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第四章 実技の授業
37話 騎士コース (馬術基礎)
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騎士コースは、他とは違い、実践基礎 魔法基礎 馬術基礎は必ずセットで取らなければいけない。ただし、魔法に関しては適正があり、それを望む者だけがやり続け、それ以外は残り2つを行う。魔法は選択しない人の方が多い。
〈馬術基礎〉
騎士爵の子が多く受けるが、跡継ぎに成れない貴族の子も受けに来る。女性王族や高位貴族の護衛としての需要もあるため、少数だが女子もいる。
さらに今年は王子も受けている。元々周りの貴族の子がつまらない人材だけだったので、剣の腕を磨く方が楽しく、ちいさな頃から騎士の子供たちの訓練に混ざっていた。
そして現在、一人ぼっちの授業を受けるつまらなさもあり、騎士コースの基礎を選択にいれたのだ。
はっきりいえば迷惑この上ないが、受けると言うなら受け入れざるを得ない。そんな状況である。
◇
グランドで集合している騎士コースの受講生徒たち。動ける服装でとしか言われていなく着ているものがバラバラ。高そうな乗馬服を着ている者。訓練用の道着を着ている者。作業着のような服を着ている者。レイシアは、料理長と狩りに行く時の小汚い服を着ていた。
「では、これから馬小屋に移動する」
教師がそう言って移動を開始した。これから馬に乗れるのかと、みんな期待しながら歩いた。
厩舎に着くと、そこに馬はいなかった。馬は上級生が授業で使っていた。その代わり、2年生の先輩たちが固まって待ち構えていた。
教師は、新入生たちに向かって言い放った。
「お前たちは、一年間馬小屋の清掃を行う。馬に乗れるのは2年生になってからだ。そこにいる先輩方は、今まで馬小屋の掃除をしてきた者たちだ。お前たちはそれを引き継ぐ。有難く思え」
やはり高位貴族からはブーイングが起こった。乗馬服を着ているのに馬小屋の掃除を言いつけられるとは思ってもみなかったから。教師は怒鳴った。
「お前らはお馬様の召使だ! お馬様に比べたらお前たちの価値は塵芥ごみくず以下だ! 馬に乗るとか思うな! 乗せて頂くんだ。 貴様らなんぞ、お馬様に蹴られたらその時点で死亡だ! 間違うな! 貴様らは馬の召使い! いいな」
なんとも理不尽な言い方! しかし、2年生たちは神妙な顔で頷いている。
「一人ひとりに担当の部屋を当てる。完ぺきに一年間掃除をすること。掃除の仕方は2年生に聞け! できた奴だけ次に行ける。嫌なら去れ。それだけだ!」
教師はそう言うと2年生に丸投げした。
あまりの事に、その場を去る者が現れた。それも仕事と2年生に仕事を聞くものも現れた。どっちつかずの者が多い中、王子が馬小屋の掃除を始めた。
周りの生徒が王子を見て固まった。
実は王子は、馬術はそれなりに経験があった。王子の馬術指導者は王子が7歳の頃から馬小屋の掃除をさせていた程、きっちりと仕込む人だった。というか、王族の指導者達は甘い者はいない。王としての教育は、それはそれは厳しいものだった。それゆえ、周りの貴族子弟が馬鹿に見えるのは仕方のないこと。厩舎の掃除くらいなんともないのが王子の真のクオリティだった。
そして、レイシアの掃除スキルはここでも遺憾なく発揮された。馬小屋の掃除はしたことがないが所詮は掃除。誰にも気づかれる暇もなく掃除を終えていた。
初日は、王子とレイシア、その他小さい頃から鍛えられた騎士爵の子供数人だけが合格をもらい、後は精神がボロボロになるまで罵倒されながら掃除を行っていた。
馬術コースは、脱落者を出しながらも、王子とレイシアがそれぞれ貴族と平民のリーダーっぽくなり、一年間掃除を続けることになった。
〈馬術基礎〉
騎士爵の子が多く受けるが、跡継ぎに成れない貴族の子も受けに来る。女性王族や高位貴族の護衛としての需要もあるため、少数だが女子もいる。
さらに今年は王子も受けている。元々周りの貴族の子がつまらない人材だけだったので、剣の腕を磨く方が楽しく、ちいさな頃から騎士の子供たちの訓練に混ざっていた。
そして現在、一人ぼっちの授業を受けるつまらなさもあり、騎士コースの基礎を選択にいれたのだ。
はっきりいえば迷惑この上ないが、受けると言うなら受け入れざるを得ない。そんな状況である。
◇
グランドで集合している騎士コースの受講生徒たち。動ける服装でとしか言われていなく着ているものがバラバラ。高そうな乗馬服を着ている者。訓練用の道着を着ている者。作業着のような服を着ている者。レイシアは、料理長と狩りに行く時の小汚い服を着ていた。
「では、これから馬小屋に移動する」
教師がそう言って移動を開始した。これから馬に乗れるのかと、みんな期待しながら歩いた。
厩舎に着くと、そこに馬はいなかった。馬は上級生が授業で使っていた。その代わり、2年生の先輩たちが固まって待ち構えていた。
教師は、新入生たちに向かって言い放った。
「お前たちは、一年間馬小屋の清掃を行う。馬に乗れるのは2年生になってからだ。そこにいる先輩方は、今まで馬小屋の掃除をしてきた者たちだ。お前たちはそれを引き継ぐ。有難く思え」
やはり高位貴族からはブーイングが起こった。乗馬服を着ているのに馬小屋の掃除を言いつけられるとは思ってもみなかったから。教師は怒鳴った。
「お前らはお馬様の召使だ! お馬様に比べたらお前たちの価値は塵芥ごみくず以下だ! 馬に乗るとか思うな! 乗せて頂くんだ。 貴様らなんぞ、お馬様に蹴られたらその時点で死亡だ! 間違うな! 貴様らは馬の召使い! いいな」
なんとも理不尽な言い方! しかし、2年生たちは神妙な顔で頷いている。
「一人ひとりに担当の部屋を当てる。完ぺきに一年間掃除をすること。掃除の仕方は2年生に聞け! できた奴だけ次に行ける。嫌なら去れ。それだけだ!」
教師はそう言うと2年生に丸投げした。
あまりの事に、その場を去る者が現れた。それも仕事と2年生に仕事を聞くものも現れた。どっちつかずの者が多い中、王子が馬小屋の掃除を始めた。
周りの生徒が王子を見て固まった。
実は王子は、馬術はそれなりに経験があった。王子の馬術指導者は王子が7歳の頃から馬小屋の掃除をさせていた程、きっちりと仕込む人だった。というか、王族の指導者達は甘い者はいない。王としての教育は、それはそれは厳しいものだった。それゆえ、周りの貴族子弟が馬鹿に見えるのは仕方のないこと。厩舎の掃除くらいなんともないのが王子の真のクオリティだった。
そして、レイシアの掃除スキルはここでも遺憾なく発揮された。馬小屋の掃除はしたことがないが所詮は掃除。誰にも気づかれる暇もなく掃除を終えていた。
初日は、王子とレイシア、その他小さい頃から鍛えられた騎士爵の子供数人だけが合格をもらい、後は精神がボロボロになるまで罵倒されながら掃除を行っていた。
馬術コースは、脱落者を出しながらも、王子とレイシアがそれぞれ貴族と平民のリーダーっぽくなり、一年間掃除を続けることになった。
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