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幕間 アルファポリス限定SS ②

イリア・ノベライズ作 制服王子と制服少女 終幕

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「この晴れなる日に制服なんかでくるとは。恥を知りなさい!」

 彼女は高位の貴族子女に囲まれて口汚い暴言を吐かれていた。

「王子! 関わってはいけません」

 従者が僕を止める。分かっている。ここで僕が出たら大事(おおごと)になるのは。しかし……。唇を噛んで事態を見守った。

 さんざん罵倒した彼女らは、「何をしてるの、あなたたち!」という教師の声で四方に霧散した。一人残された制服の彼女は……。

「何でもありませんわ。犬に吠えられていただけです」

 そう言うと颯爽と去っていった。

「行くぞ」
「どちらへ?」
「着替えにだ」

 僕は、彼女のような強さが欲しくなった。
 この学園を僕が変える!

 ◇

「本当にその姿で出るのでしょうか?」
「問題あるまい」

 新入生挨拶。王子である僕の役目だ。僕は壇上に向かう。
 会場がざわづいている。僕が制服を着ているとは思いもよらなかったのだろう。

「本日は、我々新入生のために、このような立派な式を行っていただきありがとうございます。我々は今日この日を心より楽しみにしていました」

 ここまでは予定通りの原稿を読んだ。

「ところで、新入生諸君。何か勘違いしていないでしょうか。ここは学園。学問の学び舎です。浮ついて着飾って、一体なにをしようとしているのでしょうか?」

 浮ついただけでなく、制服だからと虐めてたヤツら。聞こえているか。

「学園には制服というものがあるというのに。皆様の興味は宝石やドレスしかないのでしょうか? 男性諸君も同様です。これからの王国を担う皆様は、学園に何をしにきているのでしょうか?」

 学園を見栄の張場だと思っているのか? 

「どうやらわたくしと同じ心持を持てる者は、そこの騎士服をまとっている彼ら……ああ、あそこに制服の女子がいますね。それくらいですか? 残念でなりません」

 
 生徒たちの目線が、一斉に制服姿の彼女に集まる。
 そう。この場で制服を着ているのは、この僕と彼女だけ。

 彼女が僕を見つめる。
 僕も彼女を見つめる。

 二人の心が通じ合った気がした。

 僕は彼女と歩んでいきたい。そう願った。




 その時!


 突然桜の花びらを纏った強風が会場内を駆け抜けた。
 ステンドグラスの大窓が開き、制服の彼女が誰かに連れ去られた。

 シーンと静まり返る入学式会場。
 風に舞い、ひらひらと落ちてくる桜の花びら。

 「追え! 女生徒を救うんだ!」

 われに返った教師たちが口々に喚く。
 騎士コースの男子たちが窓から外へ駆け出す。
 僕は護衛の者に引きずられるように会場から出された。

               第一巻(了)
                


 途中抜けでいきなり最後書いてみました。
 サポーター特典、こんな感じでいいですか?



 というようなものをサポーター限定で出しました。埋もれすぎて探すの大変でした。
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