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第8章 黒猫甘味堂
106話 開店前
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「お帰り、レイシアちゃん。ところで、そちらの方は?」
店長がレイシアに言うと、サチはメイドの礼をして答えた。
「お初にお目にかかります。私はレイシア様の専属メイド『サチ』と申します。以降お見知りおきを」
「本物⁈」
「「本物です」」
店長は天井を見上げた。
「あ~、サプライズとかいっちまったよな」
そんな店長の言葉は無視し、レイシアは聞き返した。
「それより、外の状況はどうなっているんですか? なにがあったの?」
「君がいない間だ。お客様と言うか、ファンクラブの会員がどんどん増えてね……」
「ファンクラブって何ですか?」
サチが思わず聞いた。
「ファンクラブ。別名黒猫同盟。レイシアちゃんを中心としたメイド達を推す団体だよ。メイド服ごとカラーが違うからね。レイシアちゃんは黒猫様。一番人気だよ」
「いつの間に!」
「えっ? 気づいていなかったの?」
「全然!」
「そうなんだ……」
店長とサチは残念な子を見るようにレイシアを見た。
「レイシア様はあまりご自分に向けられた評価や好意は、昔から気になさりませんから」
サチが言うと。店長はなんとなく理解した。
◇
「それにしても、朝早くから大勢の女の子が集まっていますね」
サチが言うと、レイシアは「前はこんなんじゃなかったよ」と答えた。
「君が実家に戻ってから、急にお客様が増えてね。ほら、レイシアちゃん最初の頃言っていたでしょ。『もし、ひと月お客様が増えなければ、このお店閉店してしまうのです。あ、すみません。お客様に話すことではありませんでした』って」
「言ってました?」
「言ってたの! 休みが始まって、毎日出ていたのに急にいなくなったレイシアちゃんを心配したファンクラブが、お客さんが足りないからレイシアちゃんを首にして店を潰すのではないかと疑心暗鬼になってね。お客様倍増計画を始めたものだからこんなことに……」
「レイシア様のやらかしですか」
「私のせいじゃないわ!」
「間接的にレイシアちゃんの影響が大きいね」
顔を見合わせため息をつく3人。
「僕に聞いてくれればよかったんだけど、いつも中でふわふわパン焼いているからファンクラブと接点がなかったんだよ。あまりの増え方にメイちゃんが会長さんと僕の会談を用意してくれてね。誤解は解けたんだけどお客様と会員は増え続け、新規の会員さんは、レイシアちゃんの事を『幻の黒猫様』とか『伝説の黒猫様』とか噂しているし」
「「伝説の黒猫様⁉」」
「そんな中、制服を着て現れたらそりゃ大騒ぎさ。おまけに同じメイド服を着たメイドを連れていたら……。多分、今頃『姉猫』様の噂と妄想で凄いことになっていると思うよ、ファンクラブの人たち」
その時、外でファンクラブの方々の声が上がった。
「「「白猫様!」」」
「「「茶トラ様!」」」
コールと手拍子が沸き起こる。統制の取れた応援。店長がカギを開けると、メイド服を着たアルバイトのランとリンが入ってきた。
「毎日こうだよ」
遠い目をして店長が言った。
「店長! メイさんが熱を出しました。働きすぎです!」
「私たち2人では回せません! どうしましょう」
泣きそうになりながら2人は言い続けていた。目の前の店長しか見えずに。
「ランさん。リンさん。落ち着いて」
レイシアが声をかけた。
「「レイシア様!」」
ランとリンはレイシアを見ると飛びついてきた。
「辛かったよ~」
「きつかったよ~」
2人は泣き崩れながら、今までの苦労を話した。
「よしよし、頑張ったね。ごめんね、遅くなって」
レイシアは店長を見て言った。
「時間もないですし、今日はこれから私が仕切ります。サチ、あなたも接客して。店長、バイト代いいですね」
「バイト代くらいいくらでも払うけど。いいのか?」
「仕方ありません。サチいいね」
「なにをすれば?」
