セブンスガール

氷神凉夜

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(葵の章)『メインルート編』願いの成就への1歩前

葵の章・第二話 葵の願いと夢(前編)

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 葵の暴走事件から翌日、終夜は休みもあってか散歩に出てみた。歩きながらもやっぱり頭の中で葵の事を考えてしまっていた。

(考えても纏まらないしサプライズで葵に何か作ってやるか。)

 終夜はとりあえずいつもの手芸店に行き必要な材料を買って自宅に戻った。
 自室に入りカレンダーを見るとふと気づいたのでした。

(来週ダンスパーティじゃないか、葵をダンスに誘うか。ってなると俺はタキシード、葵にはドレスを仕立てるか。じゃあ、この素材じゃダメだな。ちと高いがあの手芸店に行くか。)

 思いつくや否やすぐに出かける支度をし廊下に出ると翠とでぐわしたのでした。

「アンタ帰ってきたばかりじゃないの?また出かけるの?」

「うん、ちょっと買い物にね。」

「ふーん、行ってらっしゃい。」

「行ってきます。」と、翠に言い再び出かけたのでした。しかし、翠は終夜の行動に不審になりあとをつけたのでした。

 一方、終夜は翠があとをつけてるとは露知らず高級手芸店に向かっていきました。しばらくし店の前につき中に入ったのでした。あとをつけてきた翠は不思議に思ったのです。

(ここいつもの手芸店じゃない、終夜のやつここで何を?)

 翠が暫く外で様子を見ていると店から出て来た終夜に突撃したのでした。

「終夜!アンタここに何しに来たの?」

「翠?!君こそなんでここに?」

「アンタが不審な行動してるからあとをつけてきたのよ!」

「そうか、なるほどね。ちなみに俺はここで服の材料を調達してたんだ。」

「服作るんだったらいつもの手芸店で良くない?」

「来週学校の行事でダンスパーティがあるんだよ、だからそれ用の服を作るためだよ。」

「えっ?ダンスパーティ?私相手いない。」

 終夜の返答に翠は落ち込みました。彼をなだめながら二人で自宅に戻ったのでした。
 自宅に着くとすぐに自室に戻り葵のドレスから作り始めたのです。

(葵のスタイルからしてドレスはこんな感じかな、採寸は前にしてるからいいとして。ん?これ露出しすぎ?)

 下書きから数時間が経過しやっと納得がいく絵になり早速作り始めたのでした。

 さらに数時間が経過し誰かが部屋をノックしてるので終夜が扉を開けるとそこに居たのは葵でした。

「終夜さん、お風呂空いたのとそろそろ夕飯なので降りてきてくださいと楓さんに言われたので呼びに来ました。お取り込み中でしたか?」

「ちょっと作業してたんだ。風呂と夕飯だね、わかった直ぐに行くよ。」

「?何を焦ってるんですか?」

「何の事かな?別に普通だよ。」

「変な終夜さん。とりあえず伝言は伝えました。では。」

 葵が去ると一息つき安心したのでした。

「フゥー危ない危ない、危うくバレるとこだった。」

「終夜様、何がバレるので御座いましょうか?」

「ウワッ!?って檸檬か、驚かせないでくれよ。」

「申し訳御座いません。ところでどうなされたので御座いますか?」

「うーん、とりあえず部屋に入って廊下じゃ話せないから。」

 終夜が檸檬を部屋に招き入れると彼女は懐かしむように言ったのです。

「終夜様の自室にお邪魔するのは初めて目が覚めた時以来で御座います。」

「そうだね。あっそうだ本題だけど。」

「そうで御座いましたね。」

「来週に向けてこれを製作してたんだ。」

 終夜は主向けに檸檬に作りかけのドレスとタキシードを見せたのでした。

「タキシードとやらは終夜で分かるの御座いますがこのドレスは何方ので御座いますか?」

「葵のだよ。」と終夜が言うと檸檬は納得したのです。

「これを葵姉様に御内密にお作りになっていたという訳で御座いましたか。しかし何故このようなものを?」

「来週学校の行事でダンスパーティがあるんだよ。」

「なるほど、それに御参加なさるためで御座いましたか。」

「うん、そうなんだ。」

「これは来週のダンスパーティとやらの前日まで内密に致します。」

「頼むよ。」と終夜が苦笑いしながら檸檬に頼み込んだのでした。
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