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第四章 オヤマー領 レイシア11歳
47話 閑話 神々の戯れ
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「ヘルメスのおっさんのやらかしと、嬢ちゃんに……カンパーイ」
儂はバッカスの奴に呼び出され、一緒に酒を飲む羽目になった。
「それにしても最高だったな。あの教会でのやらかしは」
「ふん、お前が聖詠を口ずさんだ少女がいたと言うから、気になって調べていたのではないか。お前がきちんと覚えていさえすれば、あんなことはせんかった」
「そうかい? おっさんだったら結局やらかしたと思うがな」
「おっさん言うな」
儂はグラスの酒をグビッと飲み干した。確かにあの聖詠を聞いたら、やっていたかもしれんな。
「ほら、つまみだ。あの娘が開発した米玉。どうやら差別化するために『にぎり飯』という名にするそうじゃ。お前の所には酒しか上がらんのじゃろ。食うてみ」
「おっこれか! おっさん、気が利くな。…………んっ! 何だこれは!!! うまい! うまいぞ~~~~!!!」
案の定、にぎり飯のうまさに我を忘れよった。
「じゃろう。おかげであの騒ぎじゃ。仕方なかろう」
「こいつは……俺もあの嬢ちゃんに祝福やるうかな。聖詠は唱える。うまい飯は作る。最高じゃねえか。なあ、おっさんよ」
「だから、おっさん言うな」
楽しいのう。今日はいい酒がのめそうじゃ。
「あんたらね~! うちの子に手、出さないでくれる~!」
なぜか、呼んでもいないのにアクアが来た。勝手にグラスを取ると、ボトルから銘酒をドボドボ注ぎ、一気に呷ってから言った。
「く~~~、はあ、効くねぇ。……あんたらね、教会でうちの子に祝福ぶっかけたんだって! やめてよね、そういうの!」
と言うと、また酒を注いだ。
「うちの子とは?」
「レイシアよ、レイシア。あたしが育てたんだからさ。勘弁してよ。取らないで!」
「お前が育てたわけじゃないだろ! 単に領地にいただけなんだろ!」
バッカスが言うと、アクアはまた酒を飲み干し、突っかかって来た。
「あの子は私が育てたの! 毎日教会で掃除とお祈り欠かさないのよ。だから来るたび、ちょっとずつ、ばれないように祝福かけ続けていたのよ。だから、私が育てたのも同然よ!」
なんと! そんなことをしていたのか! 毎日祝福とは!
「なんだって! ヘルメスのおっさんの祝福とアクアのねーさんが毎日祝福? ずっるいなぁ。俺も祝福してやろう!」
「「やめろ~!!」」
「なんでだよ。ずっこいな。仲間外れかよ。俺も気にいってんだぜ、あの嬢ちゃん。……えいっ!」
「あぁぁぁぁぁぁ~~~」
バッカスが勝手に祝福を飛ばすと、アクアが叫んだ。
「私の水の加護が……」
「儂のは風だな」
「俺のは火だ。燃えるようなスピリッツは火に例えられるからな」
「火! 水と相性悪すぎじゃない! こうなったら、エイッ」
「「何をした⁉」」
「私の持つ補助の祝福、光の祝福を与えたわ! 光は癒やし。水は命を癒やすものよ」
「2つもか! なら俺も! えいっ! 酒は闇を好む、眠りと毒の祝福を」
「やめて~ また打ち消し合うじゃないの!!!」
楽しいのう。では儂もやるか。えいっ!
「おっさんまで。何を送った?」
「おお、儂は土。風は海、土は陸じゃ」
「おっさんの自分で打ち消しあってるじゃん!」
「忘れておった。はっはっはっ」
おかしいのう。楽しいのう。一晩中3人で騒いだ。
翌朝、冷静になった我々は、「やっちまった」と、青ざめることとなるのだが、それはまた別のお話。
儂はバッカスの奴に呼び出され、一緒に酒を飲む羽目になった。
「それにしても最高だったな。あの教会でのやらかしは」
「ふん、お前が聖詠を口ずさんだ少女がいたと言うから、気になって調べていたのではないか。お前がきちんと覚えていさえすれば、あんなことはせんかった」
「そうかい? おっさんだったら結局やらかしたと思うがな」
「おっさん言うな」
儂はグラスの酒をグビッと飲み干した。確かにあの聖詠を聞いたら、やっていたかもしれんな。
「ほら、つまみだ。あの娘が開発した米玉。どうやら差別化するために『にぎり飯』という名にするそうじゃ。お前の所には酒しか上がらんのじゃろ。食うてみ」
「おっこれか! おっさん、気が利くな。…………んっ! 何だこれは!!! うまい! うまいぞ~~~~!!!」
案の定、にぎり飯のうまさに我を忘れよった。
「じゃろう。おかげであの騒ぎじゃ。仕方なかろう」
「こいつは……俺もあの嬢ちゃんに祝福やるうかな。聖詠は唱える。うまい飯は作る。最高じゃねえか。なあ、おっさんよ」
「だから、おっさん言うな」
楽しいのう。今日はいい酒がのめそうじゃ。
「あんたらね~! うちの子に手、出さないでくれる~!」
なぜか、呼んでもいないのにアクアが来た。勝手にグラスを取ると、ボトルから銘酒をドボドボ注ぎ、一気に呷ってから言った。
「く~~~、はあ、効くねぇ。……あんたらね、教会でうちの子に祝福ぶっかけたんだって! やめてよね、そういうの!」
と言うと、また酒を注いだ。
「うちの子とは?」
「レイシアよ、レイシア。あたしが育てたんだからさ。勘弁してよ。取らないで!」
「お前が育てたわけじゃないだろ! 単に領地にいただけなんだろ!」
バッカスが言うと、アクアはまた酒を飲み干し、突っかかって来た。
「あの子は私が育てたの! 毎日教会で掃除とお祈り欠かさないのよ。だから来るたび、ちょっとずつ、ばれないように祝福かけ続けていたのよ。だから、私が育てたのも同然よ!」
なんと! そんなことをしていたのか! 毎日祝福とは!
「なんだって! ヘルメスのおっさんの祝福とアクアのねーさんが毎日祝福? ずっるいなぁ。俺も祝福してやろう!」
「「やめろ~!!」」
「なんでだよ。ずっこいな。仲間外れかよ。俺も気にいってんだぜ、あの嬢ちゃん。……えいっ!」
「あぁぁぁぁぁぁ~~~」
バッカスが勝手に祝福を飛ばすと、アクアが叫んだ。
「私の水の加護が……」
「儂のは風だな」
「俺のは火だ。燃えるようなスピリッツは火に例えられるからな」
「火! 水と相性悪すぎじゃない! こうなったら、エイッ」
「「何をした⁉」」
「私の持つ補助の祝福、光の祝福を与えたわ! 光は癒やし。水は命を癒やすものよ」
「2つもか! なら俺も! えいっ! 酒は闇を好む、眠りと毒の祝福を」
「やめて~ また打ち消し合うじゃないの!!!」
楽しいのう。では儂もやるか。えいっ!
「おっさんまで。何を送った?」
「おお、儂は土。風は海、土は陸じゃ」
「おっさんの自分で打ち消しあってるじゃん!」
「忘れておった。はっはっはっ」
おかしいのう。楽しいのう。一晩中3人で騒いだ。
翌朝、冷静になった我々は、「やっちまった」と、青ざめることとなるのだが、それはまた別のお話。
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