紅蓮の命《クリムゾン・ライフ》

氷神凉夜

文字の大きさ
上 下
14 / 24
第一部 紅蓮の心《クリムゾン・ハーツ》

第十話 煉の決心《紅家・天皇編》

しおりを挟む
 祖母から連絡をもらった次の日俺は皆を集めて祖母のいる皇居を目指した。全員、祖母が天皇であることは知っているが緊張を隠せていなかった。
 俺達は無言で進み…暫くすると皇居に着いた。

 俺は電話で時間と待ち合わせ…そして誰が迎えに来るかを聞いていたので時間になるのを待った。数時間後執事が来たので迎えに来たのだと思った。が、来たのは俺の父・紅当麻だった。

『煉様、お待たせしました。こちらにどうぞ。』
『いえ、大丈夫です。』

 俺達は執事姿の当麻の後ろを着いていき祖母に謁見できたのだった。祖母は父を下がらせると話しかけてきたのだ。

『煉、貝波国防長官から話は聞いたよ。何故、真っ先に連絡をくれなかったの?』
『陛下…私は自分がしてしまった責を感じたのとこの問題に陛下を巻き込むのは卑劣かと。』
『なるほど、でも、煉よ…龍ヶ崎家が総理に協力を求めたらどうする気だい?いくら大公として総理と面識はあっても協力の回避にはならんだろう?』
『それは…そうですが…。』
『それに龍ヶ崎家が総理をこの問題で協力を得るのも卑劣な行いだと私は思うのだけどね。煉の気持ちはわかるがね。』
『………。私は………。』
『先程、煉、貴方はこの問題に責を感じていると言った。その理由も知っています。ですが、きっかけが貴方でも他の者が行えばそれは自業自得…自己責任です。貴方に何の責もありません。』

 俺が祖母の話を聞いて黙り混んでいると祖母はさらに話を続けた。

『ハッシュベルト公爵と明科伯爵から連絡ももらっています。お二方も力を貸してくださるとのこと…お二方の御令息と御息女のバンド継続の認可を認めさせたのでしょう?』
『はい、その通りです。』
『それに話は変わりますが私はこちらの連絡が一番ほしかったのですよ。』
『ん?何の話でしょうか?私には何のことやら?』
『隠さなくても良い。煉、貴方はそこの明科家の御息女とお付き合いしているのでしょ?喜ばしいことです。』
『それは!?私個人のことなので大事にはしたくなく…。』
『バンドの件と言い、交際の件と言い、何故貴方は連絡しないのですか?協力やお祝いをしたものを。』
『お気持ちは嬉しく存じ上げますが…。』

 俺が口ごもるように話をしていると友理奈とユリウスは痺れを切らしたのか話し始めたのだ。

『天皇様…私は煉の彼女の明科友理奈って言います。お力を貸してください!』
『ミーからもお願いします!ミーはユリウス・ハッシュベルトと申します。』
『友理奈さん、ユリウスさん…わかりました。力をお貸ししましょう。ただし、条件があります。』
『条件ですか?』
『かしこまらないでください。友理奈さんと煉、貴方達後日改めて私達に交際について詳細と挨拶に来なさい。』
『それだけですか?』
『それだけですよ。』
『わかりました。後日私達、再度ご挨拶に来ます。ねっ?煉。』
『…………。わかりました。後日連絡差し上げて日程を決めましょう。』

 祖母は俺と友理奈が条件を飲んだことで協力してくれることになったが…俺はまだこの事に納得と決心がついてなく…悩んだ。
 悩んでいる俺に声をかけてくれたのは友理奈だった、彼女は自分も龍ヶ崎家が総理に協力を得たらそれも卑劣な行いで、それなら私達が天皇である俺の祖父母に協力してもらっても卑怯じゃないと言ってくれたんだ。
 俺はその言葉で迷いが吹っ切れ俺は自ら自分の言葉で祖母に協力の申し出をし協力して貰えることなった。

 だが、龍ヶ崎家のバンド・ダークサクリファイスとライブで本当の決着をつけるべきと心から決意したんだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

Missing you

廣瀬純一
青春
突然消えた彼女を探しに山口県に訪れた伊東達也が自転車で県内の各市を巡り様々な体験や不思議な体験をする話

僕は 彼女の彼氏のはずなんだ

すんのはじめ
青春
昔、つぶれていった父のレストランを復活させるために その娘は 僕等4人の仲好しグループは同じ小学校を出て、中学校も同じで、地域では有名な進学高校を目指していた。中でも、中道美鈴には特別な想いがあったが、中学を卒業する時、彼女の消息が突然消えてしまった。僕は、彼女のことを忘れることが出来なくて、大学3年になって、ようやく探し出せた。それからの彼女は、高校進学を犠牲にしてまでも、昔、つぶされた様な形になった父のレストランを復活させるため、その思いを秘め、色々と奮闘してゆく

榛名の園

ひかり企画
青春
荒れた14歳から17歳位までの、女子少年院経験記など、あたしの自伝小説を書いて見ました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

Cutie Skip ★

月琴そう🌱*
青春
少年期の友情が破綻してしまった小学生も最後の年。瑞月と恵風はそれぞれに原因を察しながら、自分たちの元を離れた結日を呼び戻すことをしなかった。それまでの男、男、女の三人から男女一対一となり、思春期の繊細な障害を乗り越えて、ふたりは腹心の友という間柄になる。それは一方的に離れて行った結日を、再び振り向かせるほどだった。 自分が置き去りにした後悔を掘り起こし、結日は瑞月とよりを戻そうと企むが、想いが強いあまりそれは少し怪しげな方向へ。 高校生になり、瑞月は恵風に友情とは別の想いを打ち明けるが、それに対して慎重な恵風。学校生活での様々な出会いや出来事が、煮え切らない恵風の気付きとなり瑞月の想いが実る。 学校では瑞月と恵風の微笑ましい関係に嫉妬を膨らます、瑞月のクラスメイトの虹生と旺汰。虹生と旺汰は結日の想いを知り、”自分たちのやり方”で協力を図る。 どんな荒波が自分にぶち当たろうとも、瑞月はへこたれやしない。恵風のそばを離れない。離れてはいけないのだ。なぜなら恵風は人間以外をも恋に落とす強力なフェロモンの持ち主であると、自身が身を持って気付いてしまったからである。恵風の幸せ、そして自分のためにもその引力には誰も巻き込んではいけない。 一方、恵風の片割れである結日にも、得体の知れないものが備わっているようだ。瑞月との友情を二度と手放そうとしないその執念は、周りが翻弄するほどだ。一度は手放したがそれは幼い頃から育てもの。自分たちの友情を将来の義兄弟関係と位置付け遠慮を知らない。 こどもの頃の風景を練り込んだ、幼なじみの男女、同性の友情と恋愛の風景。 表紙:むにさん

「ノベリスト」

セバスーS.P
青春
泉 敬翔は15歳の高校一年生。幼い頃から小説家を夢見てきたが、なかなか満足のいく作品を書けずにいた。彼は自分に足りないものを探し続けていたが、ある日、クラスメイトの**黒川 麻希が実は無名の小説家「あかね藤(あかね ふじ)」であることを知る。 彼女の作品には明らかな欠点があったが、その筆致は驚くほど魅力的だった。敬翔は彼女に「完璧な物語を一緒に創らないか」と提案する。しかし、麻希は思いがけない条件を出す——「私の条件は、あなたの家に住むこと」 こうして始まった、二人の小説家による"完璧な物語"を追い求める共同生活。互いの才能と欠点を補い合いながら、理想の作品を目指す二人の青春が、今動き出す——。

処理中です...