1 / 1
欲しがり妹に転生したので姉のものはいらないと言いたいんだけど、ゲームシナリオの強制力が邪魔するんです!
しおりを挟む
「お姉様だけずるい」
小さな子供の声がした。って言っているのって私?
目の前にはどこかで見たようなピンクの髪で金色の瞳をした、美しい少女が困ったような顔でこちらを見ている。
ここどこよ。なんだか知っているような知らないような……既視感ってやつ?
少なくとも、私の日常にはない風景ね。大学の演劇サークル、次の作品現代劇だよね。セット? なわけないし……。
意識がはっきりしないまま、私の口が開いた。
「おねーさま、そのブローチ私に頂戴!」
いやいや、人のもの取ったらいかんでしょ! まあ、わがままな子供の戯言だよ。許せ。って何やってんだろう私。
「これは私のお母様の形見なの。許して」
美少女がうるうると涙目で見つめてくる。あれ? やっぱり知っている。このシーン。……シーン? どういうこと?
「姉なんだから妹に優しくしなさい!」
いやいや、それはないでしょ、お母様。形見だって言っているし……ん? お母様?
そこでぼんやりと現実感がなかった私の意識がはっきりくっきり目覚めた!
このシーンはあれだ。乙女ゲーム【君のためなら全てを排除しても構わない】通称【すべはい】の回想シーン。初めてヒロインから欲しがり義妹のザラメ・ルーデンハイドがものを取り上げる所よ。ここからドアマットヒロインとして成長する記念すべき回想回。
つまり私は悪役令嬢として、ヒロインの妹ザラメに転生したっていうの?!
まずいじゃない! このブローチ私が持っていると、最後に糾弾される元になるのよ!
お姉様! あなたには大事な形見のブローチでしょうけど、私にとっては特級呪物! 簡単に渡さないで~!
頭の中でそんなことを思っているのに、状況は流れていく。
お母様! 取り上げないで! 私に持ってこないで~!!
「ふっ、お姉様より私のほうが似合うでしょ」
バカ~! 何言ってるのよ私! ほら、お姉様静かに泣いてるじゃない。
决められたストーリーが終わったのか、やっと体が自由に動かせるようになったよ。私は慌ててブローチを姉の前に出した。
「っていうのはウソ! お姉様の方が似合うわ。私こんなブローチいらないから、お姉様が持っていなさい」
おい! 口調! キャラ変できないのかな? これじゃわけわからないツンデレみたいじゃない。
お姉様の顔が笑顔に変わって、抱きしめられた。
これ、夢ならいいな。……そんな希望は2~3日で諦めた。私はゲームのシナリオを思い出すことにした。
◇
これって、私詰んでるよね。
姉のヒロイン、今回はフローレンス? って名前みたいだけど、二歳上の姉がどの攻略対象を射止めても私はザマァされるのよね。ちなみに爵位は侯爵だから、ギリ王子との恋愛もOK。攻略対象にも入ってるんだよね。
スケベジジイの嫁にあてがわれて好き放題されたり、娼婦に落とされたり、牢獄でいたぶられたり、ならず者をけしかけられて襲われたり……。
誰の性癖よ! 変態シナリオライターめ!
私の貞操は私が守らなきゃ!
姉が幸せになるのを止める気はない!
でも、私のバッドエンドはなんとしても止めなくては!
現在5歳(精神年齢24歳。彼氏も経験も無し)の私は、ゲームシナリオに対抗することを誓った!
あ、お姉さまの孤立化はお母様を言いくるめて回避したから! 第一段階は成功だね。
◇
姉がクッキーを食べようとしていた。
「お姉様ずるい! 私にちょうだい」
ちっ、こんな所ゲームではなかったのに。日常生活にまで干渉しやがるのでしょうか!
「お嬢様のおやつはこちらにありますよ」
メイドが言っても私の体は止まらない。ゲームシナリオの強制力ってやつだ。
「お姉様のが欲しいの!」
無理やり取ってひとくち食べた。その瞬間、体が自由になった。
「ど、毒見は終わりました。あとはお姉様が食べなさい!」
クスクスとほほえましい笑い声が上がる。「お優しいですね」とか、「フローレンス様が大好きなのですね」とか。
違うから! ツンデレでも仲良し姉妹でもないから!
ゲームの強制力のせいなんだって~!
逃げ出すわけにもいかず、いたたまれない空気の中お茶を頂いた。
◇
「お姉様ずるい~!」
また始まったよ、ゲームシナリオ。私の体勝手に使わないでよね。
へいへい。今度は何ですか? 学園に通う姉が羨ましい?
知るか! 年齢違うんだから!
「本当にフローレンス様がお好きなんですね」って、違う! 何そのほほえましい笑顔!
あっ、でももう体が動く。強制力ここまで?
「その教科書、私にも見せなさい! お姉様より賢くなってあげるから」
うん、多分いまでもお姉様より賢いよ。大学出てるからね。
あ~!小学校3年生レベルだ。地理と歴史と魔法も基本的なところだけね。
1週間、いえ、3日で覚えよう!
姉から教科書を3日だけ借りて、学園一年生の知識は大体覚えた。
魔法は家の書庫を漁って研究しよう!
教科書を返したら、「まだ難しかったでしょ」って笑われたよ。
面倒くさいからそういうことにしておこう。
だから、使用人達! 仲良し姉妹じゃないから!!
