何もかもを失っても手に入れたい者

3

　初めてがハードだったからだろう。

　俺の身体はやつの思惑通り、多少の快楽では感じなくなってしまった。


　自分の手でしても達する事が出来なくなったし、社交界デビューして女とも付き合い程度に寝台にまで行ったが全く反応せずセックスまで持ち込めなかった。


　次期社長として仕事に没頭していたある日、社長室からアイツが出てきた。

　たまに調教の名目で拉致されることはあっても社内で顔を合わせるのは初で気まずかった。


　相手も気まずいと思ったのか会釈だけしてすれ違っただけだった。


　拉致された後はあんなにも激しく抱きあっているのに、外では他人行事で腹が立った。

　俺達はセックスするだけのセフレでしかないのか!

  イラついた俺はアイツを追いかけた。


「おい！お前待てよ！」

「なんでしょうか？次期社長」

 「お前に次期社長と呼ばれたくない！」

「ですが私は社長に雇われの身。社内では次期社長とお呼びしなければ罰せられてしまいます」


「……そんな社長に尽くしているのか？命じられただけで息子を犯すほどに」


「はい。私は社長を崇拝しております」


「ああ。そうかよ！だったら俺がさっさと社長の座についてお前の雇い主になってやる！そんで持ってお前を従わせる立場になってやるからな!」


「はい。期待しております」


　俺の嫌みにアイツは怒りもせずふわりと笑った。

  そんな顔も出来るのかよ。

　糞。惚れそうだ。




　それから俺はがむしゃらに働き、ついに会社を譲り受け、社長に就任したのだった。