ようこそかくよむ国へ~初心者ひなと歩む小説の書き方、または『アルファポリス』から『カクヨム』にも投稿する時、PVを取って成功する方法~ 

みちのあかり

文字の大きさ
上 下
18 / 32
第3章 短編を書いてみよう!

第18話 濁りをなくそう!(一人称と三人称)

しおりを挟む
「これで投稿できますね!」

 形の良くなったりんご飴を見て、ひなはちっちゃな胸を張りながら言った。

「ダメだね」

みちのはサラッと答えた。

「何がだめなんですか?」
「色! こんなに濁った色のりんご飴、誰が買うと思うの」

 そう言われればその通りです。でも、ひなはどうすればいいのか見当もつきません。

「なにが悪いのでしょうか?」

 ひなは素直に聞いてみました。それを聞いたみちのは、少し悩んだ後、ひなに言いました。

「そうね。ひなちゃん。ひなちゃんのその素直さは素敵よ。きちんと人に聞く態度はえらい! でもね、それに慣れすぎると自分で考えなくなるの。まだ初心者の中の初心者だからそれでいいけど、自分で調べて考える事も必要よ」

 ひなは驚きました。私って甘えているのかな? そんな顔をしました。

「うん、いいのよ、まだ聞いてもらっても。特に今回の質問は重要だから教えてあげる。いい、まずはここを読んで」

 みちのは、ひなの書いた童話の冒頭を指さしました。

「ここの文章ですね。『ボクは黒猫、名前はないんだ。だってものごごろついた時から、一人で生きてきたんだから。ボクの話を聞いてくれるかい』」

「じゃあ、次はここ」

「はい。『黒猫は、そんなことを言ってはいましたが、本当は寂しかったのです。友達が欲しい。心の奥底では、そんな風に思っていたのでした』」

 読み終えたひなはなにがおかしいのか分かりません。

「いい、小説の書き方には『一人称』と『三人称』があるの。それは混ぜてはいけないのよ」

「一人称と三人称? ですか?」

 分かっていないひなのために、みちのは解説を始めました。

「いい、小説を書くには、まずは『誰がこの物語を語っているのか』を決めないといけないの。大きく2つね。1つ目は主役が語る場合。これを『一人称』というのよ」

「主役が語る? 一人称?」

「ひなちゃんの最初は一人称。黒猫の言葉で黒猫の気持ちを書いていたわよね。あれが一人称。それに対して、作者の目線で客観的に書いていくのが三人称。2回目に読んだ所ね」

「本当だ! 黒猫と私がいる」

「小説ではね、視点がぶれてはいけないの。もう少し詳しく説明するね」

「お願いします」

「一人称の特徴としては、主役の見ている目線と、感じたこと、思ったことが書けるの。でもね、主役が見ていないことや、主役以外の心の中は絶対に書いちゃだめなの。ヒロインがどこかで死んでしまったとしても、主役が知らなかったら書いてはだめ。見たこと聞いたことを感じたこと、それ以外は分からないのが一人称の特徴ね」

「難しそうですね」

「気をつけて書いていけば分かるようになるわ。次に三人称の特徴ね」

「はい」

「三人称は映画を撮るカメラみたいな視線で書く書き方。表情をアップにしたり、周りの風景で情感を出したりするの。カメラ目線だから、主役以外の場所や人物に寄ってもいいし、別の所で起きた事件を書いてもいいの」

「便利そうですね」

「でもね、あくまで客観的にしか書いてはいけないの。主役がどう思ったかとか、心のなかでつぶやいたこととか、そんな内面はカメラに映らないでしょ。だから表情を書いて想像させたり、態度や動きで感じさせたり、セリフとして書かないといけない制約があるのよ。上級者だと蝉の声とか、夕焼けとかで主役の感情を表せたりするわ」

「どっちも難しそうですね」

「そうね、私もまだ徹底できた作品は作れていないわね。どうしても感情は書きたくなるし、説明はしたくなるしね。でも、知っていなければいけないし、気をつけなければいけないのよ」

「勉強ですね」

「そうよ。じゃあ、この童話、一人称か三人称かどっちで書くか決めてね。そしてきちんと直すこと。分かった?」

「はい! ありがとうございます」

「じゃあ私は帰るね。頑張って~」

 そう言ってみちのは帰っていきました。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

オオカミ少女と呼ばないで

柳律斗
児童書・童話
「大神くんの頭、オオカミみたいな耳、生えてる……?」 その一言が、私をオオカミ少女にした。 空気を読むことが少し苦手なさくら。人気者の男子、大神くんと接点を持つようになって以降、クラスの女子に目をつけられてしまう。そんな中、あるできごとをきっかけに「空気の色」が見えるように―― 表紙画像はノーコピーライトガール様よりお借りしました。ありがとうございます。

