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第四章 オヤマー領 レイシア11歳
35話 金銭感覚
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翌日、お祖母様に連れられて、レイシアは王都に買い物に出かけた。馬車に乗り30分。すぐに着いた。
「まずは靴ね。その靴はいただけないわ」
お祖母様はそう言うと、馬車は高級なお店が並んでいる通りに向かった。
レイシアが履いている靴は、ターナー領から履いてきた靴。ドレスはお母様の着ていた物を身に着けていたが、靴だけは上手く入らなかった。
「いらっしゃいませ。まあ、ナルシア様。いつもありがとうございます。こちらのお嬢様は?」
「私の孫なのよ」
「もしかしてアリシア様の? まあ、本当にアリシア様の小さい頃にそっくり」
「そうなのよ。この子に合う靴を見繕ってくれるかしら。普段用とパーティー用にいくつか」
「ええ、喜んで」
初老の店主は、レイシアに挨拶をしてから、店の奥に二人を案内した。職人がレイシアの足を測る。
「これは……流行りの靴ではお嬢様には辛いかもしれませんね」
「どういう事かしら?」
「こちらの今まで履いていた靴。つま先が丸くなっております。労働者階級のデザインですね。動きやすく働くのに最適です。そしてこちらが貴族女性に人気のあるヒールですね。先が細くスタイリッシュでエレガントなデザイン。ですが、この靴は小さい頃から履きなれていないと、足に大変な負担をかけてしまいます」
要は、レイシアの足は健康的な働き者の足。貴族女性は、小さい頃から先の細い靴を履いているので、外反母趾・内反小趾になっているのだ。それがこの貴族社会では、女性の目指す良い足とされているのだ。
「今から足を作るには、段階を踏んで矯正しないといけませんね。かなり苦痛を伴いますが」
「そうなの? レイシアはどう思う?」
「貴族の足ですか? よくわかりませんが……。貴族の足になったら働くのには問題ありませんか?」
「貴族女性は働きませんよ。ダンスするのは問題ないです。激しい動きはそれくらいですね」
「働ける足がいいです」
お祖母様が口をはさむ。
「駄目よレイシア。今のうちに足を矯正しないと。あなたは貴族なのですから」
そう言うと、レイシアを放っといて職人さんと話しだした。いろいろ言いたそうなレイシアに、店主は応接室に移動させてお茶を出した。
「ありがとうございます」
「どういたしまして。私はケイトと申します。この店の店主よ。お名前伺ってもいいかしら」
「はい。レイシアです。レイシア・ターナー」
「レイシア様ね。ナルシア様、ああなると人の話を聞かなくなるから。少しお話ししましょ」
「はい。ケイトさん。お母様の事知っているんですか?」
「ええ。アリシア様はよく靴を見にお友達と店へ来ていました。お洒落好きな方でしたわ」
「そうなのですか」
「ええ。懐かしいわ。ところでレイシア様、貴族女性としての生活に興味はないのでしょうか? 働きたいと申しておりましたが」
レイシアは考えてみた。貴族女性の生活?
