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第五章 夏休みまで
53話 閑話 縦割りの弊害
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騎士は脳筋だけでは成り立たない。
参謀、指揮官など、頭脳を要する部署もある。
というか、そちらが大事だ。前線は騎士ではなく一般兵が行うべきなのだ。
しかし、強い騎士と言うのも必要だ。
魔法部隊はむしろ言われた通り行う脳筋の方が使いやすい。
そういう流れの元、頭のいい奴は魔法部隊には行かず参謀を目指し、力ある者は脳筋と化していった。それがこの国の軍の歴史であり伝統だ。
だから魔法が廃れたのじゃないのか?
資料を読みながら俺はそんなことを思いついた。
参謀部の資料室班に移動になってから、俺はありとあらゆる報告書を読んできた。大昔の戦場の記録も読んだ。そんな俺が今、気になってしょうがないのが学園から上がってくる授業記録だ。
新入生の模擬戦記録。
『メイド服でフォークとナイフを主要武器とした女子が優勝。今後使用を禁止させる』
待て! そこは伸ばすところだろう! 女子で暗器遣いなど要人警護に最適ではないか! 王妃や王女の護衛としてすぐにでもスカウトしたい人材だ! しかし、こちらから口出しできない。縦割りの壁めが!
新入生の魔法検査
『6属性の生徒が魔法取得。火魔法は指先から指一本分の炎しか出せない。火の色は赤系から青系に変化可能。水魔法は、桶に水を入れる程度の威力しかない。魔力は高いが攻撃には向かない。6属性なので使えない威力だ』
待て! 指先から青い炎が出せるだと! それも指1本分。バカみたいな威力の攻撃魔法より使いようがあるんじゃねえか? それを使えないだと‼ それに水魔法。桶に入れることが出来る威力ってめちゃくちゃ便利だろ! 何杯出せる? 場合によっては進軍の常識が変わるぞ。くそっ、縦割り行政め! 脳筋のボケが!
俺はあらゆる書類を読み解き該当者を探し当てた。
なんてこった。どちらも同じやつじゃないか。
『レイシア・ターナー』子爵家の娘か……。
新入生の魔法実践
『風魔法が発動。新発見かもしれない。威力特大。発動者リリー。女生徒』
なんだと! 風魔法⁈ 参謀部からも人員を派遣したい! 脳筋どもじゃ分析など出来ないだろうに!
『風魔法の使用方法はレイシアに聞いたと発言する。6属性に出来る筈はない。レイシアにもやらせてみたが威力が足りない。今後はリリーにしぼり風魔法を研究する』
馬鹿かっ! 威力じゃない! 重要なのは発案者のレイシアだろう! なぜ分かんないのだ、魔法部隊の脳筋ども!
俺は見たことがないレイシア・ターナーに惹かれていった。ん? 奨学生? こいつ貴族籍を手放すのか。
ハハハッ! こいつは絶対騎士コースに来る! それ以外考えられん! 3年生になれば参謀部から派遣された者が行う授業がある。そこで接触できれば!
2年後、俺が行けるように上司に進言しよう。こいつは俺が育ててやる! 魔法部隊になんぞ取られてなるものか!
俺は、膨大な書類の中から、要人警護の重要性とレイシアの可能性(魔法も含めて)をレポートにまとめ上司に提出した。
待っていろよ、レイシア・ターナー! それまで脳筋どもに染まるなよ! 縦割りさえなければすぐにでも話がしたいのに!
俺は、可能性だらけの未来と女生徒の事を考えながら、上司を口説き落とした。
◇◇◇
…………レイシアが、騎士コースを取る気がないことを、彼は知らない。
参謀部と実行部隊・魔法部隊の仲が悪くなく、もしも連携が取れていたなら得ることが出来た膨大な可能性が、縦割りの縄張り争いのため喪失してしまった。
参謀、指揮官など、頭脳を要する部署もある。
というか、そちらが大事だ。前線は騎士ではなく一般兵が行うべきなのだ。
しかし、強い騎士と言うのも必要だ。
魔法部隊はむしろ言われた通り行う脳筋の方が使いやすい。
そういう流れの元、頭のいい奴は魔法部隊には行かず参謀を目指し、力ある者は脳筋と化していった。それがこの国の軍の歴史であり伝統だ。
だから魔法が廃れたのじゃないのか?
資料を読みながら俺はそんなことを思いついた。
参謀部の資料室班に移動になってから、俺はありとあらゆる報告書を読んできた。大昔の戦場の記録も読んだ。そんな俺が今、気になってしょうがないのが学園から上がってくる授業記録だ。
新入生の模擬戦記録。
『メイド服でフォークとナイフを主要武器とした女子が優勝。今後使用を禁止させる』
待て! そこは伸ばすところだろう! 女子で暗器遣いなど要人警護に最適ではないか! 王妃や王女の護衛としてすぐにでもスカウトしたい人材だ! しかし、こちらから口出しできない。縦割りの壁めが!
新入生の魔法検査
『6属性の生徒が魔法取得。火魔法は指先から指一本分の炎しか出せない。火の色は赤系から青系に変化可能。水魔法は、桶に水を入れる程度の威力しかない。魔力は高いが攻撃には向かない。6属性なので使えない威力だ』
待て! 指先から青い炎が出せるだと! それも指1本分。バカみたいな威力の攻撃魔法より使いようがあるんじゃねえか? それを使えないだと‼ それに水魔法。桶に入れることが出来る威力ってめちゃくちゃ便利だろ! 何杯出せる? 場合によっては進軍の常識が変わるぞ。くそっ、縦割り行政め! 脳筋のボケが!
俺はあらゆる書類を読み解き該当者を探し当てた。
なんてこった。どちらも同じやつじゃないか。
『レイシア・ターナー』子爵家の娘か……。
新入生の魔法実践
『風魔法が発動。新発見かもしれない。威力特大。発動者リリー。女生徒』
なんだと! 風魔法⁈ 参謀部からも人員を派遣したい! 脳筋どもじゃ分析など出来ないだろうに!
『風魔法の使用方法はレイシアに聞いたと発言する。6属性に出来る筈はない。レイシアにもやらせてみたが威力が足りない。今後はリリーにしぼり風魔法を研究する』
馬鹿かっ! 威力じゃない! 重要なのは発案者のレイシアだろう! なぜ分かんないのだ、魔法部隊の脳筋ども!
俺は見たことがないレイシア・ターナーに惹かれていった。ん? 奨学生? こいつ貴族籍を手放すのか。
ハハハッ! こいつは絶対騎士コースに来る! それ以外考えられん! 3年生になれば参謀部から派遣された者が行う授業がある。そこで接触できれば!
2年後、俺が行けるように上司に進言しよう。こいつは俺が育ててやる! 魔法部隊になんぞ取られてなるものか!
俺は、膨大な書類の中から、要人警護の重要性とレイシアの可能性(魔法も含めて)をレポートにまとめ上司に提出した。
待っていろよ、レイシア・ターナー! それまで脳筋どもに染まるなよ! 縦割りさえなければすぐにでも話がしたいのに!
俺は、可能性だらけの未来と女生徒の事を考えながら、上司を口説き落とした。
◇◇◇
…………レイシアが、騎士コースを取る気がないことを、彼は知らない。
参謀部と実行部隊・魔法部隊の仲が悪くなく、もしも連携が取れていたなら得ることが出来た膨大な可能性が、縦割りの縄張り争いのため喪失してしまった。
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