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第三章 テスト期間
27話 テストの結果
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レイシアは、授業開始の鐘がなるぎりぎりに教室に入る。友達もいないし会話に苦労するのが目に見えていたから。
一方で、王子は朝一番に教室に入っていた。できれば誰も来ないうちに制服少女に謝っておきたかったから。
まったく息の合わないふたりだった。
◇
「暫定Aクラスの皆様。テスト結果、及びクラス分けを発表する。残念だが今年はAクラスが一人いた。私が楽をしようと思ったのにな」
教師は身もふたもない事を言った。
「Aクラスは、アルフレッド王子一人だ。残念だが特例免除まで1点足りなかった。女子たち残念だったな。もう少し頑張れば王子と同じクラスメートになれたのにな」
教師がそう言うと、レイシア以外の女子たちがざわめいた。
「じゃあ次はBクラス。人数は28人。このAクラスからは5人だ。該当者は……」
教師はCクラスまで発表を終えた。
「D以下は可哀想だから、個別に教えるよ。ま、明日になれば分かるんだがね。名前を呼ばれた者はプリント取りにおいで」
教師は名前を呼び上げプリントを渡した。そこには該当クラスとこれからのカリキュラムなどが書いてあった。
最後にレイシアが呼ばれた。
「レイシア、あんたは昼休み私についておいで。その時教えるよ」
一人扱いが違う。その姿を見て、周りがザワつく。
「まあ、奨学生、よっぽど成績が悪かったみたいね」
「そうね。田舎者の貧乏人だし」
「きっとまともな教育受けられなかったのよ」
「退学かもね~」
「奨学生で頭悪かったらやばくない?」
「本当ね、男爵の私でもDクラスなのに」
「あなた。私に喧嘩売っているの⁉」
「ま~さ~か~」
そんな会話が繰り広げられていた。
午前中はこれでおしまい。これで暫定Aクラスは解散となった。
午後からは各教室に分かれての自己紹介から始まるオリエンテーション。それに向け、それぞれ移動を始めた。
「レイシアおいで」
レイシアは、薄汚い部屋に連れて行かれた。散らかりっぷりがひどい。
「あの、ここは?」
「私の研究室です。そこの椅子に座って」
レイシアはハンカチで椅子を拭いてから座った。
小さなテーブルを挟み、向い合せで座る教師。
「レイシア、あなたどこで勉強を習ったの?」
教室でのやる気のない態度とは全く別の、真剣な声で聞かれた。
「孤児院です」
レイシアは答えた。さっきの女生徒達の声を思い出し尋ねた。
「退学ですか?」
(せっかくバイト先も見つかったのに退学か。あっ、でも退学だったら家に帰れる! どうせ平民になるんだから早くてもいいよね。やった~! 店長、一人で頑張ってね!)レイシアは不埒なことを考えていた。
「まさか。どんなに出来が悪くても、貴族である限り通ってもらうわよ。もっともあなたはやりすぎただけ。それより孤児院ですって?」
「はい。みんな孤児院で習っていますが……」
なんで孤児院と言うとみんな驚くのだろう。レイシアはそのことに飽きてきたのか、面倒くさそうな顔をしていた。
「孤児院ねぇ。ちなみに神父は誰?」
「神父様ですか? バリュー神父様ですが」
「バリュー? バリュー……、ヤツか!」
教師は何かを思い出したかのように、一人で納得した。
「バリュー、就職を諦めて神父になんぞなったはずだが……何やっているんだ」
レイシアは教師が神父様を知っているような態度をしたので、聞いてみた。
「バリュー神父様とお知り合いなのですか?」
「ああ、よく知っているわよ。そうか、あいつの教え子か。ははっ、えらい教え子作りやがって……」
教師は、一人納得して席を立った。
「さ、行くわよ」
「どちらにですか?」
「学園長のところ」
レイシアは、話の流れが分からずに、とにかく付いていくしかなかった。
一方で、王子は朝一番に教室に入っていた。できれば誰も来ないうちに制服少女に謝っておきたかったから。
まったく息の合わないふたりだった。
◇
「暫定Aクラスの皆様。テスト結果、及びクラス分けを発表する。残念だが今年はAクラスが一人いた。私が楽をしようと思ったのにな」
教師は身もふたもない事を言った。
「Aクラスは、アルフレッド王子一人だ。残念だが特例免除まで1点足りなかった。女子たち残念だったな。もう少し頑張れば王子と同じクラスメートになれたのにな」
教師がそう言うと、レイシア以外の女子たちがざわめいた。
「じゃあ次はBクラス。人数は28人。このAクラスからは5人だ。該当者は……」
教師はCクラスまで発表を終えた。
「D以下は可哀想だから、個別に教えるよ。ま、明日になれば分かるんだがね。名前を呼ばれた者はプリント取りにおいで」
教師は名前を呼び上げプリントを渡した。そこには該当クラスとこれからのカリキュラムなどが書いてあった。
最後にレイシアが呼ばれた。
「レイシア、あんたは昼休み私についておいで。その時教えるよ」
一人扱いが違う。その姿を見て、周りがザワつく。
「まあ、奨学生、よっぽど成績が悪かったみたいね」
「そうね。田舎者の貧乏人だし」
「きっとまともな教育受けられなかったのよ」
「退学かもね~」
「奨学生で頭悪かったらやばくない?」
「本当ね、男爵の私でもDクラスなのに」
「あなた。私に喧嘩売っているの⁉」
「ま~さ~か~」
そんな会話が繰り広げられていた。
午前中はこれでおしまい。これで暫定Aクラスは解散となった。
午後からは各教室に分かれての自己紹介から始まるオリエンテーション。それに向け、それぞれ移動を始めた。
「レイシアおいで」
レイシアは、薄汚い部屋に連れて行かれた。散らかりっぷりがひどい。
「あの、ここは?」
「私の研究室です。そこの椅子に座って」
レイシアはハンカチで椅子を拭いてから座った。
小さなテーブルを挟み、向い合せで座る教師。
「レイシア、あなたどこで勉強を習ったの?」
教室でのやる気のない態度とは全く別の、真剣な声で聞かれた。
「孤児院です」
レイシアは答えた。さっきの女生徒達の声を思い出し尋ねた。
「退学ですか?」
(せっかくバイト先も見つかったのに退学か。あっ、でも退学だったら家に帰れる! どうせ平民になるんだから早くてもいいよね。やった~! 店長、一人で頑張ってね!)レイシアは不埒なことを考えていた。
「まさか。どんなに出来が悪くても、貴族である限り通ってもらうわよ。もっともあなたはやりすぎただけ。それより孤児院ですって?」
「はい。みんな孤児院で習っていますが……」
なんで孤児院と言うとみんな驚くのだろう。レイシアはそのことに飽きてきたのか、面倒くさそうな顔をしていた。
「孤児院ねぇ。ちなみに神父は誰?」
「神父様ですか? バリュー神父様ですが」
「バリュー? バリュー……、ヤツか!」
教師は何かを思い出したかのように、一人で納得した。
「バリュー、就職を諦めて神父になんぞなったはずだが……何やっているんだ」
レイシアは教師が神父様を知っているような態度をしたので、聞いてみた。
「バリュー神父様とお知り合いなのですか?」
「ああ、よく知っているわよ。そうか、あいつの教え子か。ははっ、えらい教え子作りやがって……」
教師は、一人納得して席を立った。
「さ、行くわよ」
「どちらにですか?」
「学園長のところ」
レイシアは、話の流れが分からずに、とにかく付いていくしかなかった。
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