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勝ち顔と負け顔
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大分前から書きたいと思っていたのだが、今回はお笑いに於ける『勝ち顔』と『負け顔』について解説したいと思う。
この勝ち顔と負け顔という言葉は、以前NHKの『トップランナー』という番組で、放送作家の高須光聖氏(たかす・みつよし氏と読む。こうすこう・せいしではない)が使っていたのだが、お笑いに於ける各芸人の立ち位置を表す言葉である。
それだけでは何のことやら分からないため、例を挙げると分かりやすいと思うが、例えばガキの使い。
この番組に於ける勝ち顔はダウンタウンの二人であり、負け顔は山崎邦正やココリコとなる。
例えばロンドンハーツ。
この番組に於ける勝ち顔は淳や有吉であり、負け顔は出川や狩野英孝となる。
この二つの例を見ると、つまり勝ち顔とは『イジる側』、負け顔とは『イジられる側』なのだという事が分かってくる。
勝ち顔と負け顔には稀に逆転現象が起きることもあり、例えばガキの使いの浜田は基本的に勝ち顔、ココリコ山崎は基本的に負け顔なのだが、両者の立場の逆転によって生まれる笑いを狙うために、わざと浜田が負け顔を演じ、ココリコ山崎が勝ち顔を演じる場合がある。
『24時間鬼ごっこ』の、カップ麺や魚肉ソーセージの配分で浜田がただ一人割を食う展開などは、この勝ち顔と負け顔の逆転現象の顕著な例と言えるだろう。
浜田は後輩をイジって笑いを取る印象が強いが、実は笑いになるならば後輩からのイジりにも自ら乗っかるという、非常に笑いに対して真面目で実直な芸人である。
ガキの使いではこのような逆転現象を利用した笑いが随所に見られるため、そういった面にも注目して観ると、また違ったお笑いの楽しみ方が生まれてくることと思う。
それでは、ここで勝ち顔芸人と負け顔芸人の例を、ざっと挙げてみよう。
【勝ち顔芸人】
明石家さんま
タモリ
ビートたけし
志村けん
島田紳助
松本人志
浜田雅功
加藤浩次
上田晋也
田村淳
設楽統
宮迫博之
千原ジュニア
有吉弘行
ザキヤマ
カズレーザー
ここでカズレーザーを何故突然出したかというと、若手でありながら勝ち顔であるという、非常に珍しい例であるため。
上記を見ると分かる通り、勝ち顔担当は基本的にベテラン芸人が担当するため、勝ち顔の若手というのはニホンカワウソなみに珍しいことが分かる。
カズレーザーが何故クイズ系芸人の方にシフトチェンジしようとしているのかというと、高学歴ということもあるが、勝ち顔であるため他のバラエティではイジりにくいからだ。必然、若手イジられ芸人枠としてのオファーは減り、残るはその道ということになる。
これと同じパターンで言うと、ロザンの宇治原なども勝ち顔の芸人と言えるだろう(最も、宇治原の場合はカズレーザーとは違い、イジらせない空気を自ら作っているのだが)。
【負け顔芸人】
笑福亭鶴瓶
笑福亭笑瓶
出川哲朗
上島竜兵
ジミー大西
山崎邦正
カンニング竹山
狩野英孝
サバンナ八木
アンガ田中
ドランク鈴木
アンジャ児嶋
三四郎小宮
ハライチ澤部
クロちゃん
パンサー尾形
まさかの笑福亭一門負け顔ワンツーフィニッシュに脱帽だが、ひょっとすると笑福亭とはそういう一門なのかという見方も出来るかもしれない(どんな一門やねんw)。
この中で言えば、出川、上島などは熟練の負け顔、ジミーなどは天然的負け顔、水ダウでお馴染みの小宮、クロちゃん、パンサー尾形などが新興派負け顔と言えるだろう。
カンニング竹山などはタイプ的には非常に微妙なのだが、ロンハーなどで有吉とザキヤマがキャスティングされる際は、負け顔としてセットでキャスティングされる役回りとなる。
では、その勝ち顔、負け顔のタイプはどのようにして決まるのかということだが、基本的には生まれつきの性質によって決まるものだと考えて良い。
誰しも学生時代見覚えがあると思うが、クラスの面白いやつには必ず『勝ち顔のやつ』と『負け顔のやつ』がいたはずだ。
