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第三章 テスト期間
28話 学園長室
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「学園長、連れて来たわよ」
教師が雑に学園長室に入っていく。レイシアも失礼しますと後に続いて部屋に入った。
「ずいぶん遅いですね、シャルドネ先生。昼休みになったらすぐ連れてくるように言ったはずですが」
「まあ、いいじゃない。私も気になったから事前にお話ししていたのよ」
「はぁ、まったく。それで何か分かりましたか?」
「バリューの教え子」
「えっ! あいつ生きてたの」
「そうみたいね」
レイシアは何のことやら分からなかった。
「あの、神父様が何か?」
そういえばお祖父様から、孤児院と神父様のことはむやみに話さない様にと言われていたことを思い出したレイシア。不安そうなレイシアに向かって学園長が言った。
「ああ、そんな顔をしなくても大丈夫。君の先生のバリューは僕の同級生でね。ちなみにその時のゼミの先生がそこのシャルドネ先生さ」
「まあ、そういう事ね。あなたは私の孫弟子になるのかな? まあ、そんなところよ」
教師の名はシャルドネ。そういえば最初に名乗っていた覚えが……。
教会改革の閑話でもシャルドネゼミという名前が出ていた覚えが……。
分かるかっ! そんな気の長い伏線!!!
「レイシア君。君の成績だが、平均点でクラス分けをするのは理解しているよね。たとえば王子は89.2点でAクラスだったよ。本当は90点以上取ってもらって帝王学を学ばせようとしたんだが。まあ、一人なのでなんとでもなる」
「私の研究時間が……」
「先生、仕事はしてください。それより君だ。君の成績は平均で146点。なんだ、この解答は!」
そう言って、テスト用紙を見せた。本来何も書いていない裏面にびっしりと文字や図形、グラフまで書いてあった。
「なんか、楽しい問題だったのでつい……」
「「ついってなんだ!!」」
どこに行ってもツッコミが入るレイシアさん。シャルドネがさらにツッコむ。
「大体ね、このプリントは法衣貴族のために得意なもので勝負できるように選択制になっているのよ。農業、商業、事務、武芸、それぞれ必要なものが違うから。全部解かなくてもいいのに、なに全問正解しているのよ」
「えっ、領地経営って全部できないといけませんよね」
「はぁ~、バリューなに仕込んだのよ」
「まあ、そういう訳でレイシア君。君は座学を免除されます。どうします? よければ王子と一緒にAクラスで学んでもいいのですよ。そうすれば、王子とお近づきになれますし、なんなら一緒に帝王学を学んで王妃教育も出来ますが」
「いらないです!」
レイシアは速攻で答えた。なぜ面倒くさい貴族や王子と一緒にいなければいけないのか。
「私は卒業後領地に帰って平民になるんです。それより、座学の時間アルバイトしてもいいですか?」
レイシアは思い切って聞いてみた。学園長が答えた。
「あ、それは駄目です。学園の終了時刻、午後3時半までは学園から出ないでください。基本は図書館で自習してもらいます。もし使いたい施設やなにか知りたいことがあれば、相談してください。出来る限り便宜ははかります」
「はあ」
レイシアは何をすればいいのか良く分からなくなった。
「一年間、君がどれだけの事を学んだかでその次の事を考えます。期待していますよレイシア君。まずは夏休みの前までレポートを提出してください。よろしくお願いします」
学園長が言うと、シャルドネ先生も話した。
「あなたがあのバリューの弟子とはね。ま、期待しているわよ。もし一年でそれなりの成果をあげたら私のゼミにおいで。本当は3年生からしか入れないんだけど特例にしてね。それだけの成果を上げて見せてみなさい。何か思いついたら相談にきていいから。じゃあ、実技の相談をしましょうか」
レイシアは、期待されていることが分かり嬉しそうな顔をした。
「では、魔法を覚えたいのですが」