「基本は給仕です。いつも通りで。違うのは挨拶ですね。お客様は『お嬢様』、来店時は『おかえりなさいませお嬢様』。退出時は『行ってらっしゃいませお嬢様』。お客様を良い気分にすればいいわ。メニューは一択、『ふわふわハニーバター、生クリーム添え、紅茶セット』のみよ。後はやりながら覚えて」
「要はいつも通りの仕事でいいんだなレイ。本場のメイド見せつければいいのか?」
「そうよ。サチなら簡単にできるわ」
「オッケー」
「それから、なんか『姉猫』ってなったみたいだから、それでよろしくね」
「……まあいいや」
「ランさんとリンさんは、整理券を配って来て。いいかな」
「「よろこんで!」」
外へ出た2人を見送った後、レイシアは店長に言った。断られないよう圧をかけながら。
「お店終わったら、今後の経営についてお話しましょう」
店長はうなずくしかなかった。
「さ、店長はすぐに焼けるように用意して……、まって、かまどの火は私がやった方が早いわ。ついでに着替えるから入ってこないでね」
レイシアは調理場に入るとかまどの薪に魔法で火をつけ、すぐに着替えた。排気口に向かって声を出した。
「ポエムさん。今日帰りが遅くなるってイリアさんに伝えて」
シュッと風を切る音がした。
◇
店長とアルバイトのメイドたちで円陣を組んだ。
みんなで右手を重ねる。
レイシアがコールを先導する。
「みんなやるよ!」
「「「おお!」」」
「私たちは」
「「「メイド~」」」
「いつでも~」
「「「お嬢様のために~」」」
「心からの~」
「「「笑顔で~!」
「真心を~」
「「「つくす~!」」」
「「「ふぁいっ! ふぁいっ! ふぁい!ふぁい!ふぁいっ!」」」
「黒猫甘味堂~~~」
「「「オープン!」」」
重ねた手を大きく上げた。みんなに笑顔が戻った。
1人見ていたサチは店長に聞いた。
「いつもこれやってるの?」
「いや、今日が初めて」
「なんで出来るの!」
「さあ……レイシアちゃんだから?」
(レイ、またやらかしたね) と、サチは思った。
「サチ、挨拶に行くよ」
サチの手をつかんで、レイシアは店のドアの前に立った。
ギィ————— と音を立てドアを開いた。
黒猫甘味堂 開店です。
店長がレイシアに言うと、サチはメイドの礼をして答えた。
「お初にお目にかかります。私はレイシア様の専属メイド『サチ』と申します。以降お見知りおきを」
「本物⁈」
「「本物です」」
店長は天井を見上げた。
「あ~、サプライズとかいっちまったよな」
そんな店長の言葉は無視し、レイシアは聞き返した。
「それより、外の状況はどうなっているんですか? なにがあったの?」
「君がいない間だ。お客様と言うか、ファンクラブの会員がどんどん増えてね……」
「ファンクラブって何ですか?」
サチが思わず聞いた。
「ファンクラブ。別名黒猫同盟。レイシアちゃんを中心としたメイド達を推す団体だよ。メイド服ごとカラーが違うからね。レイシアちゃんは黒猫様。一番人気だよ」
「いつの間に!」
「えっ? 気づいていなかったの?」
「全然!」
「そうなんだ……」
店長とサチは残念な子を見るようにレイシアを見た。
「レイシア様はあまりご自分に向けられた評価や好意は、昔から気になさりませんから」
サチが言うと。店長はなんとなく理解した。
◇
「それにしても、朝早くから大勢の女の子が集まっていますね」
サチが言うと、レイシアは「前はこんなんじゃなかったよ」と答えた。
「君が実家に戻ってから、急にお客様が増えてね。ほら、レイシアちゃん最初の頃言っていたでしょ。『もし、ひと月お客様が増えなければ、このお店閉店してしまうのです。あ、すみません。お客様に話すことではありませんでした』って」
「言ってました?」
「言ってたの! 休みが始まって、毎日出ていたのに急にいなくなったレイシアちゃんを心配したファンクラブが、お客さんが足りないからレイシアちゃんを首にして店を潰すのではないかと疑心暗鬼になってね。お客様倍増計画を始めたものだからこんなことに……」
「レイシア様のやらかしですか」
「私のせいじゃないわ!」
「間接的にレイシアちゃんの影響が大きいね」
