15 / 115
盗賊編 第七章 地の国クエル王国
15
しおりを挟む
辺り一面、砂漠に覆われた土地を馬車が走っていた。
だが、突然馬車が動かなくなった。
砂に車輪が埋もれてしまったのだ。
後ろから押してもびくともしないので、仕方なく砂を掘り始めた。
しばらく掘り続けると、車輪がようやく砂から抜け出した。
安心した瞬間。ロティーラは、砂の斜面を転がり落ちた。
流砂の中に落ちてしまったのだ。
すこしずつロティーラの身体が、砂の中へと飲み込まれていく。
助けようとしたセイハも足を滑らせて、流砂の中へと落ちてしまい、二人の身体は、砂の中へと飲み込まれてしまった。
「ロティーラ。セイハ」
エコシェニザーは、下を向いて泣き出してしまった。
「ここは、危険です。先へと進みましょう」
ジイは、エコシェニザーを馬車へと乗せると、流砂に呑まれないように注意して、先を急いだ。
エコシェニザーは、二人の無事を祈ることしかできなかった。
ロティーラ達は、物音で目をさました。
流砂に呑まれたはずなのに、土づくりの家で横になっていた。
物音は、奥の部屋から聞こえるようだ。
「あら、目覚めたの?」
太陽の様な黄色と橙色の混ざった髪をした少女が、お盆を持って現れた。
お盆には、いい匂いのするコンスープと焼きたてのカリカリパンが乗っている。
「おれ達は、流砂に飲み込まれたはずだけれども?」
セイハが不思議そうにしていると、少女が説明してくれた。
「砂漠の流砂に呑まれてしまった人を地の国。クエル王国の力で助け出しているからです」
家の呼び鈴が鳴る。
「ちょっと待っていて」
少女は玄関で立ち話を始めた。
話を終えた少女は暗い表情をしていた。
足取りも重い。
少女の手には一枚の手紙が握られていた。
「どうしたの?」
ロティーラが心配になって訪ねると、少女は泣き出してしまった。
「私、雨降祭りの生贄に選ばれてしまったの」
「え?」
ロティーラ達は突然の事態に驚愕してしまった。
まさか、助けてもらった人が、生贄に選ばれるとは予想できなかったからだ。
「助けてあげることはできないの?」
「う~ん。雨降祭りと言うからには、雨を降らす儀式なのだろう。
祭りの前に雨が降れば、祭りは中止になると思うけれども?」
「雨降祭りはいつですか?」
「五日後の夜よ」
「セイハ」
ロティーラは、セイハに目配せをした。
「わかっている」
ロティーラ達は、泣き疲れた少女を家に残して、人気のない通りへとやってくる。
「水の国、ウォーターランド王国の王子として、水の精霊達よ、力を貸したまえ。
雨雲を作り、五日以内に雨を降らしたまえ」
呪文を唱えたセイハの手のひらから、小さな雨雲が発生して、空へと舞いあがって行った。
「これで、大丈夫だろう」
「でも、もし雨が降らなかったら……」
「その時は、おれがなんとかしてやるから、安心しろ」
セイハの頼もしい言葉に、ロティーラの心がときめく。
セイハは時々かっこいい台詞を言うからずるいと思った。
三日後。
雨はまだ降っておらず、太陽の光だけが、砂漠の砂にあたり、金色に輝いている。
「セイハ。雨降らないじゃない。
このまま雨が降らなかったら、ミヤさんが、生贄にされちゃう」
だが、突然馬車が動かなくなった。
砂に車輪が埋もれてしまったのだ。
後ろから押してもびくともしないので、仕方なく砂を掘り始めた。
しばらく掘り続けると、車輪がようやく砂から抜け出した。
安心した瞬間。ロティーラは、砂の斜面を転がり落ちた。
流砂の中に落ちてしまったのだ。
すこしずつロティーラの身体が、砂の中へと飲み込まれていく。
助けようとしたセイハも足を滑らせて、流砂の中へと落ちてしまい、二人の身体は、砂の中へと飲み込まれてしまった。
「ロティーラ。セイハ」
エコシェニザーは、下を向いて泣き出してしまった。
「ここは、危険です。先へと進みましょう」
ジイは、エコシェニザーを馬車へと乗せると、流砂に呑まれないように注意して、先を急いだ。
エコシェニザーは、二人の無事を祈ることしかできなかった。
ロティーラ達は、物音で目をさました。
流砂に呑まれたはずなのに、土づくりの家で横になっていた。
物音は、奥の部屋から聞こえるようだ。
「あら、目覚めたの?」
太陽の様な黄色と橙色の混ざった髪をした少女が、お盆を持って現れた。
お盆には、いい匂いのするコンスープと焼きたてのカリカリパンが乗っている。
「おれ達は、流砂に飲み込まれたはずだけれども?」
セイハが不思議そうにしていると、少女が説明してくれた。
「砂漠の流砂に呑まれてしまった人を地の国。クエル王国の力で助け出しているからです」
家の呼び鈴が鳴る。
「ちょっと待っていて」
少女は玄関で立ち話を始めた。
話を終えた少女は暗い表情をしていた。
足取りも重い。
少女の手には一枚の手紙が握られていた。
「どうしたの?」
ロティーラが心配になって訪ねると、少女は泣き出してしまった。
「私、雨降祭りの生贄に選ばれてしまったの」
「え?」
ロティーラ達は突然の事態に驚愕してしまった。
まさか、助けてもらった人が、生贄に選ばれるとは予想できなかったからだ。
「助けてあげることはできないの?」
「う~ん。雨降祭りと言うからには、雨を降らす儀式なのだろう。
祭りの前に雨が降れば、祭りは中止になると思うけれども?」
「雨降祭りはいつですか?」
「五日後の夜よ」
「セイハ」
ロティーラは、セイハに目配せをした。
「わかっている」
ロティーラ達は、泣き疲れた少女を家に残して、人気のない通りへとやってくる。
「水の国、ウォーターランド王国の王子として、水の精霊達よ、力を貸したまえ。
雨雲を作り、五日以内に雨を降らしたまえ」
呪文を唱えたセイハの手のひらから、小さな雨雲が発生して、空へと舞いあがって行った。
「これで、大丈夫だろう」
「でも、もし雨が降らなかったら……」
「その時は、おれがなんとかしてやるから、安心しろ」
セイハの頼もしい言葉に、ロティーラの心がときめく。
セイハは時々かっこいい台詞を言うからずるいと思った。
三日後。
雨はまだ降っておらず、太陽の光だけが、砂漠の砂にあたり、金色に輝いている。
「セイハ。雨降らないじゃない。
このまま雨が降らなかったら、ミヤさんが、生贄にされちゃう」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
6
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる