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第三章 テスト期間
29話 Aクラス(第三章 完)
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王子は独り、なかなか来ない教師を待っていた。
ありえない。始業の鐘がなってもう10分。同級生も侍女も護衛もいないたった一人の教室。
今まで体験したことのない状況に、王子は訳の分からない不安を感じていた。
そこへ、いつもの教師がやってきた。
「よ~し、じゃあ授業を始めましょうか。出席をとる……、必要もないわね」
教師はそんな、ギャグのつもりなのか真面目に思っただけなのか、区別のつかない言葉をした。
「先生、遅れてきてその態度はなんですか」
王子はイラついていたのか、とげとげしい言葉で教師を非難した。
「まあ、いいじゃないアルフレッド君。元々はあなたが、もう少しだけ点数を取っていてくれればこのクラス自体がなかったんだから」
教師の嫌味に腹を立てたのか、王子は言い返した。
「俺がいなくても、他の生徒が出来ていればこのクラスはあったはずです。結局は皆、俺より出来が悪かっただけじゃないですか」
教師は鼻で笑って言った。
「違うね。アルフレッド。君より成績のいい者はいました」
「えっ? まさか」
「しかも全問正解。さらに追加点まで入れてきた人がね」
「はぁ! 追加点?」
「そう、君は問題を解くので必死だったかもしれないですが、その人はその答えを出した上に問題を展開させてレポートをしあげていました。私も訳が分からないですが」
なんだそれは、と理解のできない王子。
「誰ですかそいつは」
「レイシア・ターナー。奨学生です」
「奨学生? 制服少女か!」
「ちなみに彼女に『Aクラスで王子と一緒に勉強したいですか?』と尋ねたら、速攻でお断りされたのよ。王子とお近づきになれたり、王妃教育を受けたりしてもてもいいと言ったんですが」
アルフレッド王子は愕然とした。あの制服少女が自分より頭がよくて、しかも自分と勉強する機会を速攻で断る? なんだそれは?
「まあ、上には上がいるという事ですね。私も君に付き合うのは面倒くさいので、今回出来ていなかった所、前期中に終わらせましょうね。後期からは座学免除を目指してください。私たちもね、王子である君が一番を取ってもらわないといろいろと困るの。だから、彼女の成績は秘密にされるでしょうね。せめてAクラスで一緒に学んでくれたらよかったのですが……。いろいろ誤魔化せられるから」
教師シャルドネは、そんな心にもない事を言った。王子を煽るために。
王子アルフレッドは、昨日までは『迷惑をかけた、謝って庇護しなければ』、と思っていた制服少女レイシアに対して、今はそんな気は無くし、勝手にライバル心を燃やしたのだった。
ありえない。始業の鐘がなってもう10分。同級生も侍女も護衛もいないたった一人の教室。
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王子はイラついていたのか、とげとげしい言葉で教師を非難した。
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「俺がいなくても、他の生徒が出来ていればこのクラスはあったはずです。結局は皆、俺より出来が悪かっただけじゃないですか」
教師は鼻で笑って言った。
「違うね。アルフレッド。君より成績のいい者はいました」
「えっ? まさか」
「しかも全問正解。さらに追加点まで入れてきた人がね」
「はぁ! 追加点?」
「そう、君は問題を解くので必死だったかもしれないですが、その人はその答えを出した上に問題を展開させてレポートをしあげていました。私も訳が分からないですが」
なんだそれは、と理解のできない王子。
「誰ですかそいつは」
「レイシア・ターナー。奨学生です」
「奨学生? 制服少女か!」
「ちなみに彼女に『Aクラスで王子と一緒に勉強したいですか?』と尋ねたら、速攻でお断りされたのよ。王子とお近づきになれたり、王妃教育を受けたりしてもてもいいと言ったんですが」
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「まあ、上には上がいるという事ですね。私も君に付き合うのは面倒くさいので、今回出来ていなかった所、前期中に終わらせましょうね。後期からは座学免除を目指してください。私たちもね、王子である君が一番を取ってもらわないといろいろと困るの。だから、彼女の成績は秘密にされるでしょうね。せめてAクラスで一緒に学んでくれたらよかったのですが……。いろいろ誤魔化せられるから」
教師シャルドネは、そんな心にもない事を言った。王子を煽るために。
王子アルフレッドは、昨日までは『迷惑をかけた、謝って庇護しなければ』、と思っていた制服少女レイシアに対して、今はそんな気は無くし、勝手にライバル心を燃やしたのだった。
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