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Episode.02 白銀の少年との出会い
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しおりを挟む朝、真夜中に降り積もった雪に日が差し、冷えた氷に反射してキラキラと輝く。慣れてしまえばなんてことはない。
けれど、初めて見たとき、あまりにも幻想的なその光景に目を奪われ、長い時間惚けていたのを覚えている。
目の前の少年の白銀の髪は、暖かい日差しを受けてあの時のような感覚に陥る。
「き、れい…。」
思わず零れたのは、本当に、飾り気を知らない言葉だった。そのまま、ただ、きれい、と。
「え…?」
うるうるとした目をこちらに向ける少年は、その顔に不思議そうな表情を浮かべる。
じっくりとその顔を見ていると、今までに見たことのない人物だとわかる。
ただ、わたしが目の前の少年に恐れを抱かなかったのは、この世界ではまだ見たことのない、あるかもわからない、わたしの知る雪の存在に意識が向いたからだろうと、そう思った。
「…迷子?」
ここは迷宮庭園。初めて来るような人が迷わず来れる場所ではない。もしかすると、この少年は興味のままにここに入り、出れなくなったのではないだろうか。
こくり。
小さく頷いた瞬間、瞬きとともに溜まっていた涙が雫となって零れ落ちた。
そこで初めて、少年の瞳が白銀に染まっていることに気付く。
美しい白に染まったその容姿は小さい男の子らしく愛らしい顔立ちを儚くみせている。
「わたし、出口を知ってるの。」
声は震えたかもしれない。けれど、その言葉に少年が反応し、期待の表情をみせたことに安心する。
「…一緒に行く?」
ゆっくりと手を差し出す。自分の不安が少年に移らないよう、できるだけ震えを隠し、小さく笑った。
「う、うん…っ!」
潤んだ白銀の瞳は本当に綺麗で、あの世界の美しさを思い出す。
外から目を背けたわたしが知るあの世界はほんの一部で。きっと、わたしが知る以外にもたくさんの〝綺麗〟がそこにあったのだと思う。
握った手は暖かくて、怖いけれど、やっぱりわたしは人が嫌いなわけじゃないと実感する。
「ぼく、セネシオ・レウコスタキス、と言います。…き、君の名前は?」
わたしと同じように、少年ーーーセネシオ様も緊張しているようだった。
そのことにホッとして、わたしはゆっとくりと笑む。同じ目線にあるセネシオ様の目が大きく開いた。
「わたし、ルクリア・ピンセアナ、っていうの」
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