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第一部 紅蓮の心《クリムゾン・ハーツ》

第四話 diamond of crimson

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 クリムゾン・ハーツにとって因縁の人物のバンドのチラシを見て数日が経ち俺達は新曲の練習をしていた。
 練習をしていて俺は昔のバンドではやらなかったバンドメンバーの個人テーマ曲を作りたくなった。
 それで俺は友理奈に声をかけ相談した。

『友理奈、これは俺の考えなんだが各自のテーマソングを作らないか?』
『テーマソングですか?』
『作曲は友理奈と稲成にやってもらうしかないが歌詞を皆それぞれ書いてもらって作ってみてはどうかな?』
『面白いと思います!』

 友理奈は乗り気だった、そして俺は作曲側の意見も聞きたく稲成を呼んだんだ。

『話ってなんだ?』
『稲荷、作曲する側としての意見がほしい。実は、バンドメンバーの個人テーマを作ろうかと思っているんだがどうだ?』
『うーん…そうだな。作曲って言ってもバンドメンバーの個人テーマってなると楽器ごとの楽譜がいる訳だ。乗り気は乗り気だがどうせなら全員に作曲してもらった方が作曲する立場としては嬉しいかな。』

 稲荷は渋々って感じだった。でも、検討しておくって言ってくれたんだ。
 最後に全員に聞くためにメンバーを呼んだ。

『ミスター紅蓮、どうしましたか?』
『皆、自分に個人のテーマソングがあったら嬉しいか?』
『俺のテーマソング?俺の場合は和楽器だから…な。』
『ミーの曲はフルートやバイオリンのみで演奏すると言うことですか。』

 等と、皆それぞれ賛否両論だった。でも、一致しなかったためにこの件は白紙になった。
 だが、新作の曲と歌詞ができてその曲がdiamond of crimson深紅の金剛石と言う曲だ。
 次のライブまで日がない…でも、成功させたい思いで一生懸命練習したんだ。

『紅蓮、雪華…良い歌詞なんだがメロディーが掴めない。』
『そうですか…すみません…歌詞が格好いいイメージだったので稲成さんと私で相談してこう言うメロディーラインになったんです。』
『ミー達は別に責めていません。イメージが掴めないミー達の責任ですから。』

 ユリウス達は歌詞についても曲についても褒めていて演奏の不具合は自分達が悪いって言ってくれたんだ。
 それから一週間後俺達の新曲は完成しライブで演奏できるようになってライブハウスで演奏することになり、しかし、そこで俺達は因縁のライブ対決を繰り広げるとは思わなかった。

『いらっしゃい、クリムゾン・ハーツの諸君!今日も満席だぜ。』

 店長の台詞に俺達は嬉しかった。急いで待合室に行きそれぞれ更衣室で着替え準備が整いステージに向かおうとしたら、例のメンバーと対面したのだった。
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