◇
魔法楽しい!
ラノベでよく見た魔力増強法と科学による融合。この世界で役に立ったよ!
テンプレ大事ですよね。そうですよね。
でも隠れてやらないと! 私は目立たないように生き延びるんだ!
そして、いざとなったら国外逃亡してやる!
そのために手の内はさらさないよ!
◇
学園に入学した。学園は4年間。姉は今三年生。私は飛び級して二年生。だって小学生の勉強のやり直しなんて面倒くさいじゃない。二年生でも小学校高学年くらいだけどね。飛び級一年しか出来なかったんだから仕方ない。
出来れば姉より早く卒業して、卒業パーティー出ないようにしたかったんだけど。
こんな所までシナリオの強制力なのか⁉ 理不尽だ!
二年生でもトップとって、後期は三年生を目指すぞ!
って、お姉様が攻略対象を引き連れてこっちに来た!
「ごきげんよう、ザラメ。学園は慣れた? 皆さんに紹介しますわ。私の大切な妹ザラメよ。優秀で入ったばかりなのにもう二年生なの。ザラメ、こちらはアルフォート第一王子」
「よろしく、君がフローレンスの最愛の妹だね。よく聞いてるよ」
あっ、美形だけどなにその余所行きの笑顔。苦手!
「こちらが宰相のご令息、ルマンド様」
「よろしく。優秀なんだってね。頑張って」
うん。感じは良さそう。
「騎士団長のご令息、パキーラ様」
「おう、困ったことがあれば頼れ」
でかい!
「プチプライム商会の会長の子息、バジル君」
「お、かわいいじゃん。必要なものがあったら割引してあげるよ」
軽いね。
主要キャラ勢ぞろいですか。このゲーム他にも攻略対象いるけど、まあメインはこの四人ね。
あ、ゲームの強制力が……、逆らえん!
「お姉様ずるい!」
ちっ、始まったよ。
「お姉さまだけ、そんな素敵な人に囲まれて!」
あ~、別にこいつらどうでもいいのに!
「そんなことはないわよ。きっとあなたにも」
「一人ぐらいちょうだい!」
いらね~よ! 勝手に幸せになって! ってゆうか男侍らすな! はしたない!
「頭が良いとは聞いていたが」
「ま、年相応なんじゃない?」
ルマンド様が冷ややかな目で言い捨てた。
バジル先輩がフォローしてるけど、精神年齢上だから!
「そんなこと言わないで上げて、ルマンド様」
我が姉ながら私を陥れようとしない。だけど来年断罪されるんだよね。
「では、わたしが躾けてあげましょう。もともとは賢いようですし」
いらんわ! ってなんで関西弁? 心の声が関西弁になってる!
まあいい。本当にいらない!
って言えない。なにこれ? これもシナリオ修正のための強制力ってやつ⁉
翌日から、宰相のご子息ルマンド様が学園で私の周りをうろつくようになった。
◇
だ~か~ら~! いらないんだよねそういうの! ストーカーじゃあるまいし!
二週間経ってみて、こいつの本性が見えたね。
ルマンド様、かなりの偏屈。自分の意見が絶対。人の意見なんて聞き入れない。
しかも、どえらい男尊女卑。
自分より格下だと思う人には容赦ない。
こんな人お義兄さまとは呼びたくない!
仕方ないので、私が姉から取り上げて一旦彼氏にした後、こっぴどく振ってやった。
◇
ゲームの強制力め~! また「お姉様ずるい」発動ですか!
今度はバジル先輩? だから趣味じゃないって!
って、こいつ女好き? あちらこちらで何股かけているのよ!
こんな人お義兄さまなんて呼びたくない!
お姉様から取り上げて、付き合った後にこっぴどく振ってやった。
私は周りから「悪役令嬢」という風に呼ばれ始めた。いいよもう、何とでも言えば。
早く卒業して国外逃亡しよう! そのために前期のテストで満点と、飛び級試験合格で進級してやる!
そんなこと思っているのは私だけだと思っていたら、クラスメイトのリベラも飛び級の試験を受けてるよ。何で?
「だって、俺と張り合える成績取ってるの君だけじゃない。一人逃げるのはずるいよ」
知るか。私は早く卒業したいんだ!
「学園は人脈作りも大切ではないでしょうか? 私はそこをあきらめていますから」
逃亡者に人脈いらないよね。
「だからリベラ先輩は普通に進級してらしたのですよね」
他国から留学しているリベラ先輩は他国の商人の三男。この国で人脈を作って王国に支店を出す足がかりにしたいらしい。
「まあね。でもやっと競えあえるほど優秀な生徒が出てきたんだ。先に行かれるの嫌だよね」
そう? 私はどうでもいいけど。
「それに三年生には王子様や宰相様、騎士団長のご子息も揃っているし。顔つなぐなら三年生の人たちの方が良さそうじゃない」
まあ、確かにそうかもね。なるほど。
「心配ないとは思ってるけど、一緒に飛び級しようね」
あんまり気にしていなかったけど、リベラ先輩って美形だったのね。サラサラとした銀の髪を肩まで伸ばして、ブルーの瞳がきらめくように銀髪に映える。細身だけどしっかりとした筋肉質の腕が、鍛え上げられた体を想像させる。
「残念がるでしょうね、クラスの女子達。大分モテていたんでしょ」
美形の商人は女好きに決まっている。バジル先輩がそうだったし。
「失礼なこと考えてない? 別にモテてなんかいないさ」
無自覚ですか! それとも余裕? どっちみち私には関係ない。近づかないようにしましょう、そうしましょう。
二人とも優秀な成績で三年生に進級したよ。当然だね。
◇
後期から三年生。二人も飛び級したからリベラ先輩とはクラスが別だ。よかった! 面倒ごとは放置だ!
