勇者がレベル1でも仲間が全て最強クラスなら世界を救えるんじゃないか説

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第37説

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そうしてネズミ先輩(?)の案内で、僕たちはこの町唯一の『冒険者の酒場』にやってきた。

この町唯一というか、これまで通ってきた村や街にはなかった、僕たちが経験する初めての施設だ。

「良い冒険者見つかるといいなぁ……ドキドキ」

「強い仲間がおるとええな、フラジールはん」

僕たちは少し緊張しながらも、ゆっくりと酒場の扉を開けた。

「ようこそ、ここは大陸中の冒険者が集う酒場だ。って……うん?」

中年のスキンヘッドにヒゲのオッサン店主は、僕とタロピンの姿を見るなり急に態度を変えた。

「おいおい坊や。店を間違えたのか?ここは冒険者の集う酒場だ。子供の来るところじゃねえぜ」

「こ、子供じゃありませんけど!!僕はれっきとした勇者ですよ!!」

僕の言葉に、オッサン店主は腹を抱えて笑った。

「ハッハッハ。こいつはいい冗談だ。一体全体どこの世界に、防具だけで武器を持たない勇者がいる?それに、見たところレベルも1ってところか。その相方(?)のネズミの方がレベルが高いってんじゃ、笑い話にもなりゃしねぇ。話になんねぇな、顔を洗って出直してこい」

む……。確かに店主の言う通り、僕は勇者としては異例中の異例の、武器も持ってないしレベルも1のまま。しまいには側近の(?)謎の怪しい胡散臭いネズミの方がレベルが高い始末。

言われてみれば、『戦わない勇者』としてここまでたどり着きました~なんて言っても、信じてくれる人の方がむしろ珍しいかもしれない。どうやらここで数多の冒険者を見てきた経験から、この店主は冒険者の実力を見抜く目はあるらしい。

店主の言うことにも一理あったため、僕は店を出て、店主の言う通り一旦顔を洗って出直すことにした。

「……分かりました。ちょっと顔を洗って出直してきます……」

「坊やだからさ……。分かればいいんだ。ここはガキの来るところじゃねえからな」

一度酒場を出ると、僕たちは宿屋に戻った。

そうして、宿屋でお手洗いを借りて顔をしっかりと洗うと、分かりやすいように(?)敢えて顔は拭かず、びしょ濡れの顔のままもう一度酒場に舞い戻って、店主に施設を利用させてもらえるように頼んだ。

「お待たせしました!!顔を洗って出直してきましたよ!!さあ、満を持してこの施設使わせてください!!」(?????)

「いや、ほんとに顔を洗って出直してくるやつがあるかッッッ!!ナメとんのかコラクソガキッ!!なんじゃそのこれみよがしにびしょ濡れの顔はッ!!ああ、よかったよかった、ボクの言う通り顔を洗って出直してきたんだね、アハハ~じゃあこの店利用していいよ~仕事あるからバイバ~イとなるとでも思ったのかッ!!ならねぇよ、そんな悪夢のような未来は世の中には存在しねぇッ!!ものの例えに決まってんだろッ!!テメェふざけんじゃねぇッ!!ここはガキの遊び場じゃねえんだッ!!いいか、もう出直す必要はねぇ、二度と来んじゃねえぞオラッッッ!!」

僕たちは横暴な店主に、そのまま力ずくで追い出されてしまった!!

「な、なんなんだアイツは!!人の話を聞こうともしないで!!顔を洗って出直してこいと自分が言ったんじゃないか!!僕は本当に、精霊のご加護を受けた勇者なんだぞ!!」(戦わないけど)

「まったくや!!フラジールはんが出直すと言い出したのなら怒るのも分かるが、自分で言っといて逆ギレはないやろ!!なら初めからそんなこと言うなっちゅうねん!!」(この理論もちょっとおかしい)

くっそ~!!あのオッサンめ~!!坊やだからさ……。じゃねえよ!!言ってみたかったのかそのセリフを!!どうせ何をしたところで初めから追い出すつもりだったんだろッ!!勿論、レベル1のまま世界を救うなんて道を選んだ自分が一番悪いのは確かだが、人をレベルで判断するのもいい加減にしろッッッ!!(僕が一番仲間のレベルにこだわってる件)

なんと、最強の仲間を探しに、苦労してやっとこの町にたどり着いたにも関わらず、僕は勇者であることを信じてもらえず、見た目やレベルだけで冒険者の酒場から追い出されてしまった!!
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