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第10説

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この世界では、モンスターに直接トドメを刺した者にしか経験値は与えられないため、仲間のサポート(?)に徹していたら自然とレベルは上がらないことになる。

村を出てから数時間、既に何十体というモンスターの群れを屠ってきた。

軽快なステップを踏みモンスターを挑発しながら、アホが怒って突撃してきたら、サルバトルを盾にして全て攻撃を丸投げするという姑息な戦法(?)で相手を蹂躙してきたが、一切戦っていない僕のレベルは相変わらず1のまま。

しかし、代わりに良いこと(?)もあって、僕の分まで経験値が全てサルバトルに入るから、もう村を出る時点で既にかなり高かったサルバトルのレベルが1上がった。

これでいい、これでいいのだよ精霊くん(?)、僕の代わりに仲間が強くなる、つまり『パーティー』の戦力が上がるということは、僕が強くなったのとほぼ同義と言っても過言ではない、たとえ自分自身は弱いままだとしても、最終的に仲間が強くなるなら僕は満足さ。(?)

僕は草原の途中で地図を見ながら言った。

「ここまで来れば、ルハナの村まではもうすぐですよ」

「そのようだ。村を出てから歩き詰めだったが、ようやく一息つける……訳にもいかないようだな」

そう言ってサルバトルが槍を構えると、ルハナの村の方角から激しい雄叫びをあげて、ウルフの群れが襲い掛かってきた!!

七……八……いや、十体はいる!!

「グオォオォオオオォオォオオォオッ!!」

いや、『グオォオォオオオォオォオオォオッ!!』じゃねえよ!!目は釣り上がって敵意むき出しだしよ~、一丁前に涎垂らしながら牙なんか出しちゃって、どんだけ我々の肉にかぶりつきたいねん!!

嫌ですわ~、引くわ~、モンスターマジすぎて引くわ~、何をそこまで本気になっとんねん、『グルルルル……』じゃねえよ、『ガチ』ですやん、何もしていない善良な村人である我々を、本気で殺しに掛かってきてますやん……。(?)

ああいいよ、そっちがその気ならこっちにも考えがある、一見ふざけているようにしか見えないかもしれないが、こっちだってこの『戦法』は本気でやってるんだ。

どんなモンスターが来ようと、僕にはこの戦法しかない。

「バーカバーカ!!たかがウルフのくせに生意気なんだよ~!!ほれほれ、悔しかったらここまで追いかけてこいよ~!!」

ここにたどり着くまで絶大な効果を発揮した、定番で(?)王道の(?)挑発ガチ戦法。

僕の目論み通り、アホのウルフたちは猛烈に怒り狂いながら僕を追いかけてきた。

「バカめ!!そのまま僕を追いかけることに夢中になって、各個サルバトルの槍の餌食になるがいい!!」

しかし、この戦法にはただ一つの誤算があった。

それは、ウルフは他のモンスターより単純に『足が速い』ということだ。(???)

村の中では駿足を自負していたのだが、ウルフの足に掛かっては僕がどれだけ頑張って走っても、みるみる内に距離を潰されていく。

「フラジールッ!!危ないッ!!」

距離が離れすぎてサルバトルのガードも間に合わない!!

まずいッ!!やられるッ!!

僕が木の盾と布の服という最低な装備で死を覚悟したその時!!

『ひゅおんっ』

一閃。

空から降り注いだ一筋の閃光が、ウルフの足を貫いた。
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