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盗賊編 第一章 盗賊・海賊の町

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「待て、この盗賊!」

 今、金貨が入っている袋を盗んだ。
 毛皮を着て、後ろに槍を背負って、おでこに宝石を付けていた。
 髪の長さは、肩につくか、つかないか位の少女だ。
 金貨を盗まれた男は、歯が立たないで、少女を逃がしてしまった。

「少女に金貨を取られるとは。くそう」

 男は、イライラしながら吐き捨てた。
 ロティーラは、わざと巻いてから、馬車の方へと戻った。
 馬車についたのは、お昼位だった。
 馬車は、町の外に隠して置いた。
 ラクダ達は、食事を終えているようだ。
 馬車に入ると、香ばしい焼いたパンの匂いと、スープの匂いがした。

「お、ロティーラ。やっと帰ったか」

 親分のガベルが言った。
 ガベルは、あごに髭を生やしていて、左ほほに古傷がついている。

「はい。親分。たくさん金貨を盗ってきました」

 ロティーラは、金貨の入っている袋を出しだした。
 ガベルは、にやにやしていた。
 ロティーラは、椅子に座って、食事を始めた。
 パンは、カリカリしていて、とてもおいしい。
 スープを飲んだら、おいしくて、頬が落ちそうだった。

「おいしい。誰が作ったの?」

 恥ずかしそうに、トタプさんが手を上げた。
 トタプさんは、やさしい青年だ。

「トタプさんの料理ってすごくおいしい」

 ロティ―ラは、元気よく言った。
 トタプさんが、はずかしそうにしていた。
 けれど、すごくうれしそうだった。
 逆にセイハは機嫌が悪そうだった。

 セイハは、ロティーラよりも二つ上の少年だ。 
 頭にはいつもバンダナを付けている。

「そろそろ出発だ。ラクダを繋げ」

 ロティーラ達は、ラクダに馬車を繋いだ。
 すぐに馬車は出発した。

「親分どこにいくんですか?」


「盗賊・海賊の町だ。ここから三日でつく」





 三日が過ぎて、四日の朝に町に着いた。

「ひさしぶりだぜ」

 セイハが大きく伸びをした。
 町は、砂漠と海の間に位置する。
 この町の規則は、喧嘩をしない。盗まない、の二つだ。

「ガベル久しぶりだな」
「デチャニーか」

 デチャニーという男は、昔ガベルと共に旅をした仲だ。

「話がある。ガベル。トタプ来てくれないか?」
「おれ達は?」
「悪いが、大人の話だ。子供には難しくてわからないよ」

 ロティーラは、ガベルを見上げた。
 親分がどうしたいのか、知りたかったからだ。
 それに気付いたガベルは、数枚の銅貨をロティーラに渡した。

「好きな物を買ってこい」

 親分は、トタプを連れて、デチャニーと行ってしまった。
 仕方がなくロティーラ達は、ラクダを残して買い物に出かけた。


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