だけど姉と一緒のクラスだった。攻略対象の4人も一緒に。
ゲームの強制力、半端ねえ!
しょっちゅう出る「お姉様ずるい」攻撃に、私の精神ボロボロだよ!
やりたくないのになぜやらせる! あ~もう! 悪役令嬢の悪評があぁぁぁぁ。
でもお姉様、どっちを攻略するんだろう。ルマンド様とバジル先輩は私のせいで対象外決定だし、王子のアルフォート様か、騎士団長のご子息パキーラ様か。
姉の性格からして王妃は無理でしょ。ぱやぱやしたお花畑がこの国の国母では国民が心配。
パキーラ様は脳筋だけどいい人っぽいし、そっちにしなよ。
そう思っていたら、シナリオが修正力を発揮した。そうだよね、私が飛び級とかしていたからシナリオ狂いまくったよね。ざまぁ、って思っていたのに。
私と王子との婚約が発表された。何でだ! シナリオ無茶振りしすぎ!
私の成績の良さと、魔法の才能のとびぬけ方が半端ないのがばれたせいで王室が動いたようだ。だって授業のレベルが低すぎるんですもの! 政治・経済、次から次と教授たちと話し合ったり、日本の保険制度なんかを引き合いに出してディスカッションしていただけなのに。
魔法もね、ちょっとだけやり過ぎたことはある。本気なんか出していないよ。5パーセント程度だよ。
本気出したら城落とせるね。やらないけど。
とにかく、姉から王子を奪い取った悪女としてさらに有名になってしまった。
シナリオ~! このやろう~!
叫んでも無駄でした。はい。
王子には虫けらのような目で見られ、周りは先輩たちだらけ。私13歳で周りは15~6歳なのよ! 身長差! 体格差! 半端ねーぜ!
そんなこんなで時間がたちました。
姉はパキーラ様と婚約し、パキーラ様は婿入りし騎士団へ就職が決まった。それだけはよかったよ。
私は王子のヘイトを稼ぎながらも婚約者として学園生活。周りのお嬢様は私をいじめ放題。
とは言っても、物理ならやり返すから! 何なら家ごと(物理で)
嫌味言われたり、物を隠されたり。
あっ、物を隠された時は嬉々としてシナリオが発動した。「お姉様ずるい」って言うと、姉がいろいろ貸してくれた。教科書とかノートとか。
いらないよ! なくても全部理解しているから!
そうして平凡な日々は続き、とうとう卒業パーティーまで時間が進んだ。
◇
「ザラメ・ルーデンハイド! 貴様のような悪女は王家にふさわしくない! 姉であるフローレンス嬢を陰湿にいじめたこと、調査はすんでいる! 婚約を破棄し、王国を追放する!」
傍らに平民のヒロインは……。うん、いないね。シナリオ上、ヒロインはお姉さまだけだから。って、姉はパキーラ様の婚約者決定だよ。本当に単なる婚約破棄だけ⁈
シナリオ~! 大丈夫か!
「妹はそんなことしていません!私はいじめられてなんかいないです」
姉が反論した。王子が「えっ」て顔をしているよ。まあ、いじめていないしね。
「フローレンス。君の優しさがそう言っているんだね。妹を助けたいために」
「そんなことありません」
ああ……泥沼だよ王子。え~と、私はどうすればいい?
「それにザラメに人生を狂わされたのは他にもいる! 証人前へ!」
誰かいたか? どっちかというとボッチだぞ。っていうかボッチそのものだよ。あ~、……ボッチか~。ちょっとくるね。
って、ルマンド様とバジル先輩が? 何で?
「わたし達はこの女に惑わされてフラれました!」
あ~、あったね。忘れていたよ。
「さらに、別れる理由を周りに知らせるように大声で話し、おかげでわたし達の評判が悪くなったのです」
「そうだ! その後から女が近寄らなくなったんだ! どうしてくれるんだ!」
だって、あんたらの素行が悪いのが知れ渡っただけじゃん。遅かれ早かれバレるんだからさ、被害者少ない方がよくない?
「俺も、貴様が婚約者ということで、楽しいはずの学園生活が女っ気なしで過ぎ去っていってしまった! 貴様のせいでな!」
知らん! こっちも被害者だ! 文句あるなら貴様のパパにでも言え!
「これで罪は明白となった」
どこがだよ!
「ザラメ・ルーデンハイドとの婚約は破棄! 爵位を取り上げ、国外追放とする!」
「かしこまりました」
「え?」
「罪状は否定したいのですが、婚約破棄と国外追放は魅力的です。受け入れましょう! どこかにサインをしましょうか? いや~、もっとひどい刑かと思っていたので良かったです。理想的な刑ですね。ありがとうございます」
王子、固まるなよ。お互い手打ちでいいよね。
「ちょっと待った~!」
誰? 待つな!
