165 / 177
第七章 後期授業開始
102話 閑話 サチからの手紙
しおりを挟む
サチから報告書が届いた。娘のレイシアが学園でやらかしているのでサチを送り込んだが、どうなっているのか。月に一度の報告書。私は心を落ち着けて読み始めた。
『それでは、今月のレイシア様の近況について報告いたします』
貴族同士ではありえない簡潔な文章。報告書らしさがいいぞ。
『王都移動中、ボアの集団に遭遇。たまたま同乗していたCランクの冒険者のパーティーと協力して難を逃れる。戦果としては、Cランクパーティーはボア一頭討伐。私はソロで3頭、レイシア様は4頭討伐しました。同乗者全員無事。馬車の持ち主の商人から銀貨5枚お礼を頂きました。もちろん解体してお肉はレイシア様の鞄に入れました』
何やってんだお前ら! まあ無事で良かったが。っていうか、Cランクパーティーより狩ってどうする、しかもソロで! 商人に身元明かしてないだろうな! 取り込まれるなよ!
『王都に入ろうとしたら、変なオヤジに絡まれました。王都のどこかの人事課長でした。憲兵も来て囚われそうになりましたが、オヤマーのお祖父様のメイドと言う「ポエム様」が仲裁に入り、人事課長と憲兵が牢屋に入りました。ポエム様は、我々ターナー式メイド術のような秘儀を習得しているようです。メイド長に報告と確認をお願いします』
何があった! ちゃんと書け! 大丈夫なんだろうな! それから、オヤマーのメイドが秘術遣い? あの子だよな。アリシアについていた若い子。ノエルの下の。
メイドって何! お前ら何者?
『寮は下町にありました。寮母はカンナ。寮生はイリア。それ以外はいません。イリアは学生作家でレイシア様とは仲良しでした。寮に関しては問題ないかと思われます。とりあえず、2週間は私も寮に住まう事が許可されました。王都での居住地は現在未定です』
やっと安心できる報告が来た。というか、その都度書いているのか?
『レイシア様は、教師にサクランボジャムを一瓶金貨1枚で売ったそうです。今日は皆でサクランボジャムをパンにつけて食べました』
ちょっと待て! ジャムが金貨一枚⁈ ぼったくりだろ! どういうことだ? 詳しく教えろ!
『今日の授業で、レイシア様は王子を瞬殺したそうです。王子が強くなったとほめていました』
瞬殺するな!! 瞬殺してほめるだ? 訳が分からん! 王子に勝とうとするなレイシア!
『授業の一環で冒険者ギルドへ行きました。私も陰から見ていました。レイシア様が酔った冒険者に絡まれたので決闘を行いました。レイシア様がCランクだと認めたくないのが発端です。レイシア様は美しく勝利しました。負けた冒険者の頭を踏みつけ、あくまでも優雅に、「わたしがCランクで文句のある方、他にいますか? 今のうちお相手しますが」と聞いたら、そこにいた冒険者全員がうなずき合って認めました』
頭を踏みつけるな! なにがあった。なんでこうなった。止めろ!
『レイシア様は、毎日楽しそうに登校しています。何も心配することはないようです』
どこが……。どこが心配しなくていいんだ、サチ! お前ら自由過ぎないか!
『追記 私について報告です。寮には3週間しか滞在許可が下りませんでした。学園の方針です。レイシア様の紹介で、日中は最近メイド喫茶と呼ばれ始めた黒猫甘味堂で働くことになりました』
メイド喫茶ってなに⁉ どういうこと?
サチ、レイシアのやらかしがすごいのか? お前の報告書がおかしいのか? 私は考えたが、執事の報告書のようなものでレイシアの行動が書かれていたらと想像した瞬間、このくらいがいいのかもしれないと思い直した。
私は「知らない方が幸せな時がある」という先人の言葉を思い出した。
『それでは、今月のレイシア様の近況について報告いたします』
貴族同士ではありえない簡潔な文章。報告書らしさがいいぞ。
『王都移動中、ボアの集団に遭遇。たまたま同乗していたCランクの冒険者のパーティーと協力して難を逃れる。戦果としては、Cランクパーティーはボア一頭討伐。私はソロで3頭、レイシア様は4頭討伐しました。同乗者全員無事。馬車の持ち主の商人から銀貨5枚お礼を頂きました。もちろん解体してお肉はレイシア様の鞄に入れました』
何やってんだお前ら! まあ無事で良かったが。っていうか、Cランクパーティーより狩ってどうする、しかもソロで! 商人に身元明かしてないだろうな! 取り込まれるなよ!
『王都に入ろうとしたら、変なオヤジに絡まれました。王都のどこかの人事課長でした。憲兵も来て囚われそうになりましたが、オヤマーのお祖父様のメイドと言う「ポエム様」が仲裁に入り、人事課長と憲兵が牢屋に入りました。ポエム様は、我々ターナー式メイド術のような秘儀を習得しているようです。メイド長に報告と確認をお願いします』
何があった! ちゃんと書け! 大丈夫なんだろうな! それから、オヤマーのメイドが秘術遣い? あの子だよな。アリシアについていた若い子。ノエルの下の。
メイドって何! お前ら何者?
『寮は下町にありました。寮母はカンナ。寮生はイリア。それ以外はいません。イリアは学生作家でレイシア様とは仲良しでした。寮に関しては問題ないかと思われます。とりあえず、2週間は私も寮に住まう事が許可されました。王都での居住地は現在未定です』
やっと安心できる報告が来た。というか、その都度書いているのか?
『レイシア様は、教師にサクランボジャムを一瓶金貨1枚で売ったそうです。今日は皆でサクランボジャムをパンにつけて食べました』
ちょっと待て! ジャムが金貨一枚⁈ ぼったくりだろ! どういうことだ? 詳しく教えろ!
『今日の授業で、レイシア様は王子を瞬殺したそうです。王子が強くなったとほめていました』
瞬殺するな!! 瞬殺してほめるだ? 訳が分からん! 王子に勝とうとするなレイシア!
『授業の一環で冒険者ギルドへ行きました。私も陰から見ていました。レイシア様が酔った冒険者に絡まれたので決闘を行いました。レイシア様がCランクだと認めたくないのが発端です。レイシア様は美しく勝利しました。負けた冒険者の頭を踏みつけ、あくまでも優雅に、「わたしがCランクで文句のある方、他にいますか? 今のうちお相手しますが」と聞いたら、そこにいた冒険者全員がうなずき合って認めました』
頭を踏みつけるな! なにがあった。なんでこうなった。止めろ!
『レイシア様は、毎日楽しそうに登校しています。何も心配することはないようです』
どこが……。どこが心配しなくていいんだ、サチ! お前ら自由過ぎないか!
『追記 私について報告です。寮には3週間しか滞在許可が下りませんでした。学園の方針です。レイシア様の紹介で、日中は最近メイド喫茶と呼ばれ始めた黒猫甘味堂で働くことになりました』
メイド喫茶ってなに⁉ どういうこと?
サチ、レイシアのやらかしがすごいのか? お前の報告書がおかしいのか? 私は考えたが、執事の報告書のようなものでレイシアの行動が書かれていたらと想像した瞬間、このくらいがいいのかもしれないと思い直した。
私は「知らない方が幸せな時がある」という先人の言葉を思い出した。
34
「貧乏奨学生の子爵令嬢は、特許で稼ぐ夢を見る 〜レイシアは、今日も我が道つき進む!~」https://www.alphapolis.co.jp/novel/892339298/357766056 #
お気に入りに追加
668
あなたにおすすめの小説

