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第四章 実技の授業
36話 法衣貴族コース 簿記・会計 及び ビジネス作法(貴族対応)
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法衣貴族コース。それは増えることのない法衣貴族の座を狙い、現法衣貴族の子弟と、領地を継げない土地持ち貴族の子弟が、火花を散らして戦うガチンココース。とにかく頭脳と人柄が出来ないとすぐに脱落するシビアな世界。最終的には国家試験で決まる身分ではあるが、ほぼ学園の成績で決まる過酷な場所である。ゆえに戦いは1年生から始まると言っても過言ではない。
(簿記・会計〉
集められた者たちは、最初にテストを受ける。本格的な簿記を学ぶのは3年生以降。それまでは、数学の基礎を学ぶ。一般教養の算数とは違う特殊な計算方法。それが数学。それを受けるに値するかテストで振り分けられる。もちろん点数別にクラス分け。満点は合格証を与えられる。
どうせそうなんでしょう、と予想通りレイシアは満点+αで合格証をもらった。簿記・会計コース2年生分まで終了。お疲れさまでした。
◇◇◇
〈ビジネス作法〉
公務員として生きるためには貴族様の対応が出来なければいけない。上の者におかしな対応をしてはいけないのは、どこの世界も一緒。礼儀・礼節は重要。これは、下の者であればあるほど身に着きやすく、高位の者には受け入れがたい授業。へつらえるかどうか。そこを鍛えられる授業が「ビジネス作法」の極意。
「いいか、おまえらは公僕を目指している者どもだ。コウボクとは、人々のためと言う意味ではない! 高貴な人の為に働く高僕が本当の意味だ! 上にへつらい下を誤魔化す。それが真の「公僕」だ! 特に法衣子爵を目指すものは心して覚えよ。君たちは貴族のための高貴な者の僕となれ!」
身も蓋もないがそれが現実。どこの世界もそんなもの。甘っちょろい理想は身を滅ぼす。絶望は早いうちがいい。それがグロリア学園の教育方針。
「はい、今嫌な顔したヤツ出て行っていいぞ。どうせ脱落していくんだ。面倒なことはお互いしたくないだろう」
教師はニヤっと笑うと、出口を指差した。
高位貴族らしい服を着た者たちが何人か出て行った。
「いいぞ、無駄な時間はお互い少ない方がいい。では最初の授業だ。お前と、お前と、おまえと……、ここへ並べ」
教師たちは、いかにも身分の低そうな、見た目の悪い男子を10人選んで前に並んでいるイスに座らせた。
「今から、この前に座っている生徒を、そうだな、王子だと思って挨拶をしてもらおう。ひざまずいて、最大限の忠誠を誓ってくれ。な~に、心などこもってなくていい。こもっている風にしてくれればいいんだ。簡単だろう」
「ふざけるな!」
どこからか声が上がった。そこから堰を切ったように罵声が上がった。教師は手を叩くと
「こんなこともできない奴は早く帰れ! 社会はもっと厳しいんだ!」
と怒鳴った。
「この中で一番つらいのは誰だとおもっているんだ! ここに座っている10人だ!」
見ると10人とも涙目である。知っていたけどここまで拒絶されると………………。
生徒たちは黙るしかなかった。
◇
シーンとした空気の中、制服姿のレイシアが中央のイスに座っている生徒の前に進み出た。その姿は慈愛に満ちた天使の様だった。
レイシアは、イスに座った男子に、丁寧に頭を下げ跪いた。そして、丁寧な挨拶を始めた。
「旦那、あっしはレイシアともうす半端者です。こっから先、お世話になることもあると思いますんで、一つよろしゅう頼んます。あ、これはほんのお近づきのしるしでございやす」
そう言って、銀貨を一枚差し出した。
レイシアはやり切った。 周りは凍った。 教師たちは白髪になりそうな程の衝撃を受けた。
◇
それからの授業は滞りなく行われた。あれよりはまし、という空気が流れた結果敷居が低くなったのだ。結果的にレイシアはいい仕事をしたのだが、評価は最低をもらうことになった。
