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10話 ロス家
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私の名前は、レイニー。
雨の日に生まれたから、レイニーって名付けられたらしい。安直な名前だけどもあんまり嫌いじゃないのが正直なところ。
今は、ロス家のメイドとして、バリー旦那様、ミリア奥様、そしてロードお坊っちゃまにお仕えしています。
すごくいい人達で、メイドの私にも気を遣ってくれる。そんな家にお支えできて光栄に思っているのです。
さて、私の仕事は家事全般、そしてロス家の皆様をお支えする事。
その為には、この家族のことを全て知り、先回りして行動しなければならないのです。
そんな私ですが、ここ5年ほどはロードお坊っちゃまの事で悩んでいます。
いえ、魔法適性の話ではありません。メイドにとって、そんなことは些細なことなのです。
お坊っちゃまについては、全く分からない事が原因なのです。
はぁ……やっぱり私はダメなメイドなのかもしれないです。
ーーー
始まりは、今から約5年前、ロードお坊っちゃまがご誕生されたときに遡ります。
私は、出産というものが初めてで、アタフタしかしてませんでしたが、助産師の方々に助けられ、何とか自分の仕事を全うする事が出来ました。『ヒール』で体調を安定させながら、『クリーン』で清潔さを保ち、産まれてきた子供をあやす仕事です。
出産というものは、感動しますね、私、泣いちゃいました。
母子共に健康で、本当に良かったです。
ただ問題が起こりました。産まれてきたロードお坊っちゃまが、健康体のはずなのに全く泣かないのです。
その後、朝一などにお腹が空いて泣くことはあったようですが、赤児にしては、泣く数が圧倒的に少ないような気がするのです。
何故なのでしょうか。
最近は、その分からなさが加速した気がします。
5歳になった瞬間に、ロードお坊っちゃまが急に賢くなった事には驚きました。
本来メイドは、その家のお坊っちゃまに勉強を教えたり、教養を身につけさせたりしなければなりません。
でも、ロードお坊っちゃまは、5歳になった瞬間から完璧に言葉を扱っているのです。
それどころか、部屋で本を読んでいるのです。ご飯を食べる時の所作方だって、ある程度出来てます。
普通の5歳ってこんな感じでしたっけ?
それについ先日は、こんな事を言っていました。
「えー、取り調べを始めるっ!お前がやった、あの魔法はなんだっ!吐けっ!天国のおっかさんも悲しんでるぞっ!」
って。なんとかうまく誤魔化せましたが、あんな言葉どこで覚えたのでしょうか。それに、何故私の母がもう亡くなっている事を知っているのでしょうか。何か特殊な能力があるのでしょうか。
ってことは、お母さんは、天国に行けたんでしょうか。それは良かったですが……。
そんなロードお坊っちゃまですが、今も目の前でびっくりするような事をされてます。
たまたま、早起きして庭の植物の手入れをしている時に見てしまったのですが、なんと早朝に旦那様と一緒にトレーニングされてました。
走って筋トレをして、剣を持って素振りをした後、また走ったりして。
何よりもビックリしたのは、魔法の練習をしていた事です。
確か旦那様は奥様から、おぼっちゃまに魔法を教える事を止められていたはずです。あの子がショックを受けるから、精神が安定するまで魔法は教えるなと。
それなのに、旦那様が教えているではありませんか。
いえ、報告はしませんよ。それは旦那様と奥様の問題です。私が介入していい話ではありません。
ただ、気になるのは、お坊っちゃまの魔法の威力です。
練習されているのは、バリー様が先に行っていた初火級魔法の『火炎』。火をつけるだけの魔法のはずです。
なのに、お坊っちゃまが手から出した『火炎』は前方5メートル程まで扇状に広がり、あたりを燃やしてました。
あれでは上火級魔法くらいの威力です。
お坊っちゃまは、神に見放されし者ではなかったのでしょうか。
ーーー
私はダメなメイドです。
ロードお坊っちゃまの事が全然分からないのです。
