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第5章 かくよむ国で宣伝しよう!(カクヨム攻略法)

第25話 読まれない地獄 (近況ノート)

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 その日は、投稿の興奮とみちのとのお別れでご飯を食べたら早々に眠ったひなでした。

 次の日。ひなはお店に行き叫びました。

「どうしよう! 1つも売れていない」
「当たり前だよ!」

 モコりんは言いました。

「評判のいい店が新商品出したらみんなが買いに行くけど、隅っこで新しい何を売っているのか分からないお店が、新装開店の広告も出さずにお客さんが来てもらえると思っていたの? 甘いにもほどがあるね」

 モコりんは、相変わらず厳しいです。ひなは言いました。

「だって、何をしたらいいか分からないのに……」
 そうです。昨日まではみちのさんが色々教えてくれたのですが、今は何をしていいのか分からないし、教えてくれるのがモコりんだけです。

「でもこのままじゃ、もう読んでもらうことはないよ。読まれない地獄におちるよ」
「嫌だ~! 読まれない地獄は嫌だ!!!」

 ひなは以前見た亡霊のようなものを思い出しました。

「どうすればいいの! 宣伝? どうすれば? なんでもやるよ!」

「何でもやるとか言うと危ないよ。安請け合いはダメ! そうだね、とりあえず『近況ノート』使ってみたらどう?」
「近況ノート?」

「ほら、スマホだと、ワークスペースの上の方に『・・・』な記号を押すと近況ノート新着出ているでしょ? パソコンだと左側に近況ノート新着記事ってあるんだけど」

 ひなは探したけれど、でてきませんでした。
 モコりんが何かを思い出しました。

「そうか、スマホアプリ入れていたら出てこないんだっけ。仕方ない。これ見て」

 モコりんがパソコンで「近況ノート」を見せると、いろんな人の書き込んだつぶやきが見えました。

「更新しました」 「更新しました」 「星ありがとう」 「PV500です」 「更新しました」

いろんなつぶやきや宣伝がある中、ひなはこんなつぶやきをみつけました。

「初投稿しました……………でも、誰も読んでくれません」

 ひなは、あわてて中を読みに行きました。

「はじめて『かくよむ国』で小説を書きました。ドキドキしながらお店の前で待っていましたが……誰も通りかかってくれませんでした。辛いです……」

 ひなは、自分と同じ体験をしている人を見つけてしまいました。

「モコりん、どう思う! この子もわたしと一緒!」
「そうだね。みちのさんはどう言っていた?」
「みちのさん?」

 ひなは思い出しました。

「そうだ、みちのさんはこう言っていたわ。『自分がして欲しいことは人もして欲しいこと。自分がして欲しくないことは人もして欲しくないこと』私が今して欲しいのは読んでもらいたいこと。この子も一緒なはず!」

 ひなは、その子の小説を取りにいきました。塩味のしないポップコーンでした。

「うん。短編のギャグ満載のコメディーね。単純に面白いわ。でも、一味足りない感じね」

 ひなは、💖を塗り、星を一つ塗りました。🌟。

「なんか、頑張ってるの見えるし、面白いのは確かだからね」

 そうつぶやいて、感想をかきました。

「近況ノートを見て、読みに来ました。私も同じ状況です。お互い頑張りましょう。
 作品読みました。とても面白かったです。とくに、たこ焼きが擬人化するところは好きでした! これからも頑張ってください!」

 モコりんが言いました。

「ひな、素敵な感想だね。それに、君がしたことは正しいよ。でも、ひなも早く近況ノートで作品の宣伝しないと」

 ひなはあわてて近況ノートに書く文章を考えました。

「初めまして、未来ノひなです。はじめて童話を投稿しました。黒猫が白猫と出会い心を取り戻すお話です。作品はりんご飴になりました。ぜひ味わってください」

 ひなはモコりんに「どうかな?」と聞くと、モコりんは「ぼくは文章に対してはなにも言えないけど、ひなの気持ちが見えるいい投稿じゃないのかな」と精いっぱいの感想をくれました。

その後、PVが10、💖が3付きました。

翌日

「ひなさん。読んでくれてありがとう! 私も読みました。 黒猫がとってもキュートでかわいかったです! 一緒に頑張りましょう!」

 そう書き込みがあり、💖と🌟2つが付いていました。さらにフォローがされていたのに気づき、あわててひなもフォローしました。

 ひなに新しい執筆仲間が出来ました。
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