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第六章 夏休み
62話 新しい朝が来た
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ターナー家のメイドと料理人の朝は早い。そしてレイシアの取り合いから始まる。
「今日はどうしたって嬢ちゃんをもらおう。ボアを解体しないといけないんでな」
「今日はしょうがないね。明日はサチと訓練ですよ、レイシア様」
そうして新しい一日がはじまる。
◇
「ウオーター」
レイシアが手のひらから水を出し料理長が皮を剥ぐ。
「嬢ちゃん。魔法って便利だな」
レイシアは「そうなんすよ」とどや顔になった。剥いだ皮を流れない様に池に入れると料理長は言った。
「皮は後で冒険者ギルドに下ろそう。肉は夕方まで玉ねぎに漬ける。サム、玉ねぎ40個みじん切りにして付けておくように」
「へーい」
「嬢ちゃんはかまどに火をつける。なるべく早くだ」
「へい! まかせなすって」
レイシアは薪を組むと、「ファイヤー」と唱え、青白い炎で一気に火を起こした。
「嬢ちゃん……なんでもできるな」
「そうっすよ。魔法、便利なんでさぁ」
「……しかし嬢ちゃん。その言葉遣い、王都に言っても直らないな。普通にしゃべっていいんだがな」
「いやぁ、このしゃべり方、下町でなめられないんでいいっすよ。がっはっは」
「そんなもんか?」
料理長は昔サムに指導役を任せたことを後悔しながら、サムを睨みつけた。
◇
「お姉様おはようございます」
「おはよう、クリシュ。こんなに早くからどうしたの?」
まだ5時半。しかしクリシュは出かける準備をしている。
「今日は教会の仕事があるので朝から教会に行くんです」
「教会で仕事しているの?」
「はい。子供たちに勉強を教えているんです」
レイシアは目を大きくしてクリシュをみつめた。
「立派になったのねクリシュ。すごいわ」
「いえいえ、まだまだですよ」
「そんなことないよ。素敵なことよ」
「ありがとうございます、お姉様」
その光景をみていた父が言った。
「レイシアも一緒に行ったらどうだい。朝の礼拝に。なんならそのままクリシュの仕事見ていてもいいぞ」
「本当ですか、お父様」
「ああ。私も後で向かうよ。神父様と三人で話もしたいしな」
「すぐ準備します。いいですか?料理長。出かけても」
「ああ、嬢ちゃんの好きにしたらいい。休暇で来たんだろ」
「ありがとう! 師匠」
レイシアは部屋に戻って大急ぎで着替えをした。
◇
教会に着くと、間もなく礼拝が始まる時間だった。
席に着き祈りを捧げる。
レイシアは、朝の礼拝に出るのは初めてだ。すがすがしい朝のお祈り。しかも弟と2人で。
朝の礼拝もいいな。そう思った。
祭壇では神父様が祈りの言葉を捧げる。神父様の隣にもう一人神父様?のような人がいる。
お祈りの後皆で讃美歌を歌う。朝ゆえにほんのわずかの儀式だわ。さあ終わったと席を立とうとしたその時、軽快な音楽がオルガンから流れた。
チャン♪チャラチャラララ♪ チャン♪チャラチャラララ♪ チャチャチャ チャララン♪ チャラ チャン チャン♫
「なに? 何が始まるの?」
「スーハーですよ。お姉様も一緒にしましょう」
レイシアは初めての儀式に戸惑いをおぼえた。
「腕を大きく開いて~」
「ス――――」
「腕を閉じて~」
「ハ――――」
「はいっ みんな揃ってスーハースーハー。腕を開いてスー。腕を閉じたらハー。ご一緒に朝の儀式を行いましょう」
「こ、こう? なにか覚えがあるような……」
「まずは体をひねりましょう♪ いっちに さんし♫ にいに さんし♫ 吸って~ 吐いて~ 吸って~ 吐いて~♫ いっちに さんし♪」
「体を回して~♪ 呼吸は大事~♪ っはい いっちに さんし♪ にいに さんし♪」
「腕も回しましょう♪ 呼吸といっしょに~」
「首の運動~ っはいっ!」
「最後は深呼吸~ ゆっくりと~ スーハー スーハー スーハー スーハー」
「今日も1日、元気にすごしましょう! これで聖なる儀式『スーハー』は完了です。皆様よい1日を!」
「なにこれ? この落ち着く感じと、みんなとの一体感は。デジャヴュ?」
「すてきでしょう? これで健康になったっていう人が続出して、毎日の礼拝の後の恒例行事になったんだって」
