勇者がレベル1でも仲間が全て最強クラスなら世界を救えるんじゃないか説

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第44説

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「それじゃまずは『現場』に行こうか。言葉で説明するよりその方が早いし分かりやすい。そこで『作業』をこなしながら『稼ぎ方』をレクチャーしていくよ」

そう言うと、チュート・リアルは裏路地から城下町の入口の方へと向かい出した。

慌ててその後をついていく僕。

しばらくチュート・リアルの後をついていくと、あるところでピタリと足が止まった。

それはメインの通りから少し離れた、この町の人たちが住む民家が立ち並んだ場所だった。

「さあ、『現場』に着いたよ」

「はあ?ここが現場?」

それは、何言ってんだ?気でも触れたかこのオッサン?と、僕がつい口に出してしまうよりも早いタイミングだった。

なんと、チュート・リアルが勝手にドアを開け、ズカズカと『人ん家』に入っていくではないか!!(!?)

中には幸いにも(?)誰も人はいなかったけど、それにしてもなんて無用心な……。

「あの~、ここって思っっっっきり人様のお家なんですが」

そんな僕の当然の疑問に、チュート・リアルは逆に狐につままれたような表情を見せた。

「?それがどうしたっていうんだい?」

そして次の瞬間、何を血迷ったか、タンスを勝手に開けて中のへそくりを調べたり、《パリンッ!!》近くのタルやツボを割って中のものを拝借し始めたではないか!!(?????)

「おいオッサン何やってんだ!?パリンッ!!じゃねえよ!!これは完全な『空き巣』じゃないか!!」

「しっ!!人聞きの悪いことを言うな!!どこで誰が聞き耳を立てているのか分からないんだぞ!!(?)……えっ、まさか君知らなかったの!?あのね、冒険者は勝手に町の民家に入って、その中にある道具を持ってっていいんだよ!?ていうか別に民家に限らず城でもどこでもあるもの根こそぎ!!えっ?君『そういう話』知らない?ていうか誰がオッサンだよコラッ!!自分はまだ30代でピチピチじゃゴラァッ!!」(?)

オッサン呼びでアホが激怒してるのはともかく(?)、確かに『そういう話』を聞いたことはあるけど、それはあくまで『おとぎ話』の中の世界のことであって、まさか現実にもそのような行為が許されているとは夢にも思わなかった。

だってやってることは思いっきり泥……あわわ、人様の物を勝手に拝借するという極めて人道にもとる行為であって、そんなことやっていいなんて誰かに教えてもらわなきゃ到底分かりっこないよ。

そんな逡巡の間にいつの間にか平静を取り戻したチュート・リアルは、戸惑う僕を安心させるかのように更に続けた。

「心配しなくてもいいんだよ。これは冒険者のみに許された特権、各地を治める国王たちからキチンと許しが出ているし、歴代の偉大な冒険者たちも皆この道を通ってきてるんだ」

いや、心配しなくてもいいんだよ。じゃないねん!!歴代の冒険者たちも皆この泥……ゲフンゲフン、『家捜し』をやってきたって、それはそれでかなり問題があると思うんですが……。

「ええっ!?じゃあ僕これまでずっと『損』してきたって訳ですか!?アイリスでもルハナでもラッカでもライアークでも、泥……ぼぅぉおおおっわぁ~っ!!ぎぇえぇえぇえ~っ!!してよかったなんて、苦労して一晩中クエストに駆けずり回ってたのは何だったんだ……。それで道具や装備を入手すれば買う必要がなかったものもあっただろうし、必要ないものは換金すればよかったし……」

「う~ん、まあ損とはいっても、それだけ(家探し)では稼げるお金に限りがあることは間違いないからね。序盤で苦労して自分の足でお金を稼ぐ大変さを学べたのは、君の人生にとってむしろ良かったのではないだろうか」

《パリンッ!!パリパリパリパリパリッ!!パリンッ!!》

いや、何を急にまともなことを言うとんねん、変わらずその辺のツボ割りまくりながら言うてる場合かコラッ!!(????)

そうしてチュート・リアルはあらかた家の中を探し終えると、僕の方に向き直った。

「さ、これで君も『要領』は分かっただろう。次の『現場』は君にやってもらうからね。それが今回の『クエスト』ってこと」

「分かりました……。う~ん、上手くやれるかなぁ」

少し不安はあったものの、一軒目の『仕事』を終えた僕たちは、次の『現場』へと向かった。
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