの世界で最低限必要な武器『テンプレ』を手に入れようとした。
そこで今の俺が唯一使える魔法、世の中のことが何でも分かるググルの呪文を唱えた。
・・・!!!
これは、どういうことなのだ??
『テンプレ』というからには、きっちりした雛形や定型が存在するものとばかり思っていたが、そんなものはどこにも無いのである。
『テンプレ』とは非常にざっくりした、ぼんやりしたイメージのようなものなのだ。
一応、いろんな人が『テンプレ』を定型化しようと試みた跡はあるにはあるのだが、これが決定版というようなものは見当たらない。
そんな中で共通項を自分なりにまとめてみることにした。
『テンプレ』で外せない要素はおよそ次の3つである。
(1)主人公は異世界に転生する。
(2)チート能力を手に入れる。
(3)ハーレム状態になる。
異世界とは基本、ゲーム世界である。中世ヨーロッパ風が多いがまあ適当な設定でいいようだ。
チート能力は、とにかく圧倒的に最強・無敵・無双であること。
ハーレム状態は必須ではないという意見もあるが、あったほうがウケが良いのは事実のようだ。
あと、細かい注意点はいろいろある。
まず、主人公には極力苦労させないことである。
努力とか、苦痛とかはタブーなのだ。
ここは少年ジャンプの世界ではない。
ネット小説はたとえば通勤電車のなかでスマホで読むものである。
日常のストレスから解放されたくて読む小説において、ストレスになる努力や根性は嫌われるのだ。
次に読みやすさも重要だ。
ネット小説はヘビーな読書家を相手にするわけではない。
軽く読み流せる軽妙な文章でなければ、すぐに読者が離脱するであろう。
できるだけスペースを多めにして、難しい漢字や言い回しは避けよう。
そうそう、あとタイトルも重要だ。
ランキング上位作品や、書籍化された作品を参考に検索されやすそうなキーワードを散りばめたタイトルにしよう。
・・・こうして俺の冒険の旅は今始まった。まずは冒険の世界への転生しなきゃね。
不覚にもここが異世界であるということに気づくのが遅すぎた感はある。
仕事の関係で毎日パソコンの前に座っている俺は、ある日「ネット小説」というものの存在を知った。
誰でも小説を投稿できるサイトの存在を知って、これは面白いと思った。
子供のころから読書好きだった俺は、ひとつ小説を書いてみようと考えた。
そして実際に何作か書いてみたのだが、俺はある違和感を覚えた。
ネット小説の世界では、小説の概念が俺のいままで住んでいた世界とはかなり違うのだ。
『悪役令嬢』?『チートスキル』?『転生』?『~な件』なんじゃそりゃ?
・・・そう、ここはまったくの異世界なのだ!!
いや、最初に気付かなかったわけではないんだ。
はじめてネット小説のランキングを見たときにもその違和感はあった。
ランキング上位の作品はほぼ例外なく『異世界ファンタジー』である。
もちろん総合ランキングの他にもジャンル別のランキングがある。
たとえば純文学、ヒューマンドラマ、アクション、ホラー、ミステリー、歴史など。
しかしそれらのジャンルにおいても、上位を独占しているのはやはり『異世界ファンタジー』なのである。
そう、ここでは異世界が基本設定でない作品は小説ではないのだ!!
あれこれ調べると、この世界には『テンプレ』と呼ばれるものが存在するらしい。
これは作者が最低限守らなければならないルールのようなものだ。
もちろん作者の中には『テンプレ外し』という、テンプレに縛られない自由な創作を志す者も少なからず存在する。
しかし、彼らがランキング上位に浮上することは皆無に等しい。
誰にも読んでもらえない自慰小説に甘んじるしかないのだ。
俺は決意した!!!異世界ファンタジー小説を書く!
この世界に来たからには、この世界のルールに従い、この世界を制するのだ!!
文学的にどうだとか、良質な作品をとか、そんなプライドはドブに捨ててしまえ。
俺は誰も読まない自慰小説をシコシコ書き続けるなんて御免である。
決意したからには武器が必要である。
この世界での俺はまだレベル1。
これから現れるモンスターたちと戦うのに素手というわけにはいかない。
俺はこの世界で最低限必要な武器『テンプレ』を手に入れようとした。
そこで今の俺が唯一使える魔法、世の中のことが何でも分かるググルの呪文を唱えた。
・・・!!!
これは、どういうことなのだ??
『テンプレ』というからには、きっちりした雛形や定型が存在するものとばかり思っていたが、そんなものはどこにも無いのである。
『テンプレ』とは非常にざっくりした、ぼんやりしたイメージのようなものなのだ。
一応、いろんな人が『テンプレ』を定型化しようと試みた跡はあるにはあるのだが、これが決定版というようなものは見当たらない。
そんな中で共通項を自分なりにまとめてみることにした。
『テンプレ』で外せない要素はおよそ次の3つである。
(1)主人公は異世界に転生する。
(2)チート能力を手に入れる。
(3)ハーレム状態になる。
異世界とは基本、ゲーム世界である。中世ヨーロッパ風が多いがまあ適当な設定でいいようだ。
チート能力は、とにかく圧倒的に最強・無敵・無双であること。
ハーレム状態は必須ではないという意見もあるが、あったほうがウケが良いのは事実のようだ。
あと、細かい注意点はいろいろある。
まず、主人公には極力苦労させないことである。
努力とか、苦痛とかはタブーなのだ。
ここは少年ジャンプの世界ではない。
ネット小説はたとえば通勤電車のなかでスマホで読むものである。
日常のストレスから解放されたくて読む小説において、ストレスになる努力や根性は嫌われるのだ。
次に読みやすさも重要だ。
ネット小説はヘビーな読書家を相手にするわけではない。
軽く読み流せる軽妙な文章でなければ、すぐに読者が離脱するであろう。
できるだけスペースを多めにして、難しい漢字や言い回しは避けよう。
そうそう、あとタイトルも重要だ。
ランキング上位作品や、書籍化された作品を参考に検索されやすそうなキーワードを散りばめたタイトルにしよう。
・・・こうして俺の冒険の旅は今始まった。まずは冒険の世界への転生しなきゃね。
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