忠犬ハジッコ

SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。 「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。 ※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、  今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。  お楽しみいただければうれしいです。

【完結済み】破滅のハッピーエンドの王子妃

BBやっこ
児童書・童話
ある国は、攻め込まれ城の中まで敵国の騎士が入り込みました。その時王子妃様は? 1話目は、王家の終わり 2話めに舞台裏、魔国の騎士目線の話 さっくり読める童話風なお話を書いてみました。

テレポートブロック ―終着地点―

はじめアキラ@テンセイゲーム発売中
児童書・童話
「一見すると地味だもんね。西校舎の一階の階段下、色の変わっているタイルを踏むと、異世界に行くことができるってヤツ~!」  異世界に行くことのできる、テレポートブロック。それは、唯奈と真紀が通う小学校の七不思議として語られているものの一つだった。  逢魔が時と呼ばれる時間帯に、そのブロックに足を乗せて呪文を唱えると、異世界転移を体験できるのだという。  平凡な日常に飽き飽きしていた二人は、面白半分で実行に移してしまう。――それが、想像を絶する旅の始まりとは知らず。

放課後モンスタークラブ

まめつぶいちご
児童書・童話
タイトル変更しました!20230704 ------ カクヨムの児童向け異世界転移ファンタジー応募企画用に書いた話です。 ・12000文字以内 ・長編に出来そうな種を持った短編 ・わくわくする展開 というコンセプトでした。 こちらにも置いておきます。 評判が良ければ長編として続き書きたいです。 長編時のプロットはカクヨムのあらすじに書いてあります --------- あらすじ --------- 「えええ?! 私! 兎の獣人になってるぅー!?」 ある日、柚乃は旧図書室へ消えていく先生の後を追って……気が付いたら異世界へ転移していた。 見たこともない光景に圧倒される柚乃。 しかし、よく見ると自分が兎の獣人になっていることに気付く。

クール王子はワケアリいとこ

緋村燐
児童書・童話
おじさんが再婚した事で新しく出来たいとこ。 同じ中学に入学してきた上に、引っ越し終わるまでうちに住む!? 学校ではクール王子なんて呼ばれている皓也。 でも彼には秘密があって……。 オオカミに変身!? オオカミ人間!? え? じゃなくて吸血鬼!? 気になるいとこは、ミステリアスでもふもふなヴァンパイアでした。 第15回絵本・児童書大賞にて奨励賞を頂きました。 野いちご様 ベリーズカフェ様 魔法のiらんど様 エブリスタ様 にも掲載しています。

魔法少女はまだ翔べない

東 里胡
児童書・童話
第15回絵本・児童書大賞、奨励賞をいただきました、応援下さった皆様、ありがとうございます! 中学一年生のキラリが転校先で出会ったのは、キラという男の子。 キラキラコンビと名付けられた二人とクラスの仲間たちは、ケンカしたり和解をして絆を深め合うが、キラリはとある事情で一時的に転校してきただけ。 駄菓子屋を営む、おばあちゃんや仲間たちと過ごす海辺の町、ひと夏の思い出。 そこで知った自分の家にまつわる秘密にキラリも覚醒して……。 果たしてキラリの夏は、キラキラになるのか、それとも? 表紙はpixivてんぱる様にお借りしております。

【完結】アシュリンと魔法の絵本

秋月一花
児童書・童話
 田舎でくらしていたアシュリンは、家の掃除の手伝いをしている最中、なにかに呼ばれた気がして、使い魔の黒猫ノワールと一緒に地下へ向かう。  地下にはいろいろなものが置いてあり、アシュリンのもとにビュンっとなにかが飛んできた。  ぶつかることはなく、おそるおそる目を開けるとそこには本がぷかぷかと浮いていた。 「ほ、本がかってにうごいてるー!」 『ああ、やっと私のご主人さまにあえた! さぁあぁ、私とともに旅立とうではありませんか!』  と、アシュリンを旅に誘う。  どういうこと? とノワールに聞くと「説明するから、家族のもとにいこうか」と彼女をリビングにつれていった。  魔法の絵本を手に入れたアシュリンは、フォーサイス家の掟で旅立つことに。  アシュリンの夢と希望の冒険が、いま始まる! ※ほのぼの~ほんわかしたファンタジーです。 ※この小説は7万字完結予定の中編です。 ※表紙はあさぎ かな先生にいただいたファンアートです。

処理中です...