シャルドネは、困ったように言った。
「魔法か。魔法は騎士コースの実技を受けないと取れないわよ」
教師が雑に学園長室に入っていく。レイシアも失礼しますと後に続いて部屋に入った。
「ずいぶん遅いですね、シャルドネ先生。昼休みになったらすぐ連れてくるように言ったはずですが」
「まあ、いいじゃない。私も気になったから事前にお話ししていたのよ」
「はぁ、まったく。それで何か分かりましたか?」
「バリューの教え子」
「えっ! あいつ生きてたの」
「そうみたいね」
レイシアは何のことやら分からなかった。
「あの、神父様が何か?」
そういえばお祖父様から、孤児院と神父様のことはむやみに話さない様にと言われていたことを思い出したレイシア。不安そうなレイシアに向かって学園長が言った。
「ああ、そんな顔をしなくても大丈夫。君の先生のバリューは僕の同級生でね。ちなみにその時のゼミの先生がそこのシャルドネ先生さ」
「まあ、そういう事ね。あなたは私の孫弟子になるのかな? まあ、そんなところよ」
教師の名はシャルドネ。そういえば最初に名乗っていた覚えが……。
教会改革の閑話でもシャルドネゼミという名前が出ていた覚えが……。
分かるかっ! そんな気の長い伏線!!!
「レイシア君。君の成績だが、平均点でクラス分けをするのは理解しているよね。たとえば王子は89.2点でAクラスだったよ。本当は90点以上取ってもらって帝王学を学ばせようとしたんだが。まあ、一人なのでなんとでもなる」
「私の研究時間が……」
「先生、仕事はしてください。それより君だ。君の成績は平均で146点。なんだ、この解答は!」
そう言って、テスト用紙を見せた。本来何も書いていない裏面にびっしりと文字や図形、グラフまで書いてあった。
「なんか、楽しい問題だったのでつい……」
「「ついってなんだ!!」」
どこに行ってもツッコミが入るレイシアさん。シャルドネがさらにツッコむ。
「大体ね、このプリントは法衣貴族のために得意なもので勝負できるように選択制になっているのよ。農業、商業、事務、武芸、それぞれ必要なものが違うから。全部解かなくてもいいのに、なに全問正解しているのよ」
「えっ、領地経営って全部できないといけませんよね」
「はぁ~、バリューなに仕込んだのよ」
「まあ、そういう訳でレイシア君。君は座学を免除されます。どうします? よければ王子と一緒にAクラスで学んでもいいのですよ。そうすれば、王子とお近づきになれますし、なんなら一緒に帝王学を学んで王妃教育も出来ますが」
「いらないです!」
レイシアは速攻で答えた。なぜ面倒くさい貴族や王子と一緒にいなければいけないのか。
「私は卒業後領地に帰って平民になるんです。それより、座学の時間アルバイトしてもいいですか?」
レイシアは思い切って聞いてみた。学園長が答えた。
「あ、それは駄目です。学園の終了時刻、午後3時半までは学園から出ないでください。基本は図書館で自習してもらいます。もし使いたい施設やなにか知りたいことがあれば、相談してください。出来る限り便宜ははかります」
「はあ」
レイシアは何をすればいいのか良く分からなくなった。
「一年間、君がどれだけの事を学んだかでその次の事を考えます。期待していますよレイシア君。まずは夏休みの前までレポートを提出してください。よろしくお願いします」
学園長が言うと、シャルドネ先生も話した。
「あなたがあのバリューの弟子とはね。ま、期待しているわよ。もし一年でそれなりの成果をあげたら私のゼミにおいで。本当は3年生からしか入れないんだけど特例にしてね。それだけの成果を上げて見せてみなさい。何か思いついたら相談にきていいから。じゃあ、実技の相談をしましょうか」
レイシアは、期待されていることが分かり嬉しそうな顔をした。
「では、魔法を覚えたいのですが」
シャルドネは、困ったように言った。
「魔法か。魔法は騎士コースの実技を受けないと取れないわよ」
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