「婚約破棄と国外追放! ザラメ様、それでしたら俺が婚約を申し込みます」
は? 誰? ああ、リベラ先輩。クラス違うから接点少なかったけど、教授たちとの討論によく交じりに来ていたよね。
「君が飛び級で二年生のクラスメイトになった時から好きでした。俺と結婚してください」
「え? リベラ先輩、モテますよね。私浮気性な方は嫌なのですが。商人はあちらこちらに女を作ってなんぼと同じ商人のバジル先輩が言っていましたので」
「俺は浮気なんてしません! 誰とも付き合ったことはない!」
「そうなの?」
「あなただけを愛することを誓います。ザラメ・ルーデンハイド様」
「あ……ありがとう」
何このシチュエーション! ドキドキするじゃない。
「いいですね、アルフォード・ブルボン王子」
「あ、ああ。リベラルク・グリコール王子」
は? なんですと? 誰よリベラルク・グリコール王子って?
「ごめん。実はグリコール王国第三王子のリベラルクというのが本当の俺なんだ。留学先のここでは王子としてではなく庶民として様々なものを見て回るために、王家に協力をしてもらっていたんだ。アルとは昔からの顔なじみさ」
え~、聞いてない。っていうか言えるわけないか。
「俺が惚れたのもそうだけど、君は優秀だし、国の事も考えられる優しい子だ。姉の事を守ろうとしていたんだろう。ルマンドとバジルは結婚相手としては君の姉には向いていない。だから引き離そうとあんなことしたんだろう」
姉のためより、自分のためです! はい。
「君と教授たちとの討論も素晴らしかった。俺にはない発想が次から次と」
ええ、異世界の情報ですから。
「君しか考えられない。俺と一緒にグリコール国を繫栄させよう」
え? ちょっと、手を取られてる? そのまま唇が手に……。
こんな美形に言い寄られているの?私? 想定外よ~! シナリオさん、バッドエンドの強制力はどうした!
あ、婚約破棄と国外追放でシナリオ通りですか、そうですか。
◇
その後、パーティーは解散に。
王子は王様と大人たちに怒られ、王太子の座を一旦引き上げさせられた。
ルマンド様とバジル様の悪評はさらに広がり、家督を継げなくなったみたいだね。よく知らないけど。
姉はパキーラ様と結婚し幸せに暮らしている。
そして私は……。
ブルボン王家から何度となく引き留めがあったが、リベラルク様が拒否。甘々の言葉で私にプロポーズを続けた。
あんな美形に甘々のプロポーズされ続けて落ちない女なんている?
あ~! もう! 私がこんなに独占欲が強い女だとは思ってもいなかったよ!
惚れさせられました。はい。大好きです。
シナリオさんは、姉の幸せと私の国外追放を勝ち取って満足なされたみたいです。
よし。私の貞操は守り切ったよ!
……………………まあ、なんですか。はい。
……………………私の全ての初めては、数年かけてリベラルク様に捧げましたよ。
おしまい。
小さな子供の声がした。って言っているのって私?
目の前にはどこかで見たようなピンクの髪で金色の瞳をした、美しい少女が困ったような顔でこちらを見ている。
ここどこよ。なんだか知っているような知らないような……既視感ってやつ?
少なくとも、私の日常にはない風景ね。大学の演劇サークル、次の作品現代劇だよね。セット? なわけないし……。
意識がはっきりしないまま、私の口が開いた。
「おねーさま、そのブローチ私に頂戴!」
いやいや、人のもの取ったらいかんでしょ! まあ、わがままな子供の戯言だよ。許せ。って何やってんだろう私。
「これは私のお母様の形見なの。許して」
美少女がうるうると涙目で見つめてくる。あれ? やっぱり知っている。このシーン。……シーン? どういうこと?
「姉なんだから妹に優しくしなさい!」
いやいや、それはないでしょ、お母様。形見だって言っているし……ん? お母様?
そこでぼんやりと現実感がなかった私の意識がはっきりくっきり目覚めた!
このシーンはあれだ。乙女ゲーム【君のためなら全てを排除しても構わない】通称【すべはい】の回想シーン。初めてヒロインから欲しがり義妹のザラメ・ルーデンハイドがものを取り上げる所よ。ここからドアマットヒロインとして成長する記念すべき回想回。
つまり私は悪役令嬢として、ヒロインの妹ザラメに転生したっていうの?!
まずいじゃない! このブローチ私が持っていると、最後に糾弾される元になるのよ!
お姉様! あなたには大事な形見のブローチでしょうけど、私にとっては特級呪物! 簡単に渡さないで~!
頭の中でそんなことを思っているのに、状況は流れていく。
お母様! 取り上げないで! 私に持ってこないで~!!
「ふっ、お姉様より私のほうが似合うでしょ」
バカ~! 何言ってるのよ私! ほら、お姉様静かに泣いてるじゃない。
决められたストーリーが終わったのか、やっと体が自由に動かせるようになったよ。私は慌ててブローチを姉の前に出した。
「っていうのはウソ! お姉様の方が似合うわ。私こんなブローチいらないから、お姉様が持っていなさい」
おい! 口調! キャラ変できないのかな? これじゃわけわからないツンデレみたいじゃない。
お姉様の顔が笑顔に変わって、抱きしめられた。
これ、夢ならいいな。……そんな希望は2~3日で諦めた。私はゲームのシナリオを思い出すことにした。
◇
これって、私詰んでるよね。
姉のヒロイン、今回はフローレンス? って名前みたいだけど、二歳上の姉がどの攻略対象を射止めても私はザマァされるのよね。ちなみに爵位は侯爵だから、ギリ王子との恋愛もOK。攻略対象にも入ってるんだよね。
スケベジジイの嫁にあてがわれて好き放題されたり、娼婦に落とされたり、牢獄でいたぶられたり、ならず者をけしかけられて襲われたり……。
誰の性癖よ! 変態シナリオライターめ!