その結果として、法衣貴族コースの者たちからは「やさぐれ勇者」という二つ名を与えられた。
【現在のレイシアの二つ名】
制服の悪魔のお嬢様(略称 制服の悪魔 悪魔のお嬢様)(市場)
黒魔女様 (メイド組女子生徒)
マジシャン (料理組男子生徒)
やさぐれ勇者(法衣貴族組生徒)
(簿記・会計〉
集められた者たちは、最初にテストを受ける。本格的な簿記を学ぶのは3年生以降。それまでは、数学の基礎を学ぶ。一般教養の算数とは違う特殊な計算方法。それが数学。それを受けるに値するかテストで振り分けられる。もちろん点数別にクラス分け。満点は合格証を与えられる。
どうせそうなんでしょう、と予想通りレイシアは満点+αで合格証をもらった。簿記・会計コース2年生分まで終了。お疲れさまでした。
◇◇◇
〈ビジネス作法〉
公務員として生きるためには貴族様の対応が出来なければいけない。上の者におかしな対応をしてはいけないのは、どこの世界も一緒。礼儀・礼節は重要。これは、下の者であればあるほど身に着きやすく、高位の者には受け入れがたい授業。へつらえるかどうか。そこを鍛えられる授業が「ビジネス作法」の極意。
「いいか、おまえらは公僕を目指している者どもだ。コウボクとは、人々のためと言う意味ではない! 高貴な人の為に働く高僕が本当の意味だ! 上にへつらい下を誤魔化す。それが真の「公僕」だ! 特に法衣子爵を目指すものは心して覚えよ。君たちは貴族のための高貴な者の僕となれ!」
身も蓋もないがそれが現実。どこの世界もそんなもの。甘っちょろい理想は身を滅ぼす。絶望は早いうちがいい。それがグロリア学園の教育方針。
「はい、今嫌な顔したヤツ出て行っていいぞ。どうせ脱落していくんだ。面倒なことはお互いしたくないだろう」
教師はニヤっと笑うと、出口を指差した。
高位貴族らしい服を着た者たちが何人か出て行った。
「いいぞ、無駄な時間はお互い少ない方がいい。では最初の授業だ。お前と、お前と、おまえと……、ここへ並べ」
教師たちは、いかにも身分の低そうな、見た目の悪い男子を10人選んで前に並んでいるイスに座らせた。
「今から、この前に座っている生徒を、そうだな、王子だと思って挨拶をしてもらおう。ひざまずいて、最大限の忠誠を誓ってくれ。な~に、心などこもってなくていい。こもっている風にしてくれればいいんだ。簡単だろう」
「ふざけるな!」
どこからか声が上がった。そこから堰を切ったように罵声が上がった。教師は手を叩くと
「こんなこともできない奴は早く帰れ! 社会はもっと厳しいんだ!」
と怒鳴った。
「この中で一番つらいのは誰だとおもっているんだ! ここに座っている10人だ!」
見ると10人とも涙目である。知っていたけどここまで拒絶されると………………。
生徒たちは黙るしかなかった。
◇
シーンとした空気の中、制服姿のレイシアが中央のイスに座っている生徒の前に進み出た。その姿は慈愛に満ちた天使の様だった。
レイシアは、イスに座った男子に、丁寧に頭を下げ跪いた。そして、丁寧な挨拶を始めた。
「旦那、あっしはレイシアともうす半端者です。こっから先、お世話になることもあると思いますんで、一つよろしゅう頼んます。あ、これはほんのお近づきのしるしでございやす」
そう言って、銀貨を一枚差し出した。
レイシアはやり切った。 周りは凍った。 教師たちは白髪になりそうな程の衝撃を受けた。
◇
それからの授業は滞りなく行われた。あれよりはまし、という空気が流れた結果敷居が低くなったのだ。結果的にレイシアはいい仕事をしたのだが、評価は最低をもらうことになった。
その結果として、法衣貴族コースの者たちからは「やさぐれ勇者」という二つ名を与えられた。
【現在のレイシアの二つ名】
制服の悪魔のお嬢様(略称 制服の悪魔 悪魔のお嬢様)(市場)
黒魔女様 (メイド組女子生徒)
マジシャン (料理組男子生徒)
やさぐれ勇者(法衣貴族組生徒)
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