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!

貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。


精霊の森に捨てられた少女が、精霊さんと一緒に人の街へ帰ってきた
アイイロモンペ
ファンタジー
2020.9.6.完結いたしました。
2020.9.28. 追補を入れました。
2021.4. 2. 追補を追加しました。
人が精霊と袂を分かった世界。
魔力なしの忌子として瘴気の森に捨てられた幼子は、精霊が好む姿かたちをしていた。
幼子は、ターニャという名を精霊から貰い、精霊の森で精霊に愛されて育った。
ある日、ターニャは人間ある以上は、人間の世界を知るべきだと、育ての親である大精霊に言われる。
人の世の常識を知らないターニャの行動は、周囲の人々を困惑させる。
そして、魔力の強い者が人々を支配すると言う世界で、ターニャは既存の価値観を意識せずにぶち壊していく。
オーソドックスなファンタジーを心がけようと思います。読んでいただけたら嬉しいです。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

大賢者の弟子ステファニー
楠ノ木雫
ファンタジー
この世界に存在する〝錬金術〟を使いこなすことの出来る〝錬金術師〟の少女ステファニー。
その技を極めた者に与えられる[大賢者]の名を持つ者の弟子であり、それに最も近しい存在である[賢者]である。……彼女は気が付いていないが。
そんな彼女が、今まであまり接してこなかった[人]と関わり、成長していく、そんな話である。
※他の投稿サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる