勇者がレベル1でも仲間が全て最強クラスなら世界を救えるんじゃないか説

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第41説

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まいったな……。今度こそは本当にまいった……。

帰りになって今度は下り坂になった道を、僕たちは消沈したままトボトボと歩いた。

「これからどうするんでっかフラジールはん……?謁見すら断られたとなると、次の一手は……」

「さあ……どうするんだろうね……」

そんな他人事のような返答を呟きながら、僕は頭の中では脳を必死にフル回転させて、『次』への一手を探っていた。

酒場の使用もダメ、国王への謁見も不可能とあっては、ひとまずクエストでお金を貯めながら情報収集を続けて、何か良い打開策が降りてくるのを待つより他にないのではないか。

どのみち冒険を続けていく上では、お金はどんな時にも必要となるのだ。

先への進展が閉ざされたのであれば、その時間を利用してお金を貯めることで、『未来への布石』を打っておくのも、けして悪い一手ではないだろう。

「……決めたよタロピン。今後何か良い打開策が見つかるまでは、町の人に話を聞いて情報収集しながら、クエストで地道にお金を貯めていこう。タロピンには情報収集に徹してもらって、僕はクエストを消化しながら、出会った人に話を聞いていくよ」

タロピンには情報収集だけでクエストはさせないというのは、一種の僕の『こだわり』の部分。

戦闘を全て仲間に頼り切るからこそ、戦闘以外では仲間をできるだけ働かせたくないというのが、僕の戦わない勇者としての『美学』でもあった。

「ええ~っ、でもでも、ワイも簡単なクエストとかなら受けてもええか?自分でも少しずつお金貯めていきたいし……。もちろんそれで情報収集の手を抜くなんてことはせえへんから!!」

そうか、タロピンは『夢』のために億万長者になりたいと言っていたな。

情報収集ではどのみち町を歩き回ることになるのだから、それと並行して簡単なクエストをこなしていくぐらいなら問題ないだろう。

「分かった。大丈夫だよ、二人で頑張っていこう」

「それとあと、非常に言いにくいんやけど……」

いかにもバツが悪そうに俯きながら、タロピンが切り出したのは自身の『給料』の話だった。

「時間に応じていくらいくらという形で、ワイが働いた分だけ報酬を頂く訳にはいかんやろか。も、もちろん、そんな多額の報酬なんて望んでへんから」

なるほど、確かに僕とタロピンは別に昔からの知り合いという訳ではないし、タロピンに世界を救わなければならない義務がある訳でもない。

一口に仲間といっても、いわば僕とタロピンは『雇用関係』にあり、働いてもらった分に関して報酬を支払うのは当然のことだ。

ブラックネズミ団で働いていた時には、美味しいミルクとチーズのまやかしでタダ働きさせられていたのだろうから、タロピンが自ら『時給』の概念を発見したというのは、ある意味画期的なことなのかもしれない。

「了解。むしろよく言ったよタロピン。言いたいことを我慢するようじゃ、本当の仲間とは言えないんだ。これからも思うことがあれば何でも言ってくれ。キミの夢を叶えるために、できる限り力になるから」

「フラジールはん……。おおきに。そうやな、ワイ、頑張るわ!!努力して自分の夢を叶えてみせる!!」

と、格好よく(?)タロピンにアドバイスしたはいいものの、これで冒険の資金に加え、タロピンにお給料も支払うことになった訳か……。正直めちゃくちゃ気は重い……。今でさえ金欠勇者なのに、これはより一層クエストを頑張らなくてはな……。

「あっ、そうや!!クエストに向かう前に、フラジールはんも昨日ワイが町で買ったお花を見にいかへんか?何かお礼がしたいんや、もちろん代金はワイが支払うから」

「タロピンが選んでくれるの?いやぁ、それは嬉しいな。ありがとう、それじゃそうしようか」

着いてからすぐに町を散策していたタロピンと違い、僕がクエストで走り回っていたのは夜だったので、まだそのお花売りの女の子に出会ったことはなかった。

これに関してはタロピンの方が確かに先輩(?)であるため、僕は完全にタロピンの案内に任せる形で、件のお花売りの女の子のところに向かった。
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