顔を見合わせため息をつく3人。
「僕に聞いてくれればよかったんだけど、いつも中でふわふわパン焼いているからファンクラブと接点がなかったんだよ。あまりの増え方にメイちゃんが会長さんと僕の会談を用意してくれてね。誤解は解けたんだけどお客様と会員は増え続け、新規の会員さんは、レイシアちゃんの事を『幻の黒猫様』とか『伝説の黒猫様』とか噂しているし」
「「伝説の黒猫様⁉」」
「そんな中、制服を着て現れたらそりゃ大騒ぎさ。おまけに同じメイド服を着たメイドを連れていたら……。多分、今頃『姉猫』様の噂と妄想で凄いことになっていると思うよ、ファンクラブの人たち」
その時、外でファンクラブの方々の声が上がった。
「「「白猫様!」」」
「「「茶トラ様!」」」
コールと手拍子が沸き起こる。統制の取れた応援。店長がカギを開けると、メイド服を着たアルバイトのランとリンが入ってきた。
「毎日こうだよ」
遠い目をして店長が言った。
「店長! メイさんが熱を出しました。働きすぎです!」
「私たち2人では回せません! どうしましょう」
泣きそうになりながら2人は言い続けていた。目の前の店長しか見えずに。
「ランさん。リンさん。落ち着いて」
レイシアが声をかけた。
「「レイシア様!」」
ランとリンはレイシアを見ると飛びついてきた。
「辛かったよ~」
「きつかったよ~」
2人は泣き崩れながら、今までの苦労を話した。
「よしよし、頑張ったね。ごめんね、遅くなって」
レイシアは店長を見て言った。
「時間もないですし、今日はこれから私が仕切ります。サチ、あなたも接客して。店長、バイト代いいですね」
「バイト代くらいいくらでも払うけど。いいのか?」
「仕方ありません。サチいいね」
「なにをすれば?」
「基本は給仕です。いつも通りで。違うのは挨拶ですね。お客様は『お嬢様』、来店時は『おかえりなさいませお嬢様』。退出時は『行ってらっしゃいませお嬢様』。お客様を良い気分にすればいいわ。メニューは一択、『ふわふわハニーバター、生クリーム添え、紅茶セット』のみよ。後はやりながら覚えて」
「要はいつも通りの仕事でいいんだなレイ。本場のメイド見せつければいいのか?」
「そうよ。サチなら簡単にできるわ」
「オッケー」
「それから、なんか『姉猫』ってなったみたいだから、それでよろしくね」
「……まあいいや」
「ランさんとリンさんは、整理券を配って来て。いいかな」
「「よろこんで!」」
外へ出た2人を見送った後、レイシアは店長に言った。断られないよう圧をかけながら。
「お店終わったら、今後の経営についてお話しましょう」
店長はうなずくしかなかった。
「さ、店長はすぐに焼けるように用意して……、まって、かまどの火は私がやった方が早いわ。ついでに着替えるから入ってこないでね」
レイシアは調理場に入るとかまどの薪に魔法で火をつけ、すぐに着替えた。排気口に向かって声を出した。
「ポエムさん。今日帰りが遅くなるってイリアさんに伝えて」
シュッと風を切る音がした。
◇
店長とアルバイトのメイドたちで円陣を組んだ。
みんなで右手を重ねる。
レイシアがコールを先導する。
「みんなやるよ!」
「「「おお!」」」
「私たちは」
「「「メイド~」」」
「いつでも~」
「「「お嬢様のために~」」」
「心からの~」
「「「笑顔で~!」
「真心を~」
「「「つくす~!」」」
「「「ふぁいっ! ふぁいっ! ふぁい!ふぁい!ふぁいっ!」」」
「黒猫甘味堂~~~」
「「「オープン!」」」
重ねた手を大きく上げた。みんなに笑顔が戻った。
1人見ていたサチは店長に聞いた。
「いつもこれやってるの?」
「いや、今日が初めて」
「なんで出来るの!」
「さあ……レイシアちゃんだから?」
(レイ、またやらかしたね) と、サチは思った。
「サチ、挨拶に行くよ」
サチの手をつかんで、レイシアは店のドアの前に立った。
ギィ————— と音を立てドアを開いた。
黒猫甘味堂 開店です。
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