「私は、都会の貴族女性の生活がよく分かっていないみたいです。ターナー領は王国の外れにある田舎なので生活が違うみたいです」
「そうなの」
「貴族社会を学ぶようにとお祖母様の所に来ましたが、まだまだ分かっていません」
「そう」
「昨日着いたばかりですので」
「そうだったの。ではナルシア様に習うといいわ。良いお祖母様を持って幸せね」
「はい」
二人でお茶を飲みながらお話した。貴族の事。お母様の事。お祖母様の事。そうしているうちにお祖母様が職人との話を終えて入ってきた。レイシアは店主にお礼を言うと、店主は「またいらして下さい」と微笑んだ。
◇
お祖母様とランチを食べた。高級なお店で……。個室に入ると料理が運ばれてくる。店のオーナーがお客様のお皿からすこしずつ料理を毒見した。貴族の皿に毒が入っていないことを、オーナー自らが行うことで証明するのだ。少し時間を置いてから、食事が始まった。
「他の人は?」
レイシアはメイドや従者が食事出来ないのでは、と心配していた。
「代わる代わる別室で食事しているわ」
「そうですか。心配しました」
「優しいのね。レイシアちゃんは」
レイシアは冷めてぬるくなったスープを飲みながら、ターナー家の暖かな食事風景を思い出していた。
◇
次は仕立屋。やはり馴染みなのかお祖母様は店主と挨拶を交わしている。
仕立屋では、あれこれサイズを測られた。脂肪がほとんどついていない冒険者のようなウエストに驚かれる。貧乏ゆえ、野菜と獲ってきた肉中心のささやかな食事に、メイド修行、料理人修行(狩り採取含む)などの日常生活。もはやレイシアの肉体はアスリートのようになっていた。
◇
最後に宝飾店に行った。レイシアは、お祖母様のお金の使い方に驚愕していた。靴とドレスだけでも、ターナー家の1年分からの食費以上使っているのではないか。
「あら、たいしたことはないわよ。遠慮しないで」
無理! 宝石の値段が! 無理です! 心の声は通じない。
「そんな安物の髪飾りなんかしていちゃダメよ。ほら、外して」
お祖母様は黒猫の髪飾りを取ろうとした。
「これはダメ。大切なものなの」
サチどの友情の証の髪飾り。レイシアが初めて自分で選んだ髪飾り。
「ダメよ、レイシアちゃん。ドレス、靴、宝石、身につけるものは立場に合ったものにしないと。品格を大事にしないと、貴族としては失格ですよ」
お祖母様の言うことは、貴族として当たり前のこと。身分に合わないものは貴族社会では見苦しい。
「でもこれは……」
「外しなさい。持っていてもいいから。ここは王都。そして私はオヤマー夫人。今の貴方の立場はターナーの貧乏貴族の娘ではなく、オヤマー家の孫なの。オヤマー家に属する者として、立ち振る舞いをしてちょうだい」
「オヤマー家の孫として?」
「そう。貴方にお金をかけているのは私達のためなの。貴方がオヤマー家からみて格の合わない服や宝飾店を身に着けていたら、私達が貴方をいじめている事になるのよ。だからお願い。きちんとしたものを身に着けさせて頂戴。私達からすれば、大した金額じゃないのよ」
レイシアには、お祖母様が言っている意味が分からない。仕方がないのでお祖母様に任せることにした。自分では、考えられない金額の大きさに、いろんなことが麻痺してきた。
黒猫の髪飾りは、丁寧に包んでもらって持って帰った。それだけが心の拠り所だった。
レイシアは、なにかもやもやした感情を持て余していた。
「まずは靴ね。その靴はいただけないわ」
お祖母様はそう言うと、馬車は高級なお店が並んでいる通りに向かった。
レイシアが履いている靴は、ターナー領から履いてきた靴。ドレスはお母様の着ていた物を身に着けていたが、靴だけは上手く入らなかった。
「いらっしゃいませ。まあ、ナルシア様。いつもありがとうございます。こちらのお嬢様は?」
「私の孫なのよ」
「もしかしてアリシア様の? まあ、本当にアリシア様の小さい頃にそっくり」
「そうなのよ。この子に合う靴を見繕ってくれるかしら。普段用とパーティー用にいくつか」
「ええ、喜んで」
初老の店主は、レイシアに挨拶をしてから、店の奥に二人を案内した。職人がレイシアの足を測る。
「これは……流行りの靴ではお嬢様には辛いかもしれませんね」
「どういう事かしら?」
「こちらの今まで履いていた靴。つま先が丸くなっております。労働者階級のデザインですね。動きやすく働くのに最適です。そしてこちらが貴族女性に人気のあるヒールですね。先が細くスタイリッシュでエレガントなデザイン。ですが、この靴は小さい頃から履きなれていないと、足に大変な負担をかけてしまいます」
要は、レイシアの足は健康的な働き者の足。貴族女性は、小さい頃から先の細い靴を履いているので、外反母趾・内反小趾になっているのだ。それがこの貴族社会では、女性の目指す良い足とされているのだ。
「今から足を作るには、段階を踏んで矯正しないといけませんね。かなり苦痛を伴いますが」
「そうなの? レイシアはどう思う?」
「貴族の足ですか? よくわかりませんが……。貴族の足になったら働くのには問題ありませんか?」
「貴族女性は働きませんよ。ダンスするのは問題ないです。激しい動きはそれくらいですね」
「働ける足がいいです」
お祖母様が口をはさむ。
「駄目よレイシア。今のうちに足を矯正しないと。あなたは貴族なのですから」
そう言うと、レイシアを放っといて職人さんと話しだした。いろいろ言いたそうなレイシアに、店主は応接室に移動させてお茶を出した。
「ありがとうございます」
「どういたしまして。私はケイトと申します。この店の店主よ。お名前伺ってもいいかしら」
「はい。レイシアです。レイシア・ターナー」
「レイシア様ね。ナルシア様、ああなると人の話を聞かなくなるから。少しお話ししましょ」
「はい。ケイトさん。お母様の事知っているんですか?」
「ええ。アリシア様はよく靴を見にお友達と店へ来ていました。お洒落好きな方でしたわ」
「そうなのですか」
「ええ。懐かしいわ。ところでレイシア様、貴族女性としての生活に興味はないのでしょうか? 働きたいと申しておりましたが」
レイシアは考えてみた。貴族女性の生活?
