勇者がレベル1でも仲間が全て最強クラスなら世界を救えるんじゃないか説

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第27説

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その姿を、一目見た瞬間に気付いた。

以前洞窟の入口から感じた禍々しい気や異常な殺気は、『このネズミ』が発していたのだと。

「グオォオォオォオォオッッッ!!タロピン貴様ぁああぁあッ!!我が洞窟をッ!!我が築き上げた楽園をぉおぉおおッ!!」

自身が自身の利益のために築き上げた『楽園』のシステムを、クーデターによって全て破壊され、ネイズミーは怒り狂っている!!

コイツは……今まで対峙してきた敵とはレベルが違う……!!

勝てるのか!?今の僕たちで、本当にこんな奴に……!?

い、いや、考えている暇はないッ!!

「来るぞッ!!武器を構えろッ!!」

なんと、洞窟ネズミの親玉、ネイズミーが襲い掛かってきた!!

サルバトルに武器を構えろッ!!と言われたはいいものの、僕は武器を持っていない!!(?)

では、一見戦闘力に関しては皆無そうなタロピンの方はどうなんやと、気になってチラッとそちらを見ると、一応(?)申し訳程度に毒が塗られたナイフを構えて、一丁前に戦闘に備えていた。(?)

いやいやいやいや!!そんな小さなナイフでは奴の巨体に刺さるかどうかも怪しいと思うのだが!!まさか緊迫した戦闘中にそんなことツッコむわけにもいかんし!!(???)

とはいえ、一応は刃に毒が塗りたくられているということで、もし刺さって奴を毒状態にでもできれば、少なくとも僕よりはずっと戦闘に貢献できていると言えるだろう。

見るからに弱そうなネズミ一匹より、戦闘で役に立たない勇者って一体……。(?)

いや、そんなくだらないことを考えている場合ではない!!

「グワァアアァアアァァアアッッッ!!」

ネイズミーの爪による強烈な一撃!!

なんと、その強烈な一撃を受け、盾を構えていたサルバトルが盾ごと吹っ飛ばされた!!(!?)

「ぬぉおぉおぉおッ!!こ、こやつの膂力、尋常ではない!!」

『守衛』として、攻撃力よりむしろ防御力に定評のあるはずのサルバトルが、一撃で吹っ飛ばされるとは……!?

これはまずい!!とても攻勢に転じられるような一発の重さではない!!

全滅の危機を感じた僕は、パーティー全体に『いのちを最優先に!!』の作戦を出した!!

「おう!!」

僕の作戦に仲間が呼応し、一時的にパーティー全体の防御力と回避率が高まる!!

タロピンは防御力こそないものの、回避率に関してはかなり高いようで、ネイズミーの攻撃をヒラヒラとかわしては、返しの攻撃でチクチクとダメージを与えていく。

とはいえ、いくら大振りで避けやすいとはいっても、タロピンの防御力ではネイズミーの攻撃を一度でも喰らったら、致命的なダメージを受けることは間違いない。

一発でも被弾したら負け、少しでも避け間違えたらその時点で終わりの、かなり危うい戦い方だ。

基本的には防御を最優先に、一撃を防御したら僕が後ろから薬草ですぐに回復、そして大振り攻撃の後に隙ができたら、ヒット&アウェイを繰り返す。

現状のパーティーとネイズミーの力量とを考えると、このような戦法をとる他に勝てる道はない。

しかし、この作戦には致命的な弱点があることは、他ならぬ僕自身が1番よく分かっていた。

それは、『回復手段』の枯渇。

全ての薬草が尽きる前にネイズミーの体力を削りきらなければ、物理的に勝てる道理はないが、サルバトルの防御後の攻撃と、タロピンの脆弱な攻撃だけでは、この非常にパワフルなネイズミーの体力を削りきることなど、到底できない。

事実、全く攻撃は効いていない、まだまだ体力は有り余っているとでも言わんばかりに、ネイズミーは怒りに任せて暴れまくっている。

つまり、どこかで安全を捨てて攻撃に全振りする『ギャンブル』に走らなければ、先に薬草が尽きて終わりを迎えるのは僕たちの方ということだ。

傷ついたサルバトルを回復しながら、僕は頭をフル回転させて作戦を練る。

いつもより心臓の鼓動が早い……。

どうする……。

どうする……。

どうする……。

この薬草が尽きたら全てが終わり。

『勇者』として、パーティーの『指揮者』として、全ての薬草が尽きる前に、僕はどこかでその『ギャンブル』の決断を下さなければならないのだ。

と、ここでなんと、タロピンの閃光のような一撃!!(まぐれ当たりとも言う?)

「グギャァアアァアアァァアアッッッ!!」

ネイズミーはこの戦いで初めて明確な苦痛を見せ、暴れながら悶え苦しんでいる!!

ネイズミーは、けしてタロピンの脆弱な攻撃が効いて苦しんでいるという訳ではない。

そう、ナイフの毒がその身体に侵食し、『毒状態』になったのだ。

……ここだ!!

ここしかない!!

僕は残りの薬草の数を見て、覚悟を決めた。

行くぞ!!

ここが『ギャンブル』のタイミングだ!!
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