勇者がレベル1でも仲間が全て最強クラスなら世界を救えるんじゃないか説

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第45説

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そうして次の『現場』。

チュート・リアルが連れてきた場所は、先程の家より遥かに大きい、如何にも資産家が住んでいますというような、きらびやかな豪華な装飾が施された邸宅だった。

チュート・リアルに促される形で、僕は邸宅のドアを開けに行った。

《ガチャガチャッ、ガチャガチャッ》

「?あの~、鍵が掛かってるんですけど」

「当たり前でしょう、だってそもそもは人様のお家なのだから。何もいつ来ても開いてるということはなく、それは施錠されてる場合だって当然ある。なに?君は勇者を自認する割には、鍵開けのスキルも持っていないのかい?」

いや、さっきはそうは見えないと否定してたくせに、都合のいい時は勇者を持ち出すんかいと思ったけど、『鍵開け』と言われれば僕の脳裏にはピーンと来るものがあった。

「あっ、それなら、僕は無理ですけど仲間が鍵開けできます!!」

僕の言葉にチュート・リアルは拍手喝采すると、

「それは素晴らしい!!ではすぐにその仲間とやらを呼んできてくれ。私はあそこの裏で待っているとしよう」

そう言ってチュート・リアルは、家の裏手の影に身を潜めるかのように待機状態となった。

各地の王に認められた正当な行為をしているのに、何故そんなに人目を気にしてコソコソしなければいけないのかは分からなかったけど、やはりいくら正当に認められた行為とはいえ、けして褒められたものではないことは間違いない、人としてどこか後ろめたい気持ちがそうさせているのかもしれない。

そんなチュート・リアルを尻目に、僕はタロピンを呼びに宿屋へと向かう。

タロピンが先程向かったクエストの目的地であり、そこから経過した時間を考えると、そろそろ宿屋へは着いているはずだ(真面目に仕事をしているとすれば)。

目的の宿屋へ着くとタロピンがいなかったため、僕は宿屋の親父さんに人間サイズのネズミ小僧(?)を見なかったかと尋ねる。

「ああ、そのネズミ小僧(?)ならウチへのお届けものを届けてくれた後に、次のクエストに向かうと言ってたよ。ずいぶんと張りきってたなぁ。お世話になったから、次もよろしく頼むと言っといてくれよ」

おおっ、珍しく(?)タロピンが褒められている……。なんか知らんが僕もめっちゃ嬉しいぞ……!!

「分かりました!!いや~、あいつね、僕の仲間なんですよ。基本生意気なんですけど、結構可愛いとこもあったりなかったり。とにかくありがとうございます!!」

次のクエストは道具屋だと言っていたそうなので、僕はすぐさま道具屋へと向かった。フフフ、あいつ褒められてたこと知ったら喜ぶだろうなぁ。

早く伝えてあげなきゃと思い、息せき切って走っていると、ちょうど道具屋からタロピンが出てくるところと鉢合わせになった。

「うぉおおおおおっ出会い頭の衝突事故寸前っ!!そんないきなりの再会に思考回路はショート寸前っ!?(?)なんやフラジールはんそんなに焦って!?ワイになんか用か!?」

「タロピン~!!キミ宿屋の親父さんに仕事への取り組む姿勢をすごく褒められてたよ!!良かったな~おい、早速働きぶりが認められたじゃないか!!」

タロピンは頬を赤らめて照れながら、デレデレの笑顔で嬉しがった。

「ほ、ほんまでっか……!!デヘヘ、洞窟で働いてた時は褒められることなんて一度もなかったから、えらい嬉しいもんでんなぁ。それをわざわざ伝えにきてくれたんか、ありがとう、ありがとう」

うん、まあそれが本来の目的ではなかったというか、たまたま流れでそうなったんだけど、なんにしろネズミが喜んでる姿を見るのは、こちらとしてもとても嬉しいことだ。

「あの~、それでクエスト頑張ってるとこ悪いんだけどね、実は僕の方のクエストで鍵開けのスキルが必要になって、それをタロピンにお願いできないかと思って来たんだけど」

「なんや、他に用事もあったんかい。まあええわ、よっしゃ、そういうことならワイが一肌脱がせてもらいまひょか!!フラジールはん、早速その場所にレッツラゴーやで!!」

いちいちセリフが長いのは気になるが(?)、やる気に満ち溢れてるのはとてもいいことだ、こうして合流した僕とタロピンは、チュート・リアルの待つ邸宅へと向かった。
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