そう、貴方が今脳裏に思い浮かべた『勝ち顔のやつ』が勝ち顔芸人になり、『負け顔のやつ』が負け顔芸人になるのである。
芸能界の勝ち顔担当は基本的にベテラン芸人が務めるため、現在勝ち顔の席はほとんど埋まってしまっている状態にある。
つまり、そこに若手の枠はないため、生まれつき性質が勝ち顔タイプの若手は、売れるのが遅くなる傾向にあると言えるだろう。
逆に、生まれつき性質が負け顔タイプの若手は、どんな番組でも使いやすいため、勝ち顔タイプの若手に比べ比較的売れやすい傾向にあると言える(ハライチで言えば、岩井は売れず澤部だけが売れたのはその証明となる)。
番組を構成するスタッフは、こういった勝ち顔枠負け顔枠といった全体のバランスを見て番組を構成しているため、とにかく今すぐ売れたいという若手は負け顔担当を務められるよう、上手く芸能界にもぐり込まなければならない。
今の上が詰まって閉塞状態のお笑い界では、それが売れるための早道であることは間違いないが、売れるために計算で負け顔を演じようと芝居を打っても、まず間違いなく周りにバレると思った方が良い。
好まれるのはあくまで天然の負け顔であって、そこに計算高さを感じさせてしまうとむしろ逆効果となるので、狙う場合はくれぐれも注意してほしい(みやぞんが売れたのは天然の負け顔だからであり、そこに計算が全くないからだ。人工物より天然物が喜ばれるのは、食材と一緒だと言える)。
図らずも、勝ち顔タイプの芸人が売れるのは現代ではとてつもなく難しいことが浮き彫りとなったが、思い当たる芸人は今一度自身の身の振り方を考えた方が良いかもしれない。
このタイプの芸人が売れるには、賞レースやバラエティで凄まじいインパクトを残すしかないため、覚悟を持って芸人人生を歩んだ方が良い。
お笑い偏差値が高いのはむしろ勝ち顔の方なのだが、偏差値が高い方が逆に売れる足枷となるとは、お笑いとは本当に難しいものだ。
人より偏差値が高ければ東大には入れる。しかし、人より偏差値が高くてもバラエティで好まれるとは限らない。
勝ち顔と負け顔。
貴方はどちらのタイプだろうか?
この勝ち顔と負け顔という言葉は、以前NHKの『トップランナー』という番組で、放送作家の高須光聖氏(たかす・みつよし氏と読む。こうすこう・せいしではない)が使っていたのだが、お笑いに於ける各芸人の立ち位置を表す言葉である。
それだけでは何のことやら分からないため、例を挙げると分かりやすいと思うが、例えばガキの使い。
この番組に於ける勝ち顔はダウンタウンの二人であり、負け顔は山崎邦正やココリコとなる。
例えばロンドンハーツ。
この番組に於ける勝ち顔は淳や有吉であり、負け顔は出川や狩野英孝となる。
この二つの例を見ると、つまり勝ち顔とは『イジる側』、負け顔とは『イジられる側』なのだという事が分かってくる。
勝ち顔と負け顔には稀に逆転現象が起きることもあり、例えばガキの使いの浜田は基本的に勝ち顔、ココリコ山崎は基本的に負け顔なのだが、両者の立場の逆転によって生まれる笑いを狙うために、わざと浜田が負け顔を演じ、ココリコ山崎が勝ち顔を演じる場合がある。
『24時間鬼ごっこ』の、カップ麺や魚肉ソーセージの配分で浜田がただ一人割を食う展開などは、この勝ち顔と負け顔の逆転現象の顕著な例と言えるだろう。
浜田は後輩をイジって笑いを取る印象が強いが、実は笑いになるならば後輩からのイジりにも自ら乗っかるという、非常に笑いに対して真面目で実直な芸人である。
ガキの使いではこのような逆転現象を利用した笑いが随所に見られるため、そういった面にも注目して観ると、また違ったお笑いの楽しみ方が生まれてくることと思う。
それでは、ここで勝ち顔芸人と負け顔芸人の例を、ざっと挙げてみよう。
【勝ち顔芸人】
明石家さんま
タモリ
ビートたけし
志村けん
島田紳助
松本人志
浜田雅功
加藤浩次
上田晋也
田村淳
設楽統
宮迫博之
千原ジュニア
有吉弘行
ザキヤマ
カズレーザー
