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第二章 入学式
15話 入学式の夜(第二章 完)
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レイシアにお茶を入れさせ、お茶の時間が始まった。
「お茶は上手な人が入れると味が変わると聞いてたが……、こんなにも変わるもんだねえ」
「ホントうまい! こんなうまいんだ、紅茶って」
二人に誉められてレイシアは嬉しかった。
「紅茶の入れ方は、メイド修行で 鍛えましたから」
そう言うと、カンナが真面目な顔になった。
「それだよ。あんた一体何者なんだい。奨学金貰うほど落ちぶれた子爵令嬢かと思ったら、裕福なオヤマーの前領主の孫? かと思うとメイドの修行や料理の修行をして、孤児院で掃除を習う……。訳がわかんないよ、あたしにゃね」
「なんだいそれ! ラノベのヒロインだってそんな滅茶苦茶な設定ないよ!」
イリアは不思議がった。そういえばイリアはすれ違ってばかりだったので、レイシアの生い立ち話やあちこちでのやらかしは知らなかった。ちょっと料理の得意な変わった子くらいにしか思っていなかった。
「おかしいですか? 日常でしたのですが」
レイシアはそう言うと、5歳の誕生日のことから、洗礼式で孤児院の子と仲良くなったこと、勉強をするようになったこと、弟の出産のため母と別れていたこと、災害で母がなくなったこと、オヤマーで祖母とうまくいかなかったこと、借金で領地がひへいしていること、一つ一つをていねいに話した。
「あんた、苦労してきたんだねえ」
カンナが涙をこらえながら言うと、
「すげー、ラノベ3冊分は書けそう」
とイリアが興味津々で言う。
同じ話を聞いても感想は人それぞれ。
それがイリアスタイル!
それが作家の性!
こうして、レイシアは、今までの生き様を話し、本当の意味で二人に受け入れてもらえることが出来たのでした。
◇◇王子視点◇◇
「王子、早く着替えてください」
「なぜだ? 学園行事で制服を着るのは普通だと思うのだが」
「入学パーティーで制服は普通ではありません!」
「んっ? 学園行事だろ」
「制服でダンス踊るんですか!」
「問題あるまい」
「問題だらけです!!」
まったく、融通が利かない。こいつ若いのに頭の中は老害ジジイなのか?
「じゃ、帰るか」
「だめです!!! 出席してください」
「おかしくないか? 俺は制服で出ると言っているんだ。出ないとは言っていない。着替えず出るか、着替えて帰るかだ。二者択一。分かりやすいだろ」
「おかしいのは王子の頭です」
「失礼な。なら二者択一で言ってくれ。どちらかを選ぼう」
「いいんですか! じゃあ、『着替えないでパーティーに出る』か『着替えて……』あれ? 『着替えないで……』おかしい」
「着替えないで……。なんだね」
「『着替えずにパーティーに出る』これはよし。『着替えて……』ダメだ。どうしても王子の都合のいい条件になってしまう」
「分かったかい? 二者択一の二択の答えは『着替えずに出る』か、『着替えて帰る』かだ。どっちにしろおれは、二択目の帰る方を選ぼう」
「くっ……。仕方ありません。出席だけはしてください」
宰相の息子チャーリーはあきらめて出て行った。どこかに報告に行くのだろう。
それにしても本当に頭わるいな。二者択一で選ぶと言ったんだ。『タキシードで出席』『燕尾服で出席』の選択肢だったら着替えたのに。
◇
結局、教師の指導で着替えざるを得なくなった。どいつもこいつも頭がかたい。
「なあ」
「なんですか?」
「あの子来るかな」
「おっ? 気になる子が? やっとその気に?」
「いや、あの制服女子」
「来るわけないじゃないてすか!」
「なぜ?」
「王子、あんた何したか分かってないんですか? あの後、あの子周りの女子から睨まれて、勢いよく大逃走劇繰り広げていたんですよ! かわいそうに」
「そんなことが……。見たかったな」
「人でなしですか!」
