勇者がレベル1でも仲間が全て最強クラスなら世界を救えるんじゃないか説

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第14説

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この世界ではモンスターを撃破しても、当然お金なんか手に入らない。

そもそも、魔王が生み出したモンスターがお金なんか持っていること自体がおかしい訳で、何故倒された相手にお金を渡すという利敵行為をするのか分からないし、一体どこの誰がそんな眉唾な噂話を広めたのか、全くもって不思議でならない。

もしモンスターがお金なんか持っているのだとしたら、みんな働かずに弱いモンスターだけを、ずっと狩りまくっていればいいではないか、それで誰でも(根気さえあれば)億万長者になれるのに、何故みんなそれをせずに他の仕事に就いているのか、全く説明がつかないと思う。(勿論、お金だけではなくその仕事が好きで、生きがいでやっているという人もいるだろうけど)

では、この世界で冒険者はどうやってお金を稼ぐのかというと、村や街の『掲示板』というところに、賞金首モンスター(各地に生息している賞金をかけられるほどの強力なモンスター)の討伐や、所謂おつかい、『クエスト』というものがたくさん載っていて、その村や街の人々のお願いを見事達成できれば、その報酬としてお金が入手できるという訳だ。

サルバトルが宿で休息を取っている間も、当然僕に休息の時間などは許されない。

『〇〇を持ってきてくれ』や、『この人にこれを渡してきて』など、戦闘をしなくても達成できるクエストを選び、一度に大量に受注してそれを一気にこなしていく。

勿論クエストを達成する際も、ただ漫然と進めていくのではなく、最も優れた『効率』というものを考えながら進めていくのが、戦わない勇者にとって非常に重要な心構えだ。

村をどう回れば一番効率よくクエストを消化できるか、クエストの順番、ルート選択、住民の家や位置に至るまでを完璧に把握して、同時にこなせるクエストがあれば同時進行で進めていくことで、無駄な移動や手間を省いて、かなりの時間を節約することができる。

お金にも限りがあるけど、当然時間にも限りがある。

僕もこのまま一睡もしないで明日の冒険に旅立つ訳にはいかないし、お金だけではなく『休む時間』というのも絶対に必要だ。

その『お金と時間のバランス』をどう取っていくかが、戦わない勇者としての最大の腕の見せどころだと言えるだろう。

僕は村中を必死に走り回って、同時進行で大量のクエストをこなすことで、旅の軍資金を稼いでいった。

戦闘は全てサルバトルに頼りきりなんだから、それ以外のところで少しでも貢献しないと。

そうして、絶対に寝ないといけない時間のデッドラインまでに何とか稼ぎ出せたのは、合計850ゴルド。

まあこれだけあれば次の目的地までは何とか持たせられそうだけど、油断は禁物だ。

何故なら、木の盾と布の服ではいざモンスターに追いつかれた時にどうしようもないことが分かったので、明日防具屋で、この村で購入できる最高のものに全て新調しなければならないからだ。

それと、道具屋で他にも色々と買い足さなきゃいけないものもあるしなぁ……。

ああ、ほんと、お金はいくらあっても足りない……。

戦わない勇者の冒険でも、世の中金ですよ皆さん……。(?)

先々のお金への不安に怯えながらも、たとえ寝れなくても明日はやってくる。

寝れなくても何の意味もなく、むしろ自分が辛い道のりになるだけなので、僕は布団にくるまり無理矢理にでも寝ろと、自分に言い聞かせて目を閉じた。
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