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番外編

大晦日

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1

大晦日。

普段は寂れている近所の神社も、今日ばかりは結構な人で賑わっていた。

「さっみぃぃい」
「ちょっと浅海、なんか飲み物買ってきてよ温かいやつ」
「俺はおまえの彼氏か」
「いいじゃんケチーっ」
「あとで甘酒飲もうよ」

ムクれる真琴をまぁまぁと宥めつつ、浅海を見る。

「てゆうかよかったのか?さっきの電話って茅野先輩からじゃ…」
「知らね」
「知らねって…年明け早々ケンカするなよ?」

溜め息混じりにそう言うとそんなんいつもの事じゃん、と真琴。

「ねーねーまだー?」
「うー…まだちょっと時間あるな」

腕時計を見ると、年明けまであと三十分。



「……浅海はさぁ、神様って信じる?」

境内に続く列に並びながら、何気なく訊いてみた。

「はぁ?たりめーだろ」
「え、意外すぎ」

どっちかっていうと浅海は神様より自分を信じる派だと思ってた。

「今までどんだけ投資してきたと思ってんだよ」
「そこかよ」
「てゆうかお賽銭とか別にたいした額じゃないじゃん」

携帯を弄っていた真琴が呆れた顔で言う。

「じゃあ真琴は?」
「信じない」
「即答って」
「そもそも願い事なんて、叶ったことないし」
「……なんかごめん」

一気にやさぐれたその表情を見て、つい謝る。

「そういう幸生は?」
「うーん…信じる時もある、かな」

いわゆる苦しい時の神頼み、ってやつだ。

「都合いいねぇ」
「うん。大抵無駄に終わるけどな」
「わかってんじゃん」
「まぁ、そういうもんだよね…」

真琴は苦笑いを浮かべた。


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