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海賊編 第十一章 黒煙竜
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しおりを挟むティーラ姫が、城に戻ってしまったので、仕方がなく、フォーチューン国へと向かっていた船も港街へと戻って来た。
イハ王子の暴走により痛んでしまった城の修繕は、順調に開始された。
ラセは、王と王妃から、託された書状を胸に抱いて、海を眺めていた。
今回の事件をきっかけに、正式にイハ王子とノーリア姫との婚姻は解消された。
もちろん、ゲオルグとティーラ姫の婚姻も解消された。
新たに、ゲオルグとノーリア姫の間に婚姻が結ばれて、ゲオルグは照れくさそうにしていた。
ノーリア姫も微笑んでいて、お似合いだと思う。
「ラセ!出航するぞ!」
ルイが、甲板の上から呼んでいる。
「は~い」
ラセは、久しぶりに、海賊船へと乗り込んだ。
気まずい表情をした、クレイとチャナに出くわす。
ラセは、自分を奮い立たせて、笑みを浮かべた。
「これから、お世話になります。よろしくお願い致します」
何事もなかったかのような、ラセの態度にクレイとチャナは拍子抜けしてしまった。
セイハ王と、ロティーラ王妃の末姫。セラ姫が生きていたことが、公に公開された。
セラ姫は、ティーラ姫の任務を引き継ぎ、使者としてフォーチューン国へと出航する事が決定された。
困惑する国民を差し置いて、ラセは船旅へと向かう。
ノーリア姫は、旅に同行従っていたが、怪我をして安静にしていなければいけないゲオルグの看病を頼まれて、残
念そうだった。
ゲオルグが、「やはり恋敵はラセか!」などとぼやいていたが、無視した。
マムは、情報屋兼闇の霧捜索部隊情報部をこなさなければならなかったので、水の国に残った。
同じく、海の上は苦手だと言ったガベルは、旧友であるデチャニー達と酒を飲んだ後、自分の店のある町へと帰って行った。
ラセは、甲板で潮風を浴びる。
隣では、ルイが、あくびをかみしめている。
セントミアも気持ちよさそうに塀の上で丸くなって寝ていた。
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