「私は、都会の貴族女性の生活がよく分かっていないみたいです。ターナー領は王国の外れにある田舎なので生活が違うみたいです」
「そうなの」
「貴族社会を学ぶようにとお祖母様の所に来ましたが、まだまだ分かっていません」
「そう」
「昨日着いたばかりですので」
「そうだったの。ではナルシア様に習うといいわ。良いお祖母様を持って幸せね」
「はい」
二人でお茶を飲みながらお話した。貴族の事。お母様の事。お祖母様の事。そうしているうちにお祖母様が職人との話を終えて入ってきた。レイシアは店主にお礼を言うと、店主は「またいらして下さい」と微笑んだ。
◇
お祖母様とランチを食べた。高級なお店で……。個室に入ると料理が運ばれてくる。店のオーナーがお客様のお皿からすこしずつ料理を毒見した。貴族の皿に毒が入っていないことを、オーナー自らが行うことで証明するのだ。少し時間を置いてから、食事が始まった。
「他の人は?」
レイシアはメイドや従者が食事出来ないのでは、と心配していた。
「代わる代わる別室で食事しているわ」
「そうですか。心配しました」
「優しいのね。レイシアちゃんは」
レイシアは冷めてぬるくなったスープを飲みながら、ターナー家の暖かな食事風景を思い出していた。
◇
次は仕立屋。やはり馴染みなのかお祖母様は店主と挨拶を交わしている。
仕立屋では、あれこれサイズを測られた。脂肪がほとんどついていない冒険者のようなウエストに驚かれる。貧乏ゆえ、野菜と獲ってきた肉中心のささやかな食事に、メイド修行、料理人修行(狩り採取含む)などの日常生活。もはやレイシアの肉体はアスリートのようになっていた。
◇
最後に宝飾店に行った。レイシアは、お祖母様のお金の使い方に驚愕していた。靴とドレスだけでも、ターナー家の1年分からの食費以上使っているのではないか。
「あら、たいしたことはないわよ。遠慮しないで」
無理! 宝石の値段が! 無理です! 心の声は通じない。
「そんな安物の髪飾りなんかしていちゃダメよ。ほら、外して」
お祖母様は黒猫の髪飾りを取ろうとした。
「これはダメ。大切なものなの」
サチどの友情の証の髪飾り。レイシアが初めて自分で選んだ髪飾り。
「ダメよ、レイシアちゃん。ドレス、靴、宝石、身につけるものは立場に合ったものにしないと。品格を大事にしないと、貴族としては失格ですよ」
お祖母様の言うことは、貴族として当たり前のこと。身分に合わないものは貴族社会では見苦しい。
「でもこれは……」
「外しなさい。持っていてもいいから。ここは王都。そして私はオヤマー夫人。今の貴方の立場はターナーの貧乏貴族の娘ではなく、オヤマー家の孫なの。オヤマー家に属する者として、立ち振る舞いをしてちょうだい」
「オヤマー家の孫として?」
「そう。貴方にお金をかけているのは私達のためなの。貴方がオヤマー家からみて格の合わない服や宝飾店を身に着けていたら、私達が貴方をいじめている事になるのよ。だからお願い。きちんとしたものを身に着けさせて頂戴。私達からすれば、大した金額じゃないのよ」
レイシアには、お祖母様が言っている意味が分からない。仕方がないのでお祖母様に任せることにした。自分では、考えられない金額の大きさに、いろんなことが麻痺してきた。
黒猫の髪飾りは、丁寧に包んでもらって持って帰った。それだけが心の拠り所だった。
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