上 下
26 / 48

第26説

しおりを挟む
クーデターを決意して突撃していくネズミたちの勢いに、こっちも負けてはいられない!!

僕たちはその後を追うように走って、ネイズミーたちのいるボス部屋へと向かった!!

タロピンの話では、ボス部屋への通路の途中には、鍵の掛かった扉がたくさんあるということだったが、既にクーデターネズミ(?)の数の暴力によって扉はズタボロに破壊されており、タロピンの力を借りるまでもなく通ることができた。

「なんや、もう扉破壊されとるんか。ワイの力を見せつけるチャンスやと思ってたんやが、ちょっぴり残念やなぁ……」

「まあまあ、手間が省けて良かったじゃん。それに、タロピンの力が必要とされる時は、これからドンドンやってくるから」

別にそんな褒めたつもりはなかったのだが、走りながら頬を赤らめて、ニコニコと喜ぶタロピン。いや、おだてられやすいなオイwwww結構可愛いじゃねえかコイツwwww(?)

僕の発言の意図としては、ネイズミーを倒してこの洞窟を脱出できたら、気になっていた宝箱を開けにいってもらおうと思っていただけだったんだけど、まあ本人(本ネズミ?)が喜んでいるのであれば、余計なことを言う必要はない。

タロピンの案内により洞窟の通路を走っていくと、これまで抜けてきた扉とは明らかに違う、一際大きい扉の前に着いた。

「これがボス部屋への扉や。まず手前にギミィとダリヒーの部屋があり、そこを抜けた先にネイズミーの部屋、そして洞窟の出口がある」

「了解した。よし!!一気に突撃するぞ!!」

サルバトルの合図で一斉に突撃した僕たち。

中ではクーデターネズミたちと、ギミィとダリヒーが、それぞれ部屋の両端で壮絶な戦いを繰り広げていた。

クーデターネズミの一匹が、タロピンの姿を認めて声をかける。

「タロピン!!こっちは大丈夫だ!!お前たちは早くネイズミーを倒しに行けッ!!」

「了解や~!!ギミィとダリヒーは任せたで!!」

二つに分かれたクーデターネズミの群れに囲まれて、ギミィとダリヒーの姿はあまり認識できないが、その中から怒号が響く。

「タロピン、貴様かぁッ!!このネズミたちを扇動したのはぁッ!!許さん!!絶対に許さんぞぉッッッ!!」

「ひぃっ、ギミィとダリヒーがワイにキレとる!!あいつら普段めちゃくちゃ怖いんやで!!もしこのクーデターが失敗でもしたら、ワイは間違いなく殺されるな……」

「大丈夫、虚勢を張っているだけだ。タロピン、お前には我々が手出しはさせん」

「サルバトルの旦那……。グスンっ……ありがとう……」

サルバトルがそうタロピンを励ます。その『我々』の中にしれっと僕も含まれてそうなのが怖かったのだが(?)、確かに、協力してくれたタロピンに危害が及ぶようなことだけは、絶対反対!!断固反対!!ブラックな職場を破壊殲滅せよ!!という気持ちは僕も一緒だ。

「行こう!!みんなの奮闘を無駄にしてはいけない!!ネイズミーを倒すんだ!!」

僕は、ネズミたちの奮闘ぶりを見て、思わず柄にもない熱いセリフを口走ってしまって恥ずかしかったのだが、「おう!!」とサルバトルもタロピンもついてきてくれて、本当にいい仲間だった。

息せき切ってネイズミーの部屋へ走る途中、タロピンが先程のバトルの解説(?)をし始めた。

「みんなさすがやで。ギミィとダリヒーは連携技がとにかく強力なんやが、それをさせないために集団で二体を引き離して戦っとった。あれなら勝てる!!まず大丈夫や!!」

タロピンの立場(クーデター失敗したら即死)からしたら、『そう信じ込みたい』という気持ちもあるんじゃないかという見方は否定できなかったが、ネズミたちがけして勢いだけではなく、キチンと戦略を立てて戦っているのは、大きなプラスの情報ではあるだろう。

そんなことを考えながら通路を走り抜け、僕たちは遂に最後の扉を開ける!!

『バンッ!!』

中では自らが築き上げた洞窟の異変を感じた、凄まじく巨大なネズミの親玉が、僕たちを待ち構えていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

召喚魔法使いの旅

ゴロヒロ
ファンタジー
転生する事になった俺は転生の時の役目である瘴気溢れる大陸にある大神殿を目指して頼れる仲間の召喚獣たちと共に旅をする カクヨムでも投稿してます

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

ボッチの少女は、精霊の加護をもらいました

星名 七緒
ファンタジー
身寄りのない少女が、異世界に飛ばされてしまいます。異世界でいろいろな人と出会い、料理を通して交流していくお話です。異世界で幸せを探して、がんばって生きていきます。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

処理中です...