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第19説
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思わぬトラップに引っ掛かってしまったものの、僕たちは気合いを入れ直して、改めて洞窟の中を進んでいった。
最早戻ることは物理的に不可能であるため、とにかく命懸けで遮二無二進んでいくしかない。
松明が一本でおよそ1時間持つため、残りの4本と合わせて、僕たちに残されたタイムリミットは合計『5時間』。
それを過ぎて僕たちが先に進めなくなった時。それは即ち『死』を意味しているということだ。
と、タイムリミットを考えて足早に洞窟を進んでいると、前方から突然コウモリ型モンスター、バットの群れが襲い掛かってきた!!
「うわっ!!突然こいつらっ!!」
サルバトルが必死に応戦するが、なにしろ大量のバットの群れ、更に戦っている間にも次から次へと仲間を呼ばれて、中々頭数が減っていかない。
僕は松明の火で襲い来るバットを振り払いながら、サルバトルの負担が少なくなるよう、できるだけバットを引き付けて鉄の盾で防御に徹した。
一体一体の攻撃力自体は低いとはいえ、大量のバットに集中攻撃を受け、貧弱な装備ならヤバかったところだったが、念には念を入れて、ライアークの街で全て鉄装備に替えていたことが功を奏した。
バット程度の攻撃力では、鉄の兜、鉄の盾、鉄の鎧に身を包んだ僕の装甲を貫くことはできず、『ミス!!』『フラジールは攻撃を受けない!!』の連続だった。
アホがどんなに必死に攻撃しても、全く攻撃を受け付けない自身の神(紙?)装甲に、僕は完全に悦に浸った。
ククク……どうしたどうしたバットさんよ?ずいぶん必死に攻撃を繰り返しておられるようだが、ダメージなんか何一つ通ってないよ?ほらほらどうした、通せるものなら通してみろよ、相手はレベル1だよ?レベル1の相手一人にすら、ダメージを与えられないんだ?怒り狂って鳴き声『ピギャーッ!!』じゃないねん、悔しい?悔しいよね?悔しくってたまらないんだ?でも残念、どんなに悔しがったとしても、気持ちだけじゃどうにもならないんだよね、それが世の中の厳しさ、気持ちだけではどうにも埋めることができない、絶対的な『力の差』ってやつ。ほれどうしたどうした!!バーカバーカ!!やれるもんならやってみろよ!!カーッカッカッカッカッカッ!!(???)
と、アホのバットはどんなに攻撃しても全くダメージを与えられないにも関わらず、僕に執拗に攻撃を繰り返してくれて(どんだけ腹立っとんねんwwww)、その隙にサルバトルが槍でバットをまとめて貫いて、あれだけ大量にいたバットの群れを一網打尽にすることができた。
しかし、バットは弱くてアホで良かったのだが(?)、僕はまずいことに気付かされた。
本当の問題は、『バット程度のモンスターにかなりの時間を取られてしまった』こと。
自身の防御力の高さに悦に浸っていた(?)ため、戦闘中は気付かなかったのだが、ふと松明を見ると、なんと既に半分ほどの短さに減ってしまっている!!
やっべぇぞ……5時間しかないのに、イチイチあんな雑魚モンスターを全て相手にして、貴重な時間を浪費してしまうとは……。
僕はまた判断を誤った……あの状況での本当の正解は、『バットなど戦わずに無視すること』だったんだ……。(その場合、確かにずっとたかられてウザいのはウザいけど、無視したところで別にダメージなんか喰らわないのだから、走って撒けば良かったんだ……)
「サルバトルさん……すいません、僕また判断を誤りました……」
「むう……。しかし、気を落としている暇はないぞ」
そうだ、確かに判断は誤ってしまったが、こうして落ち込んでいる間にも時間は過ぎていく。そんな暇があったら、ドンドン前に進まなきゃ!!
「走りましょう!!この遅れを取り戻すためにも!!」
「うむ、その意気だ!!」
サルバトルを先頭に、僕たちは駆け足で一本道をドンドン前に進んでいった。
やがて二股の道に差し掛かったが、迷うことなく左の道へ。どうせ迷ったところでどちらの道が正解かなんて分かりっこない。今は悩んでいる時間すら惜しい。とにかく前へ前へだ。
左に曲がって道なりに進んでいくと、やがて道は途切れ、前は行き止まりになってしまった。
しまった……こちらの道ではなかったか……。
そこでついに一本目の松明はつきてしまい、意気消沈する僕たち。
しかし、その行き止まりには一個の『宝箱』が置いてあった。
最早戻ることは物理的に不可能であるため、とにかく命懸けで遮二無二進んでいくしかない。
松明が一本でおよそ1時間持つため、残りの4本と合わせて、僕たちに残されたタイムリミットは合計『5時間』。
それを過ぎて僕たちが先に進めなくなった時。それは即ち『死』を意味しているということだ。
と、タイムリミットを考えて足早に洞窟を進んでいると、前方から突然コウモリ型モンスター、バットの群れが襲い掛かってきた!!
