勇者がレベル1でも仲間が全て最強クラスなら世界を救えるんじゃないか説

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第25説

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まだ完全にタロピンのことを信用した訳ではないが、かといって他に何か良い策があるという訳でもない。

僕たちは、タロピンにクーデターを扇動するように作業場に向かわせ、自分たちはタロピンが万が一にも裏切った場合に備え、遠巻きにその様子をこっそりと監視することにした。

「どうですか、タロピンのやつ」

「ふむ。今のところネズミたちの作業を一旦やめさせて、自分の周りに集めているようだ。話を聞かせるためだろう、特に不穏な動きはないな」

しかし、この段階ではまだ油断はできない。

ネズミたちを一箇所に集めて侵入者の報告をして、一斉に襲わせるといった作戦の可能性もゼロではない。

タロピンがネズミたちを集め、何事か話をして拳を突き上げると、話を聞いていたネズミたちも、「おお~ッ!!」と、皆一斉に拳を突き上げた。

「あっ!!ネズミたちが!!」

「うむ、どうやら決まったようだな」

なんと、ネズミたちは、僕たちがいる方向とは真逆の方向に走り出し、そのまま集団で出口のある通路に向かっていった!!

どうやら大丈夫のようだ。タロピンは僕たちを裏切る気など一切なく、ネイズミーを倒すため本当にクーデターを起こしてくれた。

こっそり監視していたことを気付かれてはいけないため、また先程の場所に戻っていた僕たちの元に、タロピンが嬉しそうに駆け寄ってくる。

「どやどやっ!?ワイやりましたで!!みんなをしっかりと扇動してきましたわ!!」

「よくやった。素晴らしい働きだったぞタロピン」

「せやろせやろ!?も~、サルバトルの旦那に褒められると、喜びもひとしおでんな~。で、フラジールはんは?」

「勿論、よくやったさ。良い報告をあげよう、キミはこれで晴れて、僕たちの正式な仲間だ!!」

「ほんまかいな!?やった~!!ありがとう、ありがとうフラジールはん、サルバトルの旦那……」

タロピンは本当に嬉しそうに涙を流しながら、その場で満面の笑みで小踊りし始めた。

ついさっきまで、その仲間が自分を疑っていたことも知らずに……。

ごめんな……本当にごめん……。

疑ってごめん……タロピン……。(泣)

疑ってしまったことを心の中で必死に謝罪しながらも、こうしてブラックネズミ団のタロピンが、僕たちの仲間になった!!

タロピンが仲間になってくれたことで、パーティーが3人になったということで、今後は隊を率いる勇者として、『作戦』についても考えていかなければならない。

例えば、パーティーに『ドンドン攻めろ!!』という作戦を出すと、完全に守りを考えない捨て身の攻撃で、パーティー全体の攻撃力、クリティカル率が、その作戦の間一時的にアップする効果があったりするのだ。(それと引き換えに、防御力や回避率は著しく落ちてしまう)

攻撃、防御、回復、時には道具や魔法の節約など、バトルの状況に応じて最も適した作戦を、今後僕は指揮官としてパーティーに適宜指示していく必要がある。

勿論、勝つために1番大事なのはパーティー全体の戦闘力ではあるのだが、もし敵との戦力差が『紙一重』だった場合、作戦を出すタイミング次第では敗北の結果をひっくり返すこともできるし、その逆に勝っていたはずのものを落としてしまうこともあるだろう。

パーティーの作戦を司る僕の責任は極めて重い。その戦闘に勝つも負けるも、全ては作戦を出す僕の両肩にかかっていると言っても過言ではないのだ。
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