ここでカズレーザーを何故突然出したかというと、若手でありながら勝ち顔であるという、非常に珍しい例であるため。
上記を見ると分かる通り、勝ち顔担当は基本的にベテラン芸人が担当するため、勝ち顔の若手というのはニホンカワウソなみに珍しいことが分かる。
カズレーザーが何故クイズ系芸人の方にシフトチェンジしようとしているのかというと、高学歴ということもあるが、勝ち顔であるため他のバラエティではイジりにくいからだ。必然、若手イジられ芸人枠としてのオファーは減り、残るはその道ということになる。
これと同じパターンで言うと、ロザンの宇治原なども勝ち顔の芸人と言えるだろう(最も、宇治原の場合はカズレーザーとは違い、イジらせない空気を自ら作っているのだが)。
【負け顔芸人】
笑福亭鶴瓶
笑福亭笑瓶
出川哲朗
上島竜兵
ジミー大西
山崎邦正
カンニング竹山
狩野英孝
サバンナ八木
アンガ田中
ドランク鈴木
アンジャ児嶋
三四郎小宮
ハライチ澤部
クロちゃん
パンサー尾形
まさかの笑福亭一門負け顔ワンツーフィニッシュに脱帽だが、ひょっとすると笑福亭とはそういう一門なのかという見方も出来るかもしれない(どんな一門やねんw)。
この中で言えば、出川、上島などは熟練の負け顔、ジミーなどは天然的負け顔、水ダウでお馴染みの小宮、クロちゃん、パンサー尾形などが新興派負け顔と言えるだろう。
カンニング竹山などはタイプ的には非常に微妙なのだが、ロンハーなどで有吉とザキヤマがキャスティングされる際は、負け顔としてセットでキャスティングされる役回りとなる。
では、その勝ち顔、負け顔のタイプはどのようにして決まるのかということだが、基本的には生まれつきの性質によって決まるものだと考えて良い。
誰しも学生時代見覚えがあると思うが、クラスの面白いやつには必ず『勝ち顔のやつ』と『負け顔のやつ』がいたはずだ。
そう、貴方が今脳裏に思い浮かべた『勝ち顔のやつ』が勝ち顔芸人になり、『負け顔のやつ』が負け顔芸人になるのである。
芸能界の勝ち顔担当は基本的にベテラン芸人が務めるため、現在勝ち顔の席はほとんど埋まってしまっている状態にある。
つまり、そこに若手の枠はないため、生まれつき性質が勝ち顔タイプの若手は、売れるのが遅くなる傾向にあると言えるだろう。
逆に、生まれつき性質が負け顔タイプの若手は、どんな番組でも使いやすいため、勝ち顔タイプの若手に比べ比較的売れやすい傾向にあると言える(ハライチで言えば、岩井は売れず澤部だけが売れたのはその証明となる)。
番組を構成するスタッフは、こういった勝ち顔枠負け顔枠といった全体のバランスを見て番組を構成しているため、とにかく今すぐ売れたいという若手は負け顔担当を務められるよう、上手く芸能界にもぐり込まなければならない。
今の上が詰まって閉塞状態のお笑い界では、それが売れるための早道であることは間違いないが、売れるために計算で負け顔を演じようと芝居を打っても、まず間違いなく周りにバレると思った方が良い。
好まれるのはあくまで天然の負け顔であって、そこに計算高さを感じさせてしまうとむしろ逆効果となるので、狙う場合はくれぐれも注意してほしい(みやぞんが売れたのは天然の負け顔だからであり、そこに計算が全くないからだ。人工物より天然物が喜ばれるのは、食材と一緒だと言える)。
図らずも、勝ち顔タイプの芸人が売れるのは現代ではとてつもなく難しいことが浮き彫りとなったが、思い当たる芸人は今一度自身の身の振り方を考えた方が良いかもしれない。
このタイプの芸人が売れるには、賞レースやバラエティで凄まじいインパクトを残すしかないため、覚悟を持って芸人人生を歩んだ方が良い。
お笑い偏差値が高いのはむしろ勝ち顔の方なのだが、偏差値が高い方が逆に売れる足枷となるとは、お笑いとは本当に難しいものだ。
人より偏差値が高ければ東大には入れる。しかし、人より偏差値が高くてもバラエティで好まれるとは限らない。
勝ち顔と負け顔。
貴方はどちらのタイプだろうか?
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