「へえ~。これ考えた人天才ね」
レイシアは、5歳のあの事件がこうなったとは気がつかなかった。
「今日はどうしたって嬢ちゃんをもらおう。ボアを解体しないといけないんでな」
「今日はしょうがないね。明日はサチと訓練ですよ、レイシア様」
そうして新しい一日がはじまる。
◇
「ウオーター」
レイシアが手のひらから水を出し料理長が皮を剥ぐ。
「嬢ちゃん。魔法って便利だな」
レイシアは「そうなんすよ」とどや顔になった。剥いだ皮を流れない様に池に入れると料理長は言った。
「皮は後で冒険者ギルドに下ろそう。肉は夕方まで玉ねぎに漬ける。サム、玉ねぎ40個みじん切りにして付けておくように」
「へーい」
「嬢ちゃんはかまどに火をつける。なるべく早くだ」
「へい! まかせなすって」
レイシアは薪を組むと、「ファイヤー」と唱え、青白い炎で一気に火を起こした。
「嬢ちゃん……なんでもできるな」
「そうっすよ。魔法、便利なんでさぁ」
「……しかし嬢ちゃん。その言葉遣い、王都に言っても直らないな。普通にしゃべっていいんだがな」
「いやぁ、このしゃべり方、下町でなめられないんでいいっすよ。がっはっは」
「そんなもんか?」
料理長は昔サムに指導役を任せたことを後悔しながら、サムを睨みつけた。
◇
「お姉様おはようございます」
「おはよう、クリシュ。こんなに早くからどうしたの?」
まだ5時半。しかしクリシュは出かける準備をしている。
「今日は教会の仕事があるので朝から教会に行くんです」
「教会で仕事しているの?」
「はい。子供たちに勉強を教えているんです」
レイシアは目を大きくしてクリシュをみつめた。
「立派になったのねクリシュ。すごいわ」
「いえいえ、まだまだですよ」
「そんなことないよ。素敵なことよ」
「ありがとうございます、お姉様」
その光景をみていた父が言った。
「レイシアも一緒に行ったらどうだい。朝の礼拝に。なんならそのままクリシュの仕事見ていてもいいぞ」
「本当ですか、お父様」
「ああ。私も後で向かうよ。神父様と三人で話もしたいしな」
「すぐ準備します。いいですか?料理長。出かけても」
「ああ、嬢ちゃんの好きにしたらいい。休暇で来たんだろ」
「ありがとう! 師匠」
レイシアは部屋に戻って大急ぎで着替えをした。
◇
教会に着くと、間もなく礼拝が始まる時間だった。
席に着き祈りを捧げる。
レイシアは、朝の礼拝に出るのは初めてだ。すがすがしい朝のお祈り。しかも弟と2人で。
朝の礼拝もいいな。そう思った。
祭壇では神父様が祈りの言葉を捧げる。神父様の隣にもう一人神父様?のような人がいる。
お祈りの後皆で讃美歌を歌う。朝ゆえにほんのわずかの儀式だわ。さあ終わったと席を立とうとしたその時、軽快な音楽がオルガンから流れた。
チャン♪チャラチャラララ♪ チャン♪チャラチャラララ♪ チャチャチャ チャララン♪ チャラ チャン チャン♫
「なに? 何が始まるの?」
「スーハーですよ。お姉様も一緒にしましょう」
レイシアは初めての儀式に戸惑いをおぼえた。
「腕を大きく開いて~」
「ス――――」
「腕を閉じて~」
「ハ――――」
「はいっ みんな揃ってスーハースーハー。腕を開いてスー。腕を閉じたらハー。ご一緒に朝の儀式を行いましょう」
「こ、こう? なにか覚えがあるような……」
「まずは体をひねりましょう♪ いっちに さんし♫ にいに さんし♫ 吸って~ 吐いて~ 吸って~ 吐いて~♫ いっちに さんし♪」
「体を回して~♪ 呼吸は大事~♪ っはい いっちに さんし♪ にいに さんし♪」
「腕も回しましょう♪ 呼吸といっしょに~」
「首の運動~ っはいっ!」
「最後は深呼吸~ ゆっくりと~ スーハー スーハー スーハー スーハー」
「今日も1日、元気にすごしましょう! これで聖なる儀式『スーハー』は完了です。皆様よい1日を!」
「なにこれ? この落ち着く感じと、みんなとの一体感は。デジャヴュ?」
「すてきでしょう? これで健康になったっていう人が続出して、毎日の礼拝の後の恒例行事になったんだって」
「へえ~。これ考えた人天才ね」
レイシアは、5歳のあの事件がこうなったとは気がつかなかった。
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