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第二章 お母様と弟 レイシア6歳

22話 一緒に帰ろう (第二章完)

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 夜、レイシアは弟のクリシュに、お祖父様から買ってもらったばかりの絵本を読み聞かせした。立ち直った祖父母も母も一緒に聞いていた。

「黒猫のミーヤは、もう一人ぼっちではありません。これからは、みんなと一緒にお散歩することになるでしょう。おしまい」

 クリシュは黒猫のぬいぐるみを抱えながら、絵本とぬいぐるみを見比べて「にゃー、すき」といった。

 (かわいい。うちの子、ホントに天使)

 悶えるレイシア。
 絵本の読み聞かせを聞いていた祖父母は、

 (何このクオリティーの高さは。女優にでもなる気なの)

 と、なんとも言えない目でレイシアを見ていた。

 ◇ ◇ ◇

 翌日はよく晴れた日だった。

 朝ごはんを皆で食べながら、アリシアは祖父母の、引き留め工作を受けていた。

「まだいいじゃない。レイシアちゃんにお洋服買って上げたいのよ。昨日はかわいいものが買えなかったし、ね」
「そうだぞアリシア、あんな男の………」

「お父様!(子供の前で悪口は言わない約束)」

「あ、ああ。母さんもそう言っているんだ。もう1日……」

「いつまでも甘える訳にはいきません」

「いつまでも甘えていいのよ~。ねぇレイシアちゃん。おばあちゃんと一緒にお買い物行きましょう」

 レイシアはキッパリと言った。

「もう帰ります。これ以上

 天を仰ぐアリシア。

「「あの男……」」

 思わず声に出てしまう祖父母。
 何も気にしていないレイシア。

「ごちそうさまでした。私紅茶はいらないです。先にクリシュの所に行ってますね。お祖父様もお祖母様もお母様も、ゆっくりお話していて下さいね」

 今は弟にしか関心のないレイシア。
 アリシアは(悪魔か……レイシア……何してくれんの)と額に手を押し付けながら思った。

「ではアリシア。

 引きつった笑顔の実母を見ながら、死刑宣告を受けた囚人のような気持ちになったアリシアだった。

 ◇

 よく晴れた空の下、お祖父様 お祖母様に見送られ、レイシアとクリシュ、なぜか疲れた顔のアリシアは従者と共にお家へ帰った。
 馬車の中では、クリシュがアリシアの膝に抱えられ、レイシアはクリシュにいろいろと話かけながら、ゆっくりとした時間を過ごしていた。
 アリシアは、「温泉によってから帰りたい」と言ったがレイシアが「早く帰ろう」と大反対。結局クリシュがいるため温泉は認められず、真っ直ぐお家へ帰る事となった。

 ◇

 門の前では、お父様を始め、たくさんの人がレイシア達を出迎えてくれていた。

「レイシアみたいに凄い出迎えは出来ないが、ごちそうは用意しているよ。さあ、うちへ入ろう」

 お父様が気を利かせて用意したお出迎えは、アリシアとレイシアをいたく感動させた。

 (お父様も成長している)

 レイシアはそう思い、嬉しくなった。

「さあ、ここが私達のお家よ。ようこそクリシュ。これからいっぱいお姉さまと遊んだり勉強したりするからね。お父様とお母様も一緒にね。クリシュ、入ろう」

 レイシアとアリシアは、クリシュの手を片方ずつ繋いで、出迎えの人々の心からの拍手の中、家の中に入っていった。

 第二部 完
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