ですが負けません。絶対にお坊っちゃまのことを知り尽くし、先回りしてみせるのです。
雨の日に生まれたから、レイニーって名付けられたらしい。安直な名前だけどもあんまり嫌いじゃないのが正直なところ。
今は、ロス家のメイドとして、バリー旦那様、ミリア奥様、そしてロードお坊っちゃまにお仕えしています。
すごくいい人達で、メイドの私にも気を遣ってくれる。そんな家にお支えできて光栄に思っているのです。
さて、私の仕事は家事全般、そしてロス家の皆様をお支えする事。
その為には、この家族のことを全て知り、先回りして行動しなければならないのです。
そんな私ですが、ここ5年ほどはロードお坊っちゃまの事で悩んでいます。
いえ、魔法適性の話ではありません。メイドにとって、そんなことは些細なことなのです。
お坊っちゃまについては、全く分からない事が原因なのです。
はぁ……やっぱり私はダメなメイドなのかもしれないです。
ーーー
始まりは、今から約5年前、ロードお坊っちゃまがご誕生されたときに遡ります。
私は、出産というものが初めてで、アタフタしかしてませんでしたが、助産師の方々に助けられ、何とか自分の仕事を全うする事が出来ました。『ヒール』で体調を安定させながら、『クリーン』で清潔さを保ち、産まれてきた子供をあやす仕事です。
出産というものは、感動しますね、私、泣いちゃいました。
母子共に健康で、本当に良かったです。
ただ問題が起こりました。産まれてきたロードお坊っちゃまが、健康体のはずなのに全く泣かないのです。
その後、朝一などにお腹が空いて泣くことはあったようですが、赤児にしては、泣く数が圧倒的に少ないような気がするのです。
何故なのでしょうか。
最近は、その分からなさが加速した気がします。
5歳になった瞬間に、ロードお坊っちゃまが急に賢くなった事には驚きました。
本来メイドは、その家のお坊っちゃまに勉強を教えたり、教養を身につけさせたりしなければなりません。
でも、ロードお坊っちゃまは、5歳になった瞬間から完璧に言葉を扱っているのです。
それどころか、部屋で本を読んでいるのです。ご飯を食べる時の所作方だって、ある程度出来てます。
普通の5歳ってこんな感じでしたっけ?
それについ先日は、こんな事を言っていました。
「えー、取り調べを始めるっ!お前がやった、あの魔法はなんだっ!吐けっ!天国のおっかさんも悲しんでるぞっ!」
って。なんとかうまく誤魔化せましたが、あんな言葉どこで覚えたのでしょうか。それに、何故私の母がもう亡くなっている事を知っているのでしょうか。何か特殊な能力があるのでしょうか。
ってことは、お母さんは、天国に行けたんでしょうか。それは良かったですが……。
そんなロードお坊っちゃまですが、今も目の前でびっくりするような事をされてます。
たまたま、早起きして庭の植物の手入れをしている時に見てしまったのですが、なんと早朝に旦那様と一緒にトレーニングされてました。
走って筋トレをして、剣を持って素振りをした後、また走ったりして。
何よりもビックリしたのは、魔法の練習をしていた事です。
確か旦那様は奥様から、おぼっちゃまに魔法を教える事を止められていたはずです。あの子がショックを受けるから、精神が安定するまで魔法は教えるなと。
それなのに、旦那様が教えているではありませんか。
いえ、報告はしませんよ。それは旦那様と奥様の問題です。私が介入していい話ではありません。
ただ、気になるのは、お坊っちゃまの魔法の威力です。
練習されているのは、バリー様が先に行っていた初火級魔法の『火炎』。火をつけるだけの魔法のはずです。
なのに、お坊っちゃまが手から出した『火炎』は前方5メートル程まで扇状に広がり、あたりを燃やしてました。
あれでは上火級魔法くらいの威力です。
お坊っちゃまは、神に見放されし者ではなかったのでしょうか。
ーーー
私はダメなメイドです。
ロードお坊っちゃまの事が全然分からないのです。
ですが負けません。絶対にお坊っちゃまのことを知り尽くし、先回りしてみせるのです。
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