紅蓮の命《クリムゾン・ライフ》

氷神凉夜

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第一部 紅蓮の心《クリムゾン・ハーツ》

閑話・第三話 光龍《作曲者・夢野由佳里》

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 はい、初めまして新しくクリムゾン・ハーツのメンバーになった夢野由佳里だ。
 メンバー入りしての初仕事が新曲の作曲、アタシが正直この役目に相応しいかは未だ判らない…でも、今できることをやることで友理奈にお詫びができ、あの龍ヶ崎久遠の暴走を完全に潰せるなら喜んでやるつもりだ。私はまず作曲する前に歌詞をよく読み理解しそのうえで曲をつけていくのだが…今回ばかりは焦ってしまってる。

(光の龍…意味は分かる、だが、詞と音の旋律がかみ合わない…食違いが嫌でも生じてしまう…多分アタシが何か見落としでもあるんだろうけど…気持悪い。)

 音をつけては消しつけては消しを繰り返してアタシは再び歌詞を読み返した。

(ん?待てよ。これってこの曲一つとして考える曲なのか?紅の勝負曲は全部で五曲…その五曲で一つだとしたら?歌詞のコピーは貰ってるそれも含めて読み返せば答えが出るんじゃないか?)

 そう思ったアタシは即座に五つの曲の歌詞を読み歌詞の意味を連想させて、ついに答えを導き作曲作りが再開できた。曲付けしてて解ったのは紅が作詞の天才だということだった。

(アタシも作詞はするけどここまで完璧な想いや言葉を詞としては書けない…紅…アタシやっと理解できたよ、アンタのバンドが人気の理由が、そして輝きが、灯が完全に消えないのか…まさに《紅蓮のこころ》なんだ…消しても甦る不死鳥の炎だ。紅、アンタは最強の天才アーティストだ。アンタの魂の炎をあの龍ヶ崎の馬鹿になんかに消させやさせない!これがアタシの決意だ。そして懺悔。)

 悔いても悔やみきれない申し訳なさに涙を溢しながら作曲した《光龍》は完成した。
 完成して間もなくアタシの携帯に電話がかかってきて出ると友理奈で編曲の頼みだった、友理奈が編曲できないのは知っていたからOK出したけどね。暫くして友理奈は慌ててきたのか息切れしていてアタシは苦笑いしながら中に入れ自室に連れて行きました。
 自室でアタシは友理奈の曲のイントロを聞いたうえで編曲を始める予定だったんだけどその必要性もなくそのことを彼女に伝えると安堵したのか落ち着いたんだ。その後雑談してその日は終わった。
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