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絶対に幸せにするから
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目を覚ますとトリノさんが寝台に跨がり剣を振り下ろそうとしている瞬間だった。
「貴方が生きていたからこの世界は不運になり厄災の魔物が溢れてしまいました。魔物討伐の為に異世界人の力を借りなければならなかった侮辱、貴方にわかりますか?」
「わからない」
「そうでしょうね」
僕はわからない。
だって僕は貴方じゃないから。
貴方の苦しみはわからないよ。
トリノさんの剣が僕の胸を貫くように振り下ろされた。
キィン!
「スイ!」
僕の胸元に到着するよりも早くトリノさんの剣を弾いたのはジオだった。
「間に合って良かった!スイ無事か!」
「ジオのお陰で無傷だけどどうしてここに?」
「スイの義父さんが教えてくれたんだ」
ジオがぎゅって抱き締めてくれる。
ジオの温もりはいつだって僕を守ってくれるんだ。
「青い鳥のテイマー暗殺容疑にて現行犯逮捕する!」
「そんなバカな!青い鳥の神官である私を捕らえるとは不敬ですよ!」
トリノさんはいつの間にか義父さんに拘束されていた。
義父さんって強かったんだ。ひぇー。
「トリノを離せ!トリノは俺とこの世界の為に悪を撃ち取ろうとしただけだ!何も悪くない!」
喋る犬が義父さん目掛けて襲いかかってきた。
「義父さん!」
僕は義父さんを助けたに行きたかったが体が強ばって身動きが取れなかった。
義父さんは襲いかかってきた犬に目もくれず、拘束器具が空中から出現し犬に首輪をした。
「ガルル」
外せと言わんばかりに犬は吠えるが首輪の拘束具から電流が流れると「ひゃふん!」と痙攣して大人しくなった。
と、義父さんもしかして最強チートですか?
お、恐ろしい。
義父さんは今後怒らせないようにしようと心に誓った。
トリノさんと犬は義父さんに連行された。
詳しい話は後日してくれるとのことだったので大人しく寝た。
ぴったりくっついて離れないジオと青い鳥が可愛らしかった。
「ピィョピィョ」
朝日が眩しい。
青い鳥がピィョピィョと鳴いているのが目覚ましがわりになった。
起き上がるとジオの寝顔が想像以上に近くて驚いてしまった。
固く張りつめた下半身が押し付けられ、生理現象だとわかっていてもどぎまぎしてしまった。
「ジオ起きて?朝だよ」
「んー。おはようスイ」
チュッとデコチュウ。
「朝の挨拶だよ」って破壊力抜群なんですけど!
僕の心臓が持たないよ。
朝食を食べながら経緯を義父さんから教えて貰うことになった。
義父さんと食事を共にするのはいつ振りだろうか?
緊張する。
「まず始めにスイには辛い思いをさせすまなかった。謝罪する。だがどうしてもこの方法しかなかった」
義父さんは名刺を取り出した。
「株式会社ラックブルーワールド。代表取締役。青鳥電。義父さんって社長だったの?」
し、知らなかった。
しかも株式会社ラックブルーワールドって、オンラインゲームラックブルーワールドの製作会社じゃん。
「私はスイを拾って異世界の存在を知った。まだ見ぬ異世界に興味を持ちバーチャル世界として行き来を可能にした話は以前しただろう。私は異世界の青い鳥のテイマーがスイで何者かに殺されかけて地球に逃げ延びたのではと憶測を立てた。
容疑者を割り出し確実に捕らえたかったのだが特定には至らずスイを囮に使ってしまった。すまなかった」
義父さんに頭を下げて謝罪されあたふたしてしまう。
「そ、そんな謝らないでください。むしろ見ず知らずの僕を拾って養ってくださりありがとうございました」
けして裕福な暮らしではなかった。
それでも義父さんが僕を養ってくれた事実は変わらないし、義父さんが僕の事を認識してくれていただけで嬉しかった。
「俺は文句言いたいこと沢山あるけどスイの前ではカッコ悪いから言わねーよ。あんたがスイの保護者なのは事実だしな」
ジオの苛立ちに義父さんは「お手柔らかに」と苦笑した。
「だがこれだけは言わせて貰うぜ。スイは俺が貰うから。そんでもってうんと甘やかして大事にして絶対に幸せにするからスイを俺にください」
ジオは義父さんに黙々と頭を下げた。
結婚前の「娘さんを俺にください」のような対応に赤面していると「ピィ!ピィ!」と青い鳥が抗議の声をあげた。
「あはは。どうやら私だけの判断ではスイはあげられないようだね」
「ピィ!」
同意と言わんばかりに胸を張る青い鳥。
「やれやれ。青い鳥は手強そうだ。でも絶対に負けねーから!」
「ピィー!」
ジオと青い鳥の宣戦布告でどちらがスイをより幸福にするのか?の微笑ましい対決が幕を開けた。
「貴方が生きていたからこの世界は不運になり厄災の魔物が溢れてしまいました。魔物討伐の為に異世界人の力を借りなければならなかった侮辱、貴方にわかりますか?」
「わからない」
「そうでしょうね」
僕はわからない。
だって僕は貴方じゃないから。
貴方の苦しみはわからないよ。
トリノさんの剣が僕の胸を貫くように振り下ろされた。
キィン!