そうか、来ないか。来たら楽しくなりそうな気がした俺の期待は……。
そしてまた、つまらないパーティーが始まる。
「お茶は上手な人が入れると味が変わると聞いてたが……、こんなにも変わるもんだねえ」
「ホントうまい! こんなうまいんだ、紅茶って」
二人に誉められてレイシアは嬉しかった。
「紅茶の入れ方は、メイド修行で 鍛えましたから」
そう言うと、カンナが真面目な顔になった。
「それだよ。あんた一体何者なんだい。奨学金貰うほど落ちぶれた子爵令嬢かと思ったら、裕福なオヤマーの前領主の孫? かと思うとメイドの修行や料理の修行をして、孤児院で掃除を習う……。訳がわかんないよ、あたしにゃね」
「なんだいそれ! ラノベのヒロインだってそんな滅茶苦茶な設定ないよ!」
イリアは不思議がった。そういえばイリアはすれ違ってばかりだったので、レイシアの生い立ち話やあちこちでのやらかしは知らなかった。ちょっと料理の得意な変わった子くらいにしか思っていなかった。
「おかしいですか? 日常でしたのですが」
レイシアはそう言うと、5歳の誕生日のことから、洗礼式で孤児院の子と仲良くなったこと、勉強をするようになったこと、弟の出産のため母と別れていたこと、災害で母がなくなったこと、オヤマーで祖母とうまくいかなかったこと、借金で領地がひへいしていること、一つ一つをていねいに話した。
「あんた、苦労してきたんだねえ」
カンナが涙をこらえながら言うと、
「すげー、ラノベ3冊分は書けそう」
とイリアが興味津々で言う。
同じ話を聞いても感想は人それぞれ。
それがイリアスタイル!
それが作家の性!
こうして、レイシアは、今までの生き様を話し、本当の意味で二人に受け入れてもらえることが出来たのでした。
◇◇王子視点◇◇
「王子、早く着替えてください」
「なぜだ? 学園行事で制服を着るのは普通だと思うのだが」
「入学パーティーで制服は普通ではありません!」
「んっ? 学園行事だろ」
「制服でダンス踊るんですか!」
「問題あるまい」
「問題だらけです!!」
まったく、融通が利かない。こいつ若いのに頭の中は老害ジジイなのか?
「じゃ、帰るか」
「だめです!!! 出席してください」
「おかしくないか? 俺は制服で出ると言っているんだ。出ないとは言っていない。着替えず出るか、着替えて帰るかだ。二者択一。分かりやすいだろ」
「おかしいのは王子の頭です」
「失礼な。なら二者択一で言ってくれ。どちらかを選ぼう」
「いいんですか! じゃあ、『着替えないでパーティーに出る』か『着替えて……』あれ? 『着替えないで……』おかしい」
「着替えないで……。なんだね」
「『着替えずにパーティーに出る』これはよし。『着替えて……』ダメだ。どうしても王子の都合のいい条件になってしまう」
「分かったかい? 二者択一の二択の答えは『着替えずに出る』か、『着替えて帰る』かだ。どっちにしろおれは、二択目の帰る方を選ぼう」
「くっ……。仕方ありません。出席だけはしてください」
宰相の息子チャーリーはあきらめて出て行った。どこかに報告に行くのだろう。
それにしても本当に頭わるいな。二者択一で選ぶと言ったんだ。『タキシードで出席』『燕尾服で出席』の選択肢だったら着替えたのに。
◇
結局、教師の指導で着替えざるを得なくなった。どいつもこいつも頭がかたい。
「なあ」
「なんですか?」
「あの子来るかな」
「おっ? 気になる子が? やっとその気に?」
「いや、あの制服女子」
「来るわけないじゃないてすか!」
「なぜ?」
「王子、あんた何したか分かってないんですか? あの後、あの子周りの女子から睨まれて、勢いよく大逃走劇繰り広げていたんですよ! かわいそうに」
「そんなことが……。見たかったな」
「人でなしですか!」
そうか、来ないか。来たら楽しくなりそうな気がした俺の期待は……。
そしてまた、つまらないパーティーが始まる。
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