私の貞操は私が守らなきゃ!
姉が幸せになるのを止める気はない!
でも、私のバッドエンドはなんとしても止めなくては!
現在5歳(精神年齢24歳。彼氏も経験も無し)の私は、ゲームシナリオに対抗することを誓った!
あ、お姉さまの孤立化はお母様を言いくるめて回避したから! 第一段階は成功だね。
◇
姉がクッキーを食べようとしていた。
「お姉様ずるい! 私にちょうだい」
ちっ、こんな所ゲームではなかったのに。日常生活にまで干渉しやがるのでしょうか!
「お嬢様のおやつはこちらにありますよ」
メイドが言っても私の体は止まらない。ゲームシナリオの強制力ってやつだ。
「お姉様のが欲しいの!」
無理やり取ってひとくち食べた。その瞬間、体が自由になった。
「ど、毒見は終わりました。あとはお姉様が食べなさい!」
クスクスとほほえましい笑い声が上がる。「お優しいですね」とか、「フローレンス様が大好きなのですね」とか。
違うから! ツンデレでも仲良し姉妹でもないから!
ゲームの強制力のせいなんだって~!
逃げ出すわけにもいかず、いたたまれない空気の中お茶を頂いた。
◇
「お姉様ずるい~!」
また始まったよ、ゲームシナリオ。私の体勝手に使わないでよね。
へいへい。今度は何ですか? 学園に通う姉が羨ましい?
知るか! 年齢違うんだから!
「本当にフローレンス様がお好きなんですね」って、違う! 何そのほほえましい笑顔!
あっ、でももう体が動く。強制力ここまで?
「その教科書、私にも見せなさい! お姉様より賢くなってあげるから」
うん、多分いまでもお姉様より賢いよ。大学出てるからね。
あ~!小学校3年生レベルだ。地理と歴史と魔法も基本的なところだけね。
1週間、いえ、3日で覚えよう!
姉から教科書を3日だけ借りて、学園一年生の知識は大体覚えた。
魔法は家の書庫を漁って研究しよう!
教科書を返したら、「まだ難しかったでしょ」って笑われたよ。
面倒くさいからそういうことにしておこう。
だから、使用人達! 仲良し姉妹じゃないから!!
◇
魔法楽しい!
ラノベでよく見た魔力増強法と科学による融合。この世界で役に立ったよ!
テンプレ大事ですよね。そうですよね。
でも隠れてやらないと! 私は目立たないように生き延びるんだ!
そして、いざとなったら国外逃亡してやる!
そのために手の内はさらさないよ!
◇
学園に入学した。学園は4年間。姉は今三年生。私は飛び級して二年生。だって小学生の勉強のやり直しなんて面倒くさいじゃない。二年生でも小学校高学年くらいだけどね。飛び級一年しか出来なかったんだから仕方ない。
出来れば姉より早く卒業して、卒業パーティー出ないようにしたかったんだけど。
こんな所までシナリオの強制力なのか⁉ 理不尽だ!
二年生でもトップとって、後期は三年生を目指すぞ!
って、お姉様が攻略対象を引き連れてこっちに来た!
「ごきげんよう、ザラメ。学園は慣れた? 皆さんに紹介しますわ。私の大切な妹ザラメよ。優秀で入ったばかりなのにもう二年生なの。ザラメ、こちらはアルフォート第一王子」
「よろしく、君がフローレンスの最愛の妹だね。よく聞いてるよ」
あっ、美形だけどなにその余所行きの笑顔。苦手!
「こちらが宰相のご令息、ルマンド様」
「よろしく。優秀なんだってね。頑張って」
うん。感じは良さそう。
「騎士団長のご令息、パキーラ様」
「おう、困ったことがあれば頼れ」
でかい!
「プチプライム商会の会長の子息、バジル君」
「お、かわいいじゃん。必要なものがあったら割引してあげるよ」
軽いね。
主要キャラ勢ぞろいですか。このゲーム他にも攻略対象いるけど、まあメインはこの四人ね。
あ、ゲームの強制力が……、逆らえん!
「お姉様ずるい!」
ちっ、始まったよ。
「お姉さまだけ、そんな素敵な人に囲まれて!」
あ~、別にこいつらどうでもいいのに!
「そんなことはないわよ。きっとあなたにも」
「一人ぐらいちょうだい!」
いらね~よ! 勝手に幸せになって! ってゆうか男侍らすな! はしたない!
「頭が良いとは聞いていたが」
「ま、年相応なんじゃない?」
ルマンド様が冷ややかな目で言い捨てた。
バジル先輩がフォローしてるけど、精神年齢上だから!
「そんなこと言わないで上げて、ルマンド様」
我が姉ながら私を陥れようとしない。だけど来年断罪されるんだよね。
「では、わたしが躾けてあげましょう。もともとは賢いようですし」
いらんわ! ってなんで関西弁? 心の声が関西弁になってる!
まあいい。本当にいらない!
