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第21説

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そこから、突然飛んでくる矢や地面からいきなり飛び出すトゲなどの、引っ掛かったら即死のあまりに悪質すぎるトラップを乗り越えてきた。

地図を書いている方が、思わず頭を抱えるほど目まぐるしく分岐する、人を迷わせる気満々の、あまりに作り手の性根が腐り切った迷路の数々を乗り越えてきた。

乗り越えて進んできたが、未だ一向に出口は見えてこない。

「サルバトルさん、もう最後の松明も尽きますよ……。これまで本当に……ありがとうございました……」

この松明があとどれくらいで燃え尽きてしまうのかは、ここまでずっと松明を持ち替えてきた自分が一番よく分かっている。

自らの『死』を覚悟した僕は、ここまで、こんな自分を信じてついてきてくれたサルバトルに、最期のお礼を言った。

サルバトルには別に世界を救う使命などなく、ただ単に僕についてきてくれただけなのに……。

僕は勇者だ、最悪どうなっても自分のことは我慢しよう。

しかし、僕に付き合わされて、サルバトルまで命を落としてしまう理由なんてどこにもない……。

せめてサルバトルの命だけは、救ってあげたかったなぁ……。

この世に未練はたくさんあるが、それが一番の心残りだ……。

と、前を行くサルバトルが、走りながら僕のお礼を手で制した。

「いや待て……。最期の礼を言うのはまだ早い。見ろ……光だ……!!」

なんと、松明の光とは別に、前方から光が見えている!!

やったやったやった!!外だ!!日の光だ!!ここを抜ければすぐにアリュール王国だ!!時間を掛けて長い長い街道なんか通る必要はなかった!!僕たちは賭けに勝ったんだ!!

およそ5時間ぶりの松明以外の光に、テンションが上がりまくる僕たち。

僕たちは最後の力を振り絞り、息せき切って前方の光に飛び込んだ。

しかし、そこに広がっていたのは、僕たちの予想もつかない光景だった。
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