セブンスガール

氷神凉夜

文字の大きさ
上 下
58 / 78
(葵の章)『メインルート編』願いの成就への1歩前

葵の章・第一話 突然の喜情

しおりを挟む
 葵達の真実を聞いてから一週間が過ぎ終夜は葵の事をよく考えるようになっていた。

(葵は悲しみの感情と喜びの感情が表裏一体になっている。でも、爺ちゃんは何で葵をそんなふうに作ったんだろう?)

 考えれば考えるほど理解わからなかった。

 しかし、数日後事件が起きた。

「何があった?」

「解らないわよ!葵姉が突然喜び始めたんだから!」

 翠の言っている意味が終夜には理解できなかった?

(理由なく葵が喜んでる?)

 終夜が葵を見ていると彼女は彼に気づき話しかけてきたのでした。

「終夜さん、私喜ばしいことがあったんです。」

「何が喜ばしいの?」

「終夜さん、最近私の事だけを見て考えて想ってくれてますよね?」

「えっ?それは…。」

「違うのですか?」

 葵の質問に驚きつつも答えづらさがあったが翠がじれったいと怒りながら終夜に問いつめました。

「終夜!どうなの?」

「考えてはいるけどちょっと論点がズレてる。」

「どう言う意味よ!」

「葵の感情の表裏の理由を考えていたんだ。」

「つまり、葵姉自身じゃなくて感情の仕組みを考えたっての?」

「そう、だね。あと葵落ち着こうか?」

「そうですか?終夜は私が嫌いですか?」

「えっ?(葵の感情の相違点は病みなのか?)」

「終夜!どうなのよ?!アンタがはっきりしないからこうなってんの!」

 翠は終夜のもどかしい受け答えに対し苛立ちながら彼を急かしたのでした。

「好きか?嫌いか?で言ったら好きだよ。」

「私を彼女にしたいくらいですか?」

「葵姉、そこまでは分からないんじゃない?」

「翠は黙ってください!これは私と終夜の問題です!」

「葵!言い過ぎだ!」

「私は終夜が姉妹とは言え他の女の子と話してるのを見ると悲しいんです。」

 終夜は寂しそうな葵を見て両方暴走してるのではないかと思った。

「葵、なんでそこまで急ぎたいんだい?」

「姉妹の誰かに取られるからです。」

「俺はまだ誰も恋人にする気は無いよ。」

「終夜…私では不満ですか?」

「不満とかどうとかじゃない。葵の事をちゃんと理解するまで彼女にはしない。それに誰かを困らせながら喜んでいたら塔野と何ら変わらないよ。」

「違います!私はあんな人とは!」

「いや、同じだ。葵、今君自身の都合で周りを振り回しながら喜んでるんだよ。」

「そんなつもりは…すみません。」

 反省したのかこの場での葵の暴走は落ち着いた。だが、終夜はやはり葵のことが気になった。…いや、気になったのは前からだ。

(葵の事を考えるようになったのは塔野の事件からなんだよな。)

 そう、塔野の事件をきっかけに葵の事を気になってしかたがなかった。
 ふと考え事をしているとミナが声をかけてきた。

「終夜、どうしたの?ボーっとして考え事?」

「ちょっと思い出しながら考え事をね。」

「そう、でも、急がない方がいい。」

「分かってる、急ぐ気は無いよ。」

 終夜は葵を見ながら水に答えたのでした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

2年死ィ組 カイモン先生

キャラ文芸
先生vs現代教育、先生vsイジメ問題、先生vs理事長、先生vsPTA…… 現代の悪化をたどる腐りきった教育問題をボクらの担任の先生がさらに悪化させる、衝撃の問題作がここに登場。 担任の先生の名は海電悶次郎、ひと呼んでカイモン先生!

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

夫を愛することはやめました。

杉本凪咲
恋愛
私はただ夫に好かれたかった。毎日多くの時間をかけて丹念に化粧を施し、豊富な教養も身につけた。しかし夫は私を愛することはなく、別の女性へと愛を向けた。夫と彼女の不倫現場を目撃した時、私は強いショックを受けて、自分が隣国の王女であった時の記憶が蘇る。それを知った夫は手のひらを返したように愛を囁くが、もう既に彼への愛は尽きていた。

処理中です...