って言えない。なにこれ? これもシナリオ修正のための強制力ってやつ⁉
翌日から、宰相のご子息ルマンド様が学園で私の周りをうろつくようになった。
◇
だ~か~ら~! いらないんだよねそういうの! ストーカーじゃあるまいし!
二週間経ってみて、こいつの本性が見えたね。
ルマンド様、かなりの偏屈。自分の意見が絶対。人の意見なんて聞き入れない。
しかも、どえらい男尊女卑。
自分より格下だと思う人には容赦ない。
こんな人お義兄さまとは呼びたくない!
仕方ないので、私が姉から取り上げて一旦彼氏にした後、こっぴどく振ってやった。
◇
ゲームの強制力め~! また「お姉様ずるい」発動ですか!
今度はバジル先輩? だから趣味じゃないって!
って、こいつ女好き? あちらこちらで何股かけているのよ!
こんな人お義兄さまなんて呼びたくない!
お姉様から取り上げて、付き合った後にこっぴどく振ってやった。
私は周りから「悪役令嬢」という風に呼ばれ始めた。いいよもう、何とでも言えば。
早く卒業して国外逃亡しよう! そのために前期のテストで満点と、飛び級試験合格で進級してやる!
そんなこと思っているのは私だけだと思っていたら、クラスメイトのリベラも飛び級の試験を受けてるよ。何で?
「だって、俺と張り合える成績取ってるの君だけじゃない。一人逃げるのはずるいよ」
知るか。私は早く卒業したいんだ!
「学園は人脈作りも大切ではないでしょうか? 私はそこをあきらめていますから」
逃亡者に人脈いらないよね。
「だからリベラ先輩は普通に進級してらしたのですよね」
他国から留学しているリベラ先輩は他国の商人の三男。この国で人脈を作って王国に支店を出す足がかりにしたいらしい。
「まあね。でもやっと競えあえるほど優秀な生徒が出てきたんだ。先に行かれるの嫌だよね」
そう? 私はどうでもいいけど。
「それに三年生には王子様や宰相様、騎士団長のご子息も揃っているし。顔つなぐなら三年生の人たちの方が良さそうじゃない」
まあ、確かにそうかもね。なるほど。
「心配ないとは思ってるけど、一緒に飛び級しようね」
あんまり気にしていなかったけど、リベラ先輩って美形だったのね。サラサラとした銀の髪を肩まで伸ばして、ブルーの瞳がきらめくように銀髪に映える。細身だけどしっかりとした筋肉質の腕が、鍛え上げられた体を想像させる。
「残念がるでしょうね、クラスの女子達。大分モテていたんでしょ」
美形の商人は女好きに決まっている。バジル先輩がそうだったし。
「失礼なこと考えてない? 別にモテてなんかいないさ」
無自覚ですか! それとも余裕? どっちみち私には関係ない。近づかないようにしましょう、そうしましょう。
二人とも優秀な成績で三年生に進級したよ。当然だね。
◇
後期から三年生。二人も飛び級したからリベラ先輩とはクラスが別だ。よかった! 面倒ごとは放置だ!
だけど姉と一緒のクラスだった。攻略対象の4人も一緒に。
ゲームの強制力、半端ねえ!
しょっちゅう出る「お姉様ずるい」攻撃に、私の精神ボロボロだよ!
やりたくないのになぜやらせる! あ~もう! 悪役令嬢の悪評があぁぁぁぁ。
でもお姉様、どっちを攻略するんだろう。ルマンド様とバジル先輩は私のせいで対象外決定だし、王子のアルフォート様か、騎士団長のご子息パキーラ様か。
姉の性格からして王妃は無理でしょ。ぱやぱやしたお花畑がこの国の国母では国民が心配。
パキーラ様は脳筋だけどいい人っぽいし、そっちにしなよ。
そう思っていたら、シナリオが修正力を発揮した。そうだよね、私が飛び級とかしていたからシナリオ狂いまくったよね。ざまぁ、って思っていたのに。
私と王子との婚約が発表された。何でだ! シナリオ無茶振りしすぎ!
私の成績の良さと、魔法の才能のとびぬけ方が半端ないのがばれたせいで王室が動いたようだ。だって授業のレベルが低すぎるんですもの! 政治・経済、次から次と教授たちと話し合ったり、日本の保険制度なんかを引き合いに出してディスカッションしていただけなのに。
魔法もね、ちょっとだけやり過ぎたことはある。本気なんか出していないよ。5パーセント程度だよ。
本気出したら城落とせるね。やらないけど。
とにかく、姉から王子を奪い取った悪女としてさらに有名になってしまった。
シナリオ~! このやろう~!
叫んでも無駄でした。はい。
王子には虫けらのような目で見られ、周りは先輩たちだらけ。私13歳で周りは15~6歳なのよ! 身長差! 体格差! 半端ねーぜ!
そんなこんなで時間がたちました。
姉はパキーラ様と婚約し、パキーラ様は婿入りし騎士団へ就職が決まった。それだけはよかったよ。
私は王子のヘイトを稼ぎながらも婚約者として学園生活。周りのお嬢様は私をいじめ放題。
とは言っても、物理ならやり返すから! 何なら家ごと(物理で)
嫌味言われたり、物を隠されたり。
あっ、物を隠された時は嬉々としてシナリオが発動した。「お姉様ずるい」って言うと、姉がいろいろ貸してくれた。教科書とかノートとか。
いらないよ! なくても全部理解しているから!