「うわっ!!突然こいつらっ!!」
サルバトルが必死に応戦するが、なにしろ大量のバットの群れ、更に戦っている間にも次から次へと仲間を呼ばれて、中々頭数が減っていかない。
僕は松明の火で襲い来るバットを振り払いながら、サルバトルの負担が少なくなるよう、できるだけバットを引き付けて鉄の盾で防御に徹した。
一体一体の攻撃力自体は低いとはいえ、大量のバットに集中攻撃を受け、貧弱な装備ならヤバかったところだったが、念には念を入れて、ライアークの街で全て鉄装備に替えていたことが功を奏した。
バット程度の攻撃力では、鉄の兜、鉄の盾、鉄の鎧に身を包んだ僕の装甲を貫くことはできず、『ミス!!』『フラジールは攻撃を受けない!!』の連続だった。
アホがどんなに必死に攻撃しても、全く攻撃を受け付けない自身の神(紙?)装甲に、僕は完全に悦に浸った。
ククク……どうしたどうしたバットさんよ?ずいぶん必死に攻撃を繰り返しておられるようだが、ダメージなんか何一つ通ってないよ?ほらほらどうした、通せるものなら通してみろよ、相手はレベル1だよ?レベル1の相手一人にすら、ダメージを与えられないんだ?怒り狂って鳴き声『ピギャーッ!!』じゃないねん、悔しい?悔しいよね?悔しくってたまらないんだ?でも残念、どんなに悔しがったとしても、気持ちだけじゃどうにもならないんだよね、それが世の中の厳しさ、気持ちだけではどうにも埋めることができない、絶対的な『力の差』ってやつ。ほれどうしたどうした!!バーカバーカ!!やれるもんならやってみろよ!!カーッカッカッカッカッカッ!!(???)
と、アホのバットはどんなに攻撃しても全くダメージを与えられないにも関わらず、僕に執拗に攻撃を繰り返してくれて(どんだけ腹立っとんねんwwww)、その隙にサルバトルが槍でバットをまとめて貫いて、あれだけ大量にいたバットの群れを一網打尽にすることができた。
しかし、バットは弱くてアホで良かったのだが(?)、僕はまずいことに気付かされた。
本当の問題は、『バット程度のモンスターにかなりの時間を取られてしまった』こと。
自身の防御力の高さに悦に浸っていた(?)ため、戦闘中は気付かなかったのだが、ふと松明を見ると、なんと既に半分ほどの短さに減ってしまっている!!
やっべぇぞ……5時間しかないのに、イチイチあんな雑魚モンスターを全て相手にして、貴重な時間を浪費してしまうとは……。
僕はまた判断を誤った……あの状況での本当の正解は、『バットなど戦わずに無視すること』だったんだ……。(その場合、確かにずっとたかられてウザいのはウザいけど、無視したところで別にダメージなんか喰らわないのだから、走って撒けば良かったんだ……)
「サルバトルさん……すいません、僕また判断を誤りました……」
「むう……。しかし、気を落としている暇はないぞ」
そうだ、確かに判断は誤ってしまったが、こうして落ち込んでいる間にも時間は過ぎていく。そんな暇があったら、ドンドン前に進まなきゃ!!
「走りましょう!!この遅れを取り戻すためにも!!」
「うむ、その意気だ!!」
サルバトルを先頭に、僕たちは駆け足で一本道をドンドン前に進んでいった。
やがて二股の道に差し掛かったが、迷うことなく左の道へ。どうせ迷ったところでどちらの道が正解かなんて分かりっこない。今は悩んでいる時間すら惜しい。とにかく前へ前へだ。
左に曲がって道なりに進んでいくと、やがて道は途切れ、前は行き止まりになってしまった。
しまった……こちらの道ではなかったか……。
そこでついに一本目の松明はつきてしまい、意気消沈する僕たち。
しかし、その行き止まりには一個の『宝箱』が置いてあった。
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