勇者がレベル1でも仲間が全て最強クラスなら世界を救えるんじゃないか説

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第43説

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アベリアの件は、ひとまず絶対に解かなければならない宿題としておくことにして、僕たちは野菜屋からクエストの掲示板のところに戻ってきた。

さすがはアリュール王国、他の村や町とは比較にならないほど巨大な掲示板には、内容も報酬も多種多様な『お使い』や『お願いごと』が書かれており、僕はその中から簡単なものをタロピン用に見繕った。

「え~っと、ああ、タロピンはまずこの簡単なクエストから始めてみるのがいいんじゃない?住民の皆さんから預かった物をお届け先に届けるお仕事だよ」

「よっしゃ!!ワイはやるでフラジールはん!!ゴチャゴチャと細かいことはいらん!!ネズミは一発度胸や!!」

言うやいなや、クエストの内容も見ずに駆けていくタロピン。

「おいおい!!内容理解してんのかよ!?どこに行くか分かってんの!?」

「大丈夫や!!ワイはネズミやで!!どこに行ってどこに向かうかぐらいは、長年培ってきた『勘』で分かる!!と思ったら全然分からなかったので戻ってきてやっぱり内容を確認しにきたで!!どうや!!すごくムダな時間やったやろ!!ワイは人にムダな時間を使わせることにかけては定評があるネズミやで!!」

ちょっと何言ってるか分からなかったけど、戻ってきて一応内容を確認した後にまた走っていったから、たぶん大丈夫だと思う……いや、思いたい……。(?)

なんだかんだタロピンも情報収集を兼ねてクエストを頑張り始めたので、僕も負けていられないなと思い、改めて気合いを入れ直した。

「よーし!!僕もクエスト頑張るか!!なになに?お~っ!!これとか結構いいじゃん!!やっぱ都会のクエストは違うな!!」

タロピンの『時給』の件もあり、とにかく稼いで稼いで稼ぎまくってお金を貯めておかなければならないので、僕は数あるクエストの中から当然の如く一番報酬が高いものを選んだ。

「え~っと、なになに?『お金に困っている人必見!!手っ取り早い稼ぎ方教えます!!』……?」

確かに『強い仲間にもお金にも常に困っている人』ではあったため、その内の片方が満たされるとなればけして悪い話ではないだろう。(どんな勇者やねん)

「クエストの依頼主はと……うん、『チュート・リアル』さんね。メモメモ。それにしても、『手っ取り早い稼ぎ方』とは一体……?」

掲示板に書かれた裏路地の暗がりに向かうと、そこには一人の遊び人風の男が立っていた。

「あの~、クエストの掲示板見て来たんですけど。貴方がチュート・リアルさんですか?」

「ああそうさ、私はアリュール王国一の資産家、チュート・リアルさ。君が今回のクエストを受けてくれるのかい?」

「はい、勇者のフラジールと言います。あの、ところで……」

互いに自己紹介が済んだところで、僕はクエストの内容を聞く前に最早お決まりとなった『例の件』について尋ねた。

「チュート・リアルさん、貴方はお強いですか?もし強いのでしたら是非僕の仲間になってほしいのですが」

チュート・リアルは僕の問いに、指を振りながら「ノン、ノン、ノン」と答えた。

「フフフっ、君のような見るからに弱そうな青年が勇者とは、冗談もほどほどにしてもらいたいものだね。私は強いと言えば強いが、それは……う~ん、どう言えばいいかな、一つ『ベクトルの違う強さ』とでも言おうか、とにかく君に話しても理解の及ばないことだろうから、敢えて説明はしないさ」

「え~っと、それはつまり仲間になる気はないということで?」

「そういうこと。そんなことよりも早くクエストの説明をさせておくれよ」

こうして、僕はチュート・リアルの『手っ取り早いお金の稼ぎ方』クエストに協力することとなった。
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