そうして平凡な日々は続き、とうとう卒業パーティーまで時間が進んだ。
◇
「ザラメ・ルーデンハイド! 貴様のような悪女は王家にふさわしくない! 姉であるフローレンス嬢を陰湿にいじめたこと、調査はすんでいる! 婚約を破棄し、王国を追放する!」
傍らに平民のヒロインは……。うん、いないね。シナリオ上、ヒロインはお姉さまだけだから。って、姉はパキーラ様の婚約者決定だよ。本当に単なる婚約破棄だけ⁈
シナリオ~! 大丈夫か!
「妹はそんなことしていません!私はいじめられてなんかいないです」
姉が反論した。王子が「えっ」て顔をしているよ。まあ、いじめていないしね。
「フローレンス。君の優しさがそう言っているんだね。妹を助けたいために」
「そんなことありません」
ああ……泥沼だよ王子。え~と、私はどうすればいい?
「それにザラメに人生を狂わされたのは他にもいる! 証人前へ!」
誰かいたか? どっちかというとボッチだぞ。っていうかボッチそのものだよ。あ~、……ボッチか~。ちょっとくるね。
って、ルマンド様とバジル先輩が? 何で?
「わたし達はこの女に惑わされてフラれました!」
あ~、あったね。忘れていたよ。
「さらに、別れる理由を周りに知らせるように大声で話し、おかげでわたし達の評判が悪くなったのです」
「そうだ! その後から女が近寄らなくなったんだ! どうしてくれるんだ!」
だって、あんたらの素行が悪いのが知れ渡っただけじゃん。遅かれ早かれバレるんだからさ、被害者少ない方がよくない?
「俺も、貴様が婚約者ということで、楽しいはずの学園生活が女っ気なしで過ぎ去っていってしまった! 貴様のせいでな!」
知らん! こっちも被害者だ! 文句あるなら貴様のパパにでも言え!
「これで罪は明白となった」
どこがだよ!
「ザラメ・ルーデンハイドとの婚約は破棄! 爵位を取り上げ、国外追放とする!」
「かしこまりました」
「え?」
「罪状は否定したいのですが、婚約破棄と国外追放は魅力的です。受け入れましょう! どこかにサインをしましょうか? いや~、もっとひどい刑かと思っていたので良かったです。理想的な刑ですね。ありがとうございます」
王子、固まるなよ。お互い手打ちでいいよね。
「ちょっと待った~!」
誰? 待つな!
「婚約破棄と国外追放! ザラメ様、それでしたら俺が婚約を申し込みます」
は? 誰? ああ、リベラ先輩。クラス違うから接点少なかったけど、教授たちとの討論によく交じりに来ていたよね。
「君が飛び級で二年生のクラスメイトになった時から好きでした。俺と結婚してください」
「え? リベラ先輩、モテますよね。私浮気性な方は嫌なのですが。商人はあちらこちらに女を作ってなんぼと同じ商人のバジル先輩が言っていましたので」
「俺は浮気なんてしません! 誰とも付き合ったことはない!」
「そうなの?」
「あなただけを愛することを誓います。ザラメ・ルーデンハイド様」
「あ……ありがとう」
何このシチュエーション! ドキドキするじゃない。
「いいですね、アルフォード・ブルボン王子」
「あ、ああ。リベラルク・グリコール王子」
は? なんですと? 誰よリベラルク・グリコール王子って?
「ごめん。実はグリコール王国第三王子のリベラルクというのが本当の俺なんだ。留学先のここでは王子としてではなく庶民として様々なものを見て回るために、王家に協力をしてもらっていたんだ。アルとは昔からの顔なじみさ」
え~、聞いてない。っていうか言えるわけないか。
「俺が惚れたのもそうだけど、君は優秀だし、国の事も考えられる優しい子だ。姉の事を守ろうとしていたんだろう。ルマンドとバジルは結婚相手としては君の姉には向いていない。だから引き離そうとあんなことしたんだろう」
姉のためより、自分のためです! はい。
「君と教授たちとの討論も素晴らしかった。俺にはない発想が次から次と」
ええ、異世界の情報ですから。
「君しか考えられない。俺と一緒にグリコール国を繫栄させよう」
え? ちょっと、手を取られてる? そのまま唇が手に……。
こんな美形に言い寄られているの?私? 想定外よ~! シナリオさん、バッドエンドの強制力はどうした!
あ、婚約破棄と国外追放でシナリオ通りですか、そうですか。
◇
その後、パーティーは解散に。
王子は王様と大人たちに怒られ、王太子の座を一旦引き上げさせられた。
ルマンド様とバジル様の悪評はさらに広がり、家督を継げなくなったみたいだね。よく知らないけど。
姉はパキーラ様と結婚し幸せに暮らしている。
そして私は……。
ブルボン王家から何度となく引き留めがあったが、リベラルク様が拒否。甘々の言葉で私にプロポーズを続けた。
あんな美形に甘々のプロポーズされ続けて落ちない女なんている?
あ~! もう! 私がこんなに独占欲が強い女だとは思ってもいなかったよ!
惚れさせられました。はい。大好きです。
シナリオさんは、姉の幸せと私の国外追放を勝ち取って満足なされたみたいです。
よし。私の貞操は守り切ったよ!