「スイ!」
僕の胸元に到着するよりも早くトリノさんの剣を弾いたのはジオだった。
「間に合って良かった!スイ無事か!」
「ジオのお陰で無傷だけどどうしてここに?」
「スイの義父さんが教えてくれたんだ」
ジオがぎゅって抱き締めてくれる。
ジオの温もりはいつだって僕を守ってくれるんだ。
「青い鳥のテイマー暗殺容疑にて現行犯逮捕する!」
「そんなバカな!青い鳥の神官である私を捕らえるとは不敬ですよ!」
トリノさんはいつの間にか義父さんに拘束されていた。
義父さんって強かったんだ。ひぇー。
「トリノを離せ!トリノは俺とこの世界の為に悪を撃ち取ろうとしただけだ!何も悪くない!」
喋る犬が義父さん目掛けて襲いかかってきた。
「義父さん!」
僕は義父さんを助けたに行きたかったが体が強ばって身動きが取れなかった。
義父さんは襲いかかってきた犬に目もくれず、拘束器具が空中から出現し犬に首輪をした。
「ガルル」
外せと言わんばかりに犬は吠えるが首輪の拘束具から電流が流れると「ひゃふん!」と痙攣して大人しくなった。
と、義父さんもしかして最強チートですか?
お、恐ろしい。
義父さんは今後怒らせないようにしようと心に誓った。
トリノさんと犬は義父さんに連行された。
詳しい話は後日してくれるとのことだったので大人しく寝た。
ぴったりくっついて離れないジオと青い鳥が可愛らしかった。
「ピィョピィョ」
朝日が眩しい。
青い鳥がピィョピィョと鳴いているのが目覚ましがわりになった。
起き上がるとジオの寝顔が想像以上に近くて驚いてしまった。
固く張りつめた下半身が押し付けられ、生理現象だとわかっていてもどぎまぎしてしまった。
「ジオ起きて?朝だよ」
「んー。おはようスイ」
チュッとデコチュウ。
「朝の挨拶だよ」って破壊力抜群なんですけど!
僕の心臓が持たないよ。
朝食を食べながら経緯を義父さんから教えて貰うことになった。
義父さんと食事を共にするのはいつ振りだろうか?
緊張する。
「まず始めにスイには辛い思いをさせすまなかった。謝罪する。だがどうしてもこの方法しかなかった」
義父さんは名刺を取り出した。
「株式会社ラックブルーワールド。代表取締役。青鳥電。義父さんって社長だったの?」
し、知らなかった。
しかも株式会社ラックブルーワールドって、オンラインゲームラックブルーワールドの製作会社じゃん。
「私はスイを拾って異世界の存在を知った。まだ見ぬ異世界に興味を持ちバーチャル世界として行き来を可能にした話は以前しただろう。私は異世界の青い鳥のテイマーがスイで何者かに殺されかけて地球に逃げ延びたのではと憶測を立てた。
容疑者を割り出し確実に捕らえたかったのだが特定には至らずスイを囮に使ってしまった。すまなかった」
義父さんに頭を下げて謝罪されあたふたしてしまう。
「そ、そんな謝らないでください。むしろ見ず知らずの僕を拾って養ってくださりありがとうございました」
けして裕福な暮らしではなかった。
それでも義父さんが僕を養ってくれた事実は変わらないし、義父さんが僕の事を認識してくれていただけで嬉しかった。
「俺は文句言いたいこと沢山あるけどスイの前ではカッコ悪いから言わねーよ。あんたがスイの保護者なのは事実だしな」
ジオの苛立ちに義父さんは「お手柔らかに」と苦笑した。
「だがこれだけは言わせて貰うぜ。スイは俺が貰うから。そんでもってうんと甘やかして大事にして絶対に幸せにするからスイを俺にください」
ジオは義父さんに黙々と頭を下げた。
結婚前の「娘さんを俺にください」のような対応に赤面していると「ピィ!ピィ!」と青い鳥が抗議の声をあげた。
「あはは。どうやら私だけの判断ではスイはあげられないようだね」
「ピィ!」
同意と言わんばかりに胸を張る青い鳥。
「やれやれ。青い鳥は手強そうだ。でも絶対に負けねーから!」
「ピィー!」
ジオと青い鳥の宣戦布告でどちらがスイをより幸福にするのか?の微笑ましい対決が幕を開けた。
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