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盗賊編 第四章 親分とトタプの関係
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ラルセは、強引にトタプをおれに押し付けて、海へと突き飛ばした。
海の中から浮上すると、船は燃え上がり、原型を失っていた。
船を燃やしたやつらは、闇の溶けるように居なくなった。
やつらが去った後から、旗が飛んできた。
紋章を見たとき、おれは驚愕した。
なんでも燃やしてしまう火の国の紋章だったからな。
その話をしたら、皆顔が真っ青になっていたぜ。
だれもおれのことを責めなかった。
今でも、おれはラルセや海賊仲間を犠牲にしてしまった事を後悔している」
「親分の行動は正しかったと思います。
仲間達だって、火の国に復讐したいはずだよ。
生きている、わたし達が、火の国を倒さなければいけないのだと思います」
「同感ですわ。私の国が治めている村を燃やすなんて絶対に許せませんわ」
ロティーラ達は、火の国を倒そうと固い誓いを立てた。
トタプが、ひそかに涙を流していたことには、誰も気付かなかった。
「親分聞きたいんだけど、どうして海賊から盗賊に転職したの?」
「おれも知りたいです」
ガベルは、恥ずかしそうに頭を掻いた。
「笑わないか?絶対に」
「笑わない」
「実は、火の国に襲われた後、水が沢山あるところが怖くなってしなったんだ。
だから、海賊から盗賊になったわけだ」
話が終わった瞬間。ロティーラ達は親分の情けなさに爆笑していた。
「笑わないって言っただろうが」
ロティーラ達は、怒った親分に拳骨を食らわされた。
「うふふ」
かすかに、上品な笑い声は聞こえた。
エコシェニザーが、口を押えて笑っているのだ。
「ご、ごめんなさい。ですが、貴方達を見ていると、面白くて」
エコシェニザーに釣られてか、ロティーラ達も笑い出してしまった。
けれども、エコシェニザーは、直ぐに笑うのを止めてしまった。
「羨ましいですわ。楽しく笑い会えて。
姫であると、気兼ねなく笑い会える相手がいないのですもの。
ただ、王の血が流れているからって姫様扱いされて。
私も普通の少女なのに」
寂しげな声を聞いたロティーラ達は、笑うのを止めた。
ロティーラだって、一度や二度はお城で暮している、お姫様に生まれたかったと望んだことがある。
けれども、実際の姫様から、寂しい現実を聞かされると思っていなかった。
「私は補欠の様なお姫様。上に二人も姫がいるんですもの。
一番目の姫様は、病弱でいつもお城に籠っていらっしゃるの。
二番目の姫様は、こういうのも失礼ですが、王の替りに使いに行かれるお方ではありませんでした。
お二人とも母上は異なりますが、木の国、シェザニー王国を継ぐ資格を持つ方達です。
私は、冒険や旅、探索に憧れる少女でした。
王の使いへも良く行きました。
今回は特別にジイだけを連れて旅に行くことを許可して頂きました。
けれども、私に護衛が付かなかったのは、国に取って不要な存在になってしまったからかもしれません」
「だから、護衛として、わたし達を使命したのね」
「脅して貴方達を護衛にしたのに、優しくしてくださるとは、思いませんでした」
「当たり前だよ。おれ達は、仲間なのだから。
だから、不要な存在だなんて虚しい事、自分で言うなよ」
「そうだよ。わたし達は、仲間なのだから」
ロティーラは、エコシェニザーの手を握りしめた。
おだやかな雰囲気が流れた時、殺気を感じて、セイハは後ろを振り返った。
「デチャニーだ!」
海の中から浮上すると、船は燃え上がり、原型を失っていた。
船を燃やしたやつらは、闇の溶けるように居なくなった。
やつらが去った後から、旗が飛んできた。
紋章を見たとき、おれは驚愕した。
なんでも燃やしてしまう火の国の紋章だったからな。
その話をしたら、皆顔が真っ青になっていたぜ。
だれもおれのことを責めなかった。
今でも、おれはラルセや海賊仲間を犠牲にしてしまった事を後悔している」
「親分の行動は正しかったと思います。
仲間達だって、火の国に復讐したいはずだよ。
生きている、わたし達が、火の国を倒さなければいけないのだと思います」
「同感ですわ。私の国が治めている村を燃やすなんて絶対に許せませんわ」
ロティーラ達は、火の国を倒そうと固い誓いを立てた。
トタプが、ひそかに涙を流していたことには、誰も気付かなかった。
「親分聞きたいんだけど、どうして海賊から盗賊に転職したの?」
「おれも知りたいです」
ガベルは、恥ずかしそうに頭を掻いた。
「笑わないか?絶対に」
「笑わない」
「実は、火の国に襲われた後、水が沢山あるところが怖くなってしなったんだ。
だから、海賊から盗賊になったわけだ」
話が終わった瞬間。ロティーラ達は親分の情けなさに爆笑していた。
「笑わないって言っただろうが」
ロティーラ達は、怒った親分に拳骨を食らわされた。
「うふふ」
かすかに、上品な笑い声は聞こえた。
エコシェニザーが、口を押えて笑っているのだ。
「ご、ごめんなさい。ですが、貴方達を見ていると、面白くて」
エコシェニザーに釣られてか、ロティーラ達も笑い出してしまった。
けれども、エコシェニザーは、直ぐに笑うのを止めてしまった。
「羨ましいですわ。楽しく笑い会えて。
姫であると、気兼ねなく笑い会える相手がいないのですもの。
ただ、王の血が流れているからって姫様扱いされて。
私も普通の少女なのに」
寂しげな声を聞いたロティーラ達は、笑うのを止めた。
ロティーラだって、一度や二度はお城で暮している、お姫様に生まれたかったと望んだことがある。
けれども、実際の姫様から、寂しい現実を聞かされると思っていなかった。
「私は補欠の様なお姫様。上に二人も姫がいるんですもの。
一番目の姫様は、病弱でいつもお城に籠っていらっしゃるの。
二番目の姫様は、こういうのも失礼ですが、王の替りに使いに行かれるお方ではありませんでした。
お二人とも母上は異なりますが、木の国、シェザニー王国を継ぐ資格を持つ方達です。
私は、冒険や旅、探索に憧れる少女でした。
王の使いへも良く行きました。
今回は特別にジイだけを連れて旅に行くことを許可して頂きました。
けれども、私に護衛が付かなかったのは、国に取って不要な存在になってしまったからかもしれません」
「だから、護衛として、わたし達を使命したのね」
「脅して貴方達を護衛にしたのに、優しくしてくださるとは、思いませんでした」
「当たり前だよ。おれ達は、仲間なのだから。
だから、不要な存在だなんて虚しい事、自分で言うなよ」
「そうだよ。わたし達は、仲間なのだから」
ロティーラは、エコシェニザーの手を握りしめた。
おだやかな雰囲気が流れた時、殺気を感じて、セイハは後ろを振り返った。
「デチャニーだ!」
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