……………………まあ、なんですか。はい。
……………………私の全ての初めては、数年かけてリベラルク様に捧げましたよ。
おしまい。
69
お気に入りに追加
19
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
姉に全てを奪われるはずの悪役令嬢ですが、婚約破棄されたら騎士団長の溺愛が始まりました
可児 うさこ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したら、婚約者の侯爵と聖女である姉の浮気現場に遭遇した。婚約破棄され、実家で贅沢三昧をしていたら、(強制的に)婚活を始めさせられた。「君が今まで婚約していたから、手が出せなかったんだ!」と、王子達からモテ期が到来する。でも私は全員分のルートを把握済み。悪役令嬢である妹には、必ずバッドエンドになる。婚活を無双しつつ、フラグを折り続けていたら、騎士団長に声を掛けられた。幼なじみのローラン、どのルートにもない男性だった。優しい彼は私を溺愛してくれて、やがて幸せな結婚をつかむことになる。
悪役令嬢ですが、どうやらずっと好きだったみたいです
朝顔
恋愛
リナリアは前世の記憶を思い出して、頭を悩ませた。
この世界が自分の遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気がついたのだ。
そして、自分はどうやら主人公をいじめて、嫉妬に狂って殺そうとまでする悪役令嬢に転生してしまった。
せっかく生まれ変わった人生で断罪されるなんて絶対嫌。
どうにかして攻略対象である王子から逃げたいけど、なぜだか懐つかれてしまって……。
悪役令嬢の王道?の話を書いてみたくてチャレンジしました。
ざまぁはなく、溺愛甘々なお話です。
なろうにも同時投稿
【完結】悪役令嬢に転生したけど『相手の悪意が分かる』から死亡エンドは迎えない
七星点灯
恋愛
絶対にハッピーエンドを迎えたい!
かつて心理学者だった私は、気がついたら悪役令嬢に転生していた。
『相手の嘘』に気付けるという前世の記憶を駆使して、張り巡らされる死亡フラグをくぐり抜けるが......
どうやら私は恋愛がド下手らしい。
*この作品は小説家になろう様にも掲載しています
悪役令嬢に転生したのですが、フラグが見えるのでとりま折らせていただきます
水無瀬流那
恋愛
転生先は、未プレイの乙女ゲーの悪役令嬢だった。それもステータスによれば、死ぬ確率は100%というDEATHエンド確定令嬢らしい。
このままでは死んでしまう、と焦る私に与えられていたスキルは、『フラグ破壊レベル∞』…………?
使い方も詳細も何もわからないのですが、DEATHエンド回避を目指して、とりまフラグを折っていこうと思います!
※小説家になろうでも掲載しています
家庭の事情で歪んだ悪役令嬢に転生しましたが、溺愛されすぎて歪むはずがありません。
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるエルミナ・サディードは、両親や兄弟から虐げられて育ってきた。
その結果、彼女の性格は最悪なものとなり、主人公であるメリーナを虐め抜くような悪役令嬢となったのである。
そんなエルミナに生まれ変わった私は困惑していた。
なぜなら、ゲームの中で明かされた彼女の過去とは異なり、両親も兄弟も私のことを溺愛していたからである。
私は、確かに彼女と同じ姿をしていた。
しかも、人生の中で出会う人々もゲームの中と同じだ。
それなのに、私の扱いだけはまったく違う。
どうやら、私が転生したこの世界は、ゲームと少しだけずれているようだ。
当然のことながら、そんな環境で歪むはずはなく、私はただの公爵令嬢として育つのだった。
婚約破棄された悪役令嬢は聖女の力を解放して自由に生きます!
白雪みなと
恋愛
王子に婚約破棄され、没落してしまった元公爵令嬢のリタ・ホーリィ。
その瞬間、自分が乙女ゲームの世界にいて、なおかつ悪役令嬢であることを思い出すリタ。
でも、リタにはゲームにはないはずの聖女の能力を宿しており――?
醜い私を救ってくれたのはモフモフでした ~聖女の結界が消えたと、婚約破棄した公爵が後悔してももう遅い。私は他国で王子から溺愛されます~
上下左右
恋愛
聖女クレアは泣きボクロのせいで、婚約者の公爵から醜女扱いされていた。だが彼女には唯一の心の支えがいた。愛犬のハクである。
だがある日、ハクが公爵に殺されてしまう。そんな彼女に追い打ちをかけるように、「醜い貴様との婚約を破棄する」と宣言され、新しい婚約者としてサーシャを紹介される。
サーシャはクレアと同じく異世界からの転生者で、この世界が乙女ゲームだと知っていた。ゲームの知識を利用して、悪役令嬢となるはずだったクレアから聖女の立場を奪いに来たのである。
絶望するクレアだったが、彼女の前にハクの生まれ変わりを名乗る他国の王子が現れる。そこからハクに溺愛される日々を過ごすのだった。
一方、クレアを失った王国は結界の力を失い、魔物の被害にあう。その責任を追求され、公爵はクレアを失ったことを後悔するのだった。
本物語は、不幸な聖女が、前世の知識で逆転劇を果たし、モフモフ王子から溺愛されながらハッピーエンドを迎えるまでの物語である。
【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。
樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」
大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。
はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!!
私の必死の努力を返してー!!
乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。
気付けば物語が始まる学園への入学式の日。
私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!!
私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ!
所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。
でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!!
攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢!
必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!!
やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!!
必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。
※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。
※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
強制力の後に必死でリカバリーするザラメを思わず応援したくなりました!
面白かったです!
ありがとうございます!
お楽しみいただけたようで嬉しいです。