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盗賊編 第三章 武器を持ち込めない町。ビテーイ
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「この町を見てどう思った?」
リーダーだと紹介されたベニルに質問されて、ロティーラは素直な感想を口にした。
「城と塀だけ立派で、街並みは、まるで廃墟のようで、民を大切にする気がないのね」
「この町は、税が高すぎるんだ。
パン一つでも金貨単位の値打ちがする。
この町が属している、木の国。シェニザー王国の人々は、城に居る奴らに洗脳されて、おれ達ストリート・チルドレンを悪者に仕立て上げているんだ。
まあ、実際旅人から、物を盗んでその日暮らしをしているから、反論は出来ないんだけれども」
先ほど、袋を盗んだ男の子クルが話を引き継いだ。
「木の国。シェニザー王国のお姫様は、慈愛に満ちたお優しいお方だとお聞きしました。
ぼく達の現状を知らせることが出来れば、きっと助けて下さると思うんです」
「この町の人々は、餓死寸前なんだ。だから、飢えに苦しまずに生活が出来るようにしたいんだ」
ベニルとクルの必死の訴えに、ロティーラ達の心は打たれた。
「わたしとセイハは、一度外へ出て、武器を返してもらってくるわ」
「……おれ達を見捨てるのか?」
ベニルが、悔しそうな表情を浮かべた。
「武器がないと戦えないもの。大丈夫。かならず戻ってくるわ」
「どうやって?この町の出入り口は、正門しかないんだぞ?」
「武器を取り戻した後、セイハを背負って、塀を超えるのよ」
「無理に決まっているだろう?ロティーラだって見ただろ?あの塀の高さを」
「それは、お楽しみ」
ロティーラは、正門へと向けて走り出した。
「たく、しかたがないな」
セイハもしぶしぶ後を追いかけた。
ベニル達は不安げな表情を浮かべた。
門へとたどり着いたロティーラ達は、武器を預けた兵士の元へと駆け寄った。
「国を出るから、武器を返してほしいの」
「わかった。武器を持ってくるから、待っていろ」
兵士は、預けたロティーラとセイハの武器を返却してくれた。
「ありがとう」
ロティーラは礼を言うと、門から見えない塀の所まで移動した。
「セイハ。わたしにしっかり掴まって」
ロティーラは槍を持っていない方の手で、セイハの腰を支えた。
「何をするつもりだ」
「いいから」
ロティーラの指示に従い、セイハは、腰に腕を回した。
「せっの」
ロティーラは、天に向かって跳ねた。
「うわ!」
下に向けて落下仕掛けた時、槍を塀に突き刺してバランスを取り、壁を蹴って、また高く舞い上がる。
同じ行為を数回繰り返した後、信じがたいが、塀のてっぺんに、着地することに成功した。
ロティーラ達とは入れ違いに豪華な馬車が、武器を門番に預けて、町の中へと進む。
ガベル達と同様に、豪華な服を来た小太りの男が現れ、馬車を城へと招く。
「ジイ。私、少し周りを散歩してから行きましから、先に行っていてください」
「ですが」
「いいから」
ロティーラと同じぐらいの年頃の少女が、馬車から降りる。
「暗くなる前に、着て下さいね」
緑色の髪の少女を残して、馬車は城の方へと走って行った。
塀の上へとたどり着いたロティーラは、眺めを楽しんでいた。
対照的にセイハの顔色は蒼白だ。
「これから、どうするんだよ」
セイハは、恐怖の為、身体を震わせた。
「じゃあ。そろそろ降りるとしますか」
ロティーラは、腰かけていた塀から立ち上がった。
「降りるってどうやって?」
「飛び降りるに決まっているでしょ」
「え?え~~~~!」
驚いたセイハが、塀からバランスを崩して落ちた。
リーダーだと紹介されたベニルに質問されて、ロティーラは素直な感想を口にした。
「城と塀だけ立派で、街並みは、まるで廃墟のようで、民を大切にする気がないのね」
「この町は、税が高すぎるんだ。
パン一つでも金貨単位の値打ちがする。
この町が属している、木の国。シェニザー王国の人々は、城に居る奴らに洗脳されて、おれ達ストリート・チルドレンを悪者に仕立て上げているんだ。
まあ、実際旅人から、物を盗んでその日暮らしをしているから、反論は出来ないんだけれども」
先ほど、袋を盗んだ男の子クルが話を引き継いだ。
「木の国。シェニザー王国のお姫様は、慈愛に満ちたお優しいお方だとお聞きしました。
ぼく達の現状を知らせることが出来れば、きっと助けて下さると思うんです」
「この町の人々は、餓死寸前なんだ。だから、飢えに苦しまずに生活が出来るようにしたいんだ」
ベニルとクルの必死の訴えに、ロティーラ達の心は打たれた。
「わたしとセイハは、一度外へ出て、武器を返してもらってくるわ」
「……おれ達を見捨てるのか?」
ベニルが、悔しそうな表情を浮かべた。
「武器がないと戦えないもの。大丈夫。かならず戻ってくるわ」
「どうやって?この町の出入り口は、正門しかないんだぞ?」
「武器を取り戻した後、セイハを背負って、塀を超えるのよ」
「無理に決まっているだろう?ロティーラだって見ただろ?あの塀の高さを」
「それは、お楽しみ」
ロティーラは、正門へと向けて走り出した。
「たく、しかたがないな」
セイハもしぶしぶ後を追いかけた。
ベニル達は不安げな表情を浮かべた。
門へとたどり着いたロティーラ達は、武器を預けた兵士の元へと駆け寄った。
「国を出るから、武器を返してほしいの」
「わかった。武器を持ってくるから、待っていろ」
兵士は、預けたロティーラとセイハの武器を返却してくれた。
「ありがとう」
ロティーラは礼を言うと、門から見えない塀の所まで移動した。
「セイハ。わたしにしっかり掴まって」
ロティーラは槍を持っていない方の手で、セイハの腰を支えた。
「何をするつもりだ」
「いいから」
ロティーラの指示に従い、セイハは、腰に腕を回した。
「せっの」
ロティーラは、天に向かって跳ねた。
「うわ!」
下に向けて落下仕掛けた時、槍を塀に突き刺してバランスを取り、壁を蹴って、また高く舞い上がる。
同じ行為を数回繰り返した後、信じがたいが、塀のてっぺんに、着地することに成功した。
ロティーラ達とは入れ違いに豪華な馬車が、武器を門番に預けて、町の中へと進む。
ガベル達と同様に、豪華な服を来た小太りの男が現れ、馬車を城へと招く。
「ジイ。私、少し周りを散歩してから行きましから、先に行っていてください」
「ですが」
「いいから」
ロティーラと同じぐらいの年頃の少女が、馬車から降りる。
「暗くなる前に、着て下さいね」
緑色の髪の少女を残して、馬車は城の方へと走って行った。
塀の上へとたどり着いたロティーラは、眺めを楽しんでいた。
対照的にセイハの顔色は蒼白だ。
「これから、どうするんだよ」
セイハは、恐怖の為、身体を震わせた。
「じゃあ。そろそろ降りるとしますか」
ロティーラは、腰かけていた塀から立ち上がった。
「降りるってどうやって?」
「飛び降りるに決まっているでしょ」
「え?え~~~~!」
驚いたセイハが、塀からバランスを崩して落ちた。
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