勇者がレベル1でも仲間が全て最強クラスなら世界を救えるんじゃないか説

採点!!なんでもランキング!!

文字の大きさ
上 下
1 / 48

第1説

しおりを挟む
僕には双子の兄がいて、僕がまだ物心つく前に病気で亡くなってしまったらしい。

子供の頃から親にそう聞かされて育ってきて、兄の顔は写真でしか見たことがなかったけど、いつも心の中には兄がいた気がする。

いつもと同じ、でもいつもとは少し違う、成人になったその日の夜、いきなり精霊に『世界を救え』なんて言われたって、心の準備ができているはずもなかった。

その日、自宅のベッドで眠りについた僕の夢に、精霊が現れてお告げをしていったのだ。

辺りはまっ暗闇、濃くて先が見通せないほどの白いもやの中、その精霊は現れた。

「勇者よ……目覚めなさい勇者よ……」

「……うん?」

「勇者フラジールよ。あなたが成人するこの日を、ずっと待っていました。あなたの、勇者としての運命を果たす時が来たのです」

「……勇者?この僕が……勇者?」

……いやね、そらね、僕だって昔からなんとなく『予感』めいたものはありましたよ?だってなんか明らかに生まれた時から、他の鼻水垂らして泣きわめいてる子らと違いましたもん、なんかこう……全身から放たれる『オーラ』というか、『輝き』が。こういうことだったんですな。(?)

「え~っと、それで今日は精霊さん、今日は僕の将来性を見込んで、青田買い、スカウトに来られたということでよろしいか?」

「スカウトというか……今この世界は凶悪な魔王の軍勢により、滅亡の危機に瀕しています。この世界を救えるのは、選ばれし勇者であるあなただけなのです。どうかこの世界を救ってください」

選ばれし勇者である僕は勿論、悩むまでもなく瞬時に即答した!!

「嫌です」(キッパリ)(???)

「……」

「僕にはあまりに荷が重すぎますよ。ご存知の通り(?)僕は力もないし剣術に秀でている訳でもないし、何か魔法が扱える訳でもない。なにしろ、生まれてこのかた何か特別な努力というものをまるでしてこなかったんです。だから何の秀でた能力も身についてはいない。命懸けの任務だ、そうおいそれと二つ返事で簡単に引き受ける訳にはいかないことぐらい、僕をおそらくは幼少の頃から見守ってきたであろうあなたには、お分かりのはずでしょう?」

「いや、はずでしょう?ではないのですよ……。そんな情けないことを胸を張って堂々と言われましても……。私も今まで数々の勇者を見てきましたが、このような勇者を見たのは初めてなので……正直困惑しています……。あなたの心配も分かりますが、大丈夫、初めは誰もが初心者なのです。今は何もできなくとも、冒険を重ねて経験を積む内に、素晴らしい勇者へと成長していくものなのです」

「そんな誰にでも言えるような綺麗事言われてもよ~。何も心に響かないんだよね。じゃあ責任取れますか!?もし僕が経験を積んでも何も成長せず、志半ばで冒険の途中で命を失ったとしたら、あなた今の言葉の責任取れますか!?僕はそういうことを言ってるんです!!自らの言葉に責任が取れないのであれば、軽はずみな発言などするべきではない!!いいですか!?自分の命を張って冒険に旅立つのは、あくまで僕なんです!!あなたではない!!あなたは遠隔で安全圏から勇者様ご一行が命懸けで戦っているのを、かぶりつきの特等席から愉しんでいればいいかもしれないが、実際に戦うことになるこっちはそうは行かないんです!!精霊のくせに(?)発言に重みがないねん重みが!!もっと考えて発言はしてくれよな!!」

「……あなたの意見は分かりました。確かにあなたの言うことにも一理あるかもしれません。一部訂正してお詫びさせて頂きます」(?)

「一理あるかもって、なにその言い方。全然納得してないけど、話を円滑に進めるために、今はひとまず謝っといてやるか、的な!!的な!!だいぶ感じ悪いっすよ~」(??)

と、何かと理由をつけて精霊の頼みをかわしてはいるものの、僕が精霊の頼みを断っている理由はただ一つ。

ただただ、『面倒くさかった』からだ。(???)

だりぃ~、勇者とかやってらんねぇしマジで~。『選ばれしもの』とか知らんがな!!精霊もよ~、『勇者フラジールよ。あなたがこの世界を救うのです!!』じゃねえよ!!なんでワシに生まれながらに世界の命運が託されとんねん!!重すぎるわ!!ワシが生まれる前までにも、もっと真面目でマシなやついくらでもいただろ!!なんでワシが生まれてくるのを律儀に待っとんねん!!今はレベル1でも、地道にやっていけばいずれは立派な勇者になるって、じゃあ今既にレベル99のやつに初めから頼みにいけばいいだろ!!なんで世界が存亡の危機の時に、ゆっくりとワシの成長を見守ろうとしとんねん!!(?)

そんなことを考えていると、精霊が何やらぶつぶつ言っていた話は、全て右から左に素通りしてしまっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

異世界でネットショッピングをして商いをしました。

ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。 それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。 これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ) よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m hotランキング23位(18日11時時点) 本当にありがとうございます 誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。 亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。 さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。 南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。 ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...