勇者がレベル1でも仲間が全て最強クラスなら世界を救えるんじゃないか説

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第9説

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村を出ると、僕はサルバトルを先頭に立たせ、後ろから僕が地図を見ながら道案内をするという体制で、草原を道なりに進んでいった。

「まずはここから1番近い村であるルハナの村を目指しましょう。ひとまずそこまでは休憩なしで歩いて、村に着いたら食事と休憩ということで」

各村や街を経由しながら、休息日なしで頑張って歩けば、アリュール王国までは二週間ほどあれば到着する計算だ。

「了解した。案内は全て貴殿に任せるから、くれぐれも間違いのないように頼むぞ。……む?……気をつけろフラジール……」

サルバトルの顔が途端に険しいものに変わると、サルバトルは背の高い草むらの中に潜む影に向かって槍を構えた。

サルバトルが槍を構えるやいなや、草むらからスライムが3体現れた!!

うわっ!!この近辺では1番弱い種族ではあるものの、ガチのモンスターだ!!

僕も村の外に出た時に、何度かモンスターの姿を見たことはあるけれども、すぐにその場を離れたり、村の大人に任せてけして近付かないようにしてたから、こんなに近くでモンスターと相対したのは初めてだった。(子供の時から、けしてモンスターには近付かないようにと両親に厳しく教え込まれていたから、モンスターを間近に見るのに慣れていないということもあった)

そんなこちらの心の準備などお構いなしとばかりに、スライムの群れは突然襲い掛かってきた!!

スライムAの攻撃!!

……今こそ見せる時だ!!

僕の『勇者』としての本当の力を!!

「うぉおおぉおぉおおおぉおおぉおおッ!!」

僕はそう雄叫びをあげると、すかさずサルバトルを盾にして、その攻撃の全てをなすりつけた!!(???)

「ぬぉおおおぉおぉおぉおぉおぉおおッ!?」

なんと、サルバトルはたった一人で、モンスターの烈火のような集中攻撃に耐えている!!(???)

いや、自分でも確かに『耐えている!!』じゃねえよ!!とは思うのだが、なにしろレベル1の絹糸のように繊細な肉体である、このように殺意丸出しで襲い掛かってくるアホモンスターの攻撃を、一発でも喰らった瞬間に即死してしまうということだけはご理解頂きたい。(?)

「ぬぉおおぉおッ!!たかがスライムといえどこう集中攻撃されてはキリがない!!フラジール!!貴様裏に隠れているだけではなく何とかしろッ!!」

僕がただ何もせず隠れていることで、歴戦の猛者であるサルバトルですら攻撃に移ることができず、防御一辺倒になってしまい、さすがにそれはサルバトルに怒られてしまった。(そらそうや。これに関してはガチで申し訳ない)

僕はモンスターの猛攻が止むタイミングを狙って、サルバトルの背後から踊り出ると、あっかんべーをしながらお尻をペンペンしてスライムを挑発した!!

「バーカバーカ!!たかがスライムのくせに生意気なんだよ~!!ほれほれ、悔しかったらここまで追いかけてこいよ~!!」

自分では戦いもせず、ただ強者の裏に隠れているだけの卑怯な奴に挑発されていることがスライムにも伝わったのか、スライムは猛烈に怒り出して僕を追いかけ始めた!!

なるほど、僕の立ち居振る舞いが勇者には相応しくない卑怯さであればあるほど、そんな奴に挑発された悔しさでモンスターはいきり立って僕を追いかけてくるらしい、これは使える。(?)

こうして、僕が挑発でアホスライムを引き付けている間に、サルバトルが槍で突いて各個撃破していく。

僕を必死こいて追いかけている内に、いつの間にか最後の一匹になってしまっていることにアホもようやく気付いたようで、しかし気付いた時にはもう後の祭り、所詮はスライム如きが最強の連携を組んでいる僕たちに敵うはずもなく(?)、怯えながらサルバトルの槍の餌食になるのみだった。

「ふう……まさかスライム程度にここまで苦戦するとは……。やはり二人パーティーというのは負担が大きいな。それはそうと、フラジール貴様……!!」

僕はその瞬間、サルバトルを盾にして攻撃を全てなすりつけたことを思い出した!!

ヤバいっ!!殴られる!!

思わず目をつぶった僕だったが、

「よくやった。あの挑発は見事な働きだったぞ」

と、サルバトルは満面の笑みで、思わぬお褒めの言葉。

……あれ……自分が盾代わりに使われたにも関わらず、すんごい優しくないこの人?

……また泣けてくるから、あんまり優しくするのはやめてくんないかな……。むしろもっと僕を罵ってくれ。(泣)

とりあえずサルバトルには、「ありがとう